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進路と夢と学びと

次女に念を押される。

ーいい、ママ?今日は全体についていくことだけ考えて。列からはみ出ない。遅れないでね。

ーわかった。気配消せばいいんでしょ。できますよ、大人ですから。でもさあ、日芸だよねえ?それでも集団行動できることが重視なのかなあ?

ーいや、学校見学だから。別に作品作ろうってわけじゃないでしょ、ママが。

ーそれもそうね。納得。

江古田に日大芸術学部キャンパスはある。

私の学生時代は、偏差値が一つでもよい大学に進学することが至上命題と思い込んで、目を瞑って勉強ばかりして、夢を追いかけるとか、殆どの人が叶わないことをやろうとすることは、コスパが悪いくらいに思って否定していたし笑、やりたいことやって経済的に自立できる人なんか一握りなんだし、大人になるってことはそういう夢見る夢子な自分とおさらばすることだくらいに、人生見切ったつもりでいた。

だから、高校生の私が今の赤毛のチコをみたら、あんたどこで人生間違えたのって目を丸くするかも知れない笑。起きて夢をみようとしてるオバサンになってるって笑

だからあの頃日芸とか美大を、進路に入れることはできなかったけど、次女が日芸を志望に入れてきたとき。いいなあ。と正直思った。

自分の時はそこまで自分の奥底を覗くことができなかったなあ。

進路って早慶でも、ジーマーチでもなくて、偏差値でもC判定取ることでもないんだよな。大学名を選ぶことが進路を決定することじゃない。何を勉強したいかがないのに大学に行く意味は本当はないんだ。

大学見学ツアーは素晴らしい体験だった。特に文芸部が刺さった。書いて表現することを学問する。在学中から書くということを体系的に学び、実際に本を作ることができる。図書館には目を見張るような個性的な蔵書がずらり。漫喫と図書館が融合したみたいだ💓群ようこさんのサイン色紙をみつける。わ!見入ってしまう。

→当然列から遅れがちに。

ママ!ママ!言ったじゃない!ついてきて。ついていくことに集中してって!

ーごめんごめん。無理だよお。目の前に大好きなものがあるのに、立ち止まらないなんてさ。拷問だよ。

ーもうママは、自分の興味関心を大学で満たす立場じゃなくて、若い人を応援する立場なんだよ。諦めて!学費出すだけ!

ーうーん。ごもっとも。確かに。あ、林真理子さんの色紙もある!そうだ!学長になったんだった!暴露本書いたんだよね~悪趣味だと思うけどなあ。

ー聞いてないんだからモウ。ママ!みんな行っちゃうよ!

日芸に行こうというお子さんと、その保護者の方なのに、どうしてツツガナク一定のペースで物を見たり、言われたとおりに言われた時間だけみることができるのか、不思議で仕方ない。もう少し幅を持たせて見学コース設定してくれないと、魅力を伝えられないと思うんだけど。確かに、ご担当者様、ご自分でも駆け足になりますっておっしゃってたけど。ブツブツ。

映画のスタジオ、テレビのスタジオ、編集室に、PA室。本物がそこにあって、こりゃあすごい、全国から唯一無二の学部を目指してやってくるわけだと納得のツアーだった。

娘のおかげで積年の思いが成仏できた一日だった。そう。私は自分が自分がと前に出る年でもない。若い人が羽を温め飛び立つのを応援するんだ。


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