4分と4か月は等価交換可能か。

長女は大学一年生。果たして無事にオンラインの後期試験が終わったのか、単位は取れたのか、進級できるのかしらと思うが、もう自分のケ○ツは自分で拭かねばならぬ歳。あれこれ詮索せず本人が言わないことを聞き出さないように極力している。(心配性なので本当は気にはなる)

前期テストのあとの夏休みは、先輩や同級生に刺激を受けてか、片品高原のホテルに住み込みのバイトに行ったり、大学の紹介で山間部の林道の整備のバイトに行って、社会勉強的にアクティブに自分を開いていたけれど、その体験を経て、今度の長期休みは、絵を描くことに全フリすることにしたみたいだ。

アートの神様は夜行性?夜も更けて皆が寝静まった頃に降臨するのか、ほぼ昼夜を逆転して、驚異的な集中力で、なんやら愛機Macに向かって作業し続けている。

前回のミュージックステーションで三浦大知さんが、歌を披露するにあたりカット割り、カメラワークをセルフプロデュースしたと話をしていた。構想準備に四か月。スタッフやダンサーとの入念な打ち合わせの日々を重ねて、自分の納得のいく表現を作っていく。そして、放送は一曲、一瞬、数分にして終わってしまう。4分と4か月。資本主義経済下のコストパフォーマンス的には釣り合わないと思われるバランスだが、無事に歌い終えた彼は輝くような笑顔で満足気に周囲への感謝を口にしていた。

自分に引き寄せてお恥ずかしいが、料理なんかも支度にかける時間と、食卓に乗せたときに口に運ばれ胃の腑に収まってしまう時間は圧倒的に釣り合わないとしばしば思う。準備の方が大変なのだ。消費する行為はいとも容易く、暴飲暴食も爆買いも簡単だ。

長女はどうやら描いたものを動かそうと3Dモデルの操作を試行錯誤しているみたいで、ぶつぶつ言いながら悪戦苦闘しているが、基本は楽しいのだと思う。何時間でも、ただひたすら自分の海に潜って泳ぎ続けている。知らない街に出かけて人に会うことも旅だけど、彼女は自分の作りたいと思うイメージを形にするために自分の脳内を一人旅しているのだと思うと、ダイニングのテーブル前に陣取って1日中一歩も動いていないように見えるけど、実は彼女は彼女の世界を旅しているのだと思える。

旅人にしてあげられることは、パソコン操作しながらでも食べられる形態のおにぎりやピンチョスを用意してあげること。時計を見せて、何時か教えてあげること。布団を敷いてあげること。そして時折、いい加減に寝なさーい!!!と雷を落とすこと笑。



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