Alexander Scholz #28
「闘将の加入」
アレクサンダー・ショルツが最初に浦和に加入する時、日本はまだコロナ禍の影響が残る中だった。その影響もあり数週間か数ヶ月の間、日本に入国できない状況が続いた。その間に入ってくる噂では、どうやら新加入選手はリーダーシップが取れる闘将タイプ、強いていうなら闘莉王のような選手だということをどこかで聞いたか読んだ。
自分は仕事の関係で北欧の人たちと話すことがあったが、チームで目標を達成することに長けた、英語がうまくて論理的な細長い人ばかりという印象だった。
だから闘将といえばかつて中村俊輔とセルティックでプレーしたグラベセンくらいしか思い浮かばず、鬼の形相で味方を鼓舞したり、強力なフィジカルでフィールドを支配するような選手が入ってくるのかと想像していた。
僕たちが見たショルツ
しかし、浦和レッズで見ることになるのは全く違うタイプの選手で、どちらかというと自分の知っている北欧人に近いパーソナリティだったように思う。鼓舞はするが、インテリジェンスにあふれ、ファウルも少なく安易にスライディングしないが、優れた予測と賢さ、ポジショニングで、やばいピンチから尽くチームを救っていく。
さらに攻撃面でもその価値を示し、PKはほとんど外すことなく冷静に沈めるし、最終ラインからスルスルとボールを持ち運ぶのも得意で、時にはゴールまで決めてしまう。
特に2023年のマリウス・ホイブラーテンとの北欧コンビのCBはまさに鉄壁で、GK西川周作との鉄壁で許した失点は27のみ。3人でベストイレブンに選ばれる事になった。2021年天皇杯、2022年FFSC、そして同年ACLを取れたのはショレなしには為し得なかっただろう。クラブとして3度目のACLを獲ったあと、僕は久しぶりに背番号を入れたユニを買った。もちろん28。
アレクサンダー・ショルツのようなCBを浦和レッズで見れるなんて夢のようだった。そんなショレを、サポの間では神と呼ぶようになった。しまいにはオフィシャルまで呼び、グッズを出すまでになった。オフィシャル商魂たくましいじゃん。いいぞもっとやれ。
ピッチ外での魅力
またショレはピッチ外でも魅力的な人間だった。
日本文化を理解しようとする姿勢も強く、三島由紀夫や太宰治を嗜み、オフには富士山を踏破。さいたまTシャツを着てSNSを賑わしてくれた。
たまに話題になるちょっと不思議でかわいいタトゥーやなかなか見たことがないような私服姿も、「神」たるショレの魅力的な一面だった。何この服。どこで売ってんの?
日本語も勉強し、公の場で披露することはあまりなかったが、込み入った話でなければ通訳なしにインタビューを受けられるレベルだったと聞く。
いやだからこそ、浦和レッズで引退するまでずっといてくれるのではって期待しちゃうじゃん。。。
突然のお別れ
浦和レッズにお気に入りの選手ができるたびに、この選手とはどんな別れになるのだろうと頭をよぎってしまうことがあるが、ショレの場合は、浦和でやれるまでやって、ロブソン・ポンテの時ように美しく盛大に送り出すイメージしか持ってなかった。でも、、、
選手との別れはいつか必ず来る。3年くらいの周期でチームを変えているこれまでの経歴からしても、ショレの中にはある程度人生計画のようなものがあったのかもしれない。
ならばこれからもその計画をもとに勇気を持って進み、また新しい生活を、豊かな人生を、家族とともに送ってほしい。
ありがとうショレ。
またいつか会える日が来ることを信じて。
あとがき
ここ数日続いている功労者たちへのフォローしているみなさんからの惜別メッセージを見てたら、自分史上最高のDFだったショレとの別れに際して、なにかまとめて書くべきと思った。
後で読み直したら気持ち悪いかもしれない。
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