短編小説【パープルドッグ×目撃者】
女子校の正門の前でサングラスをかけた顔立ちの綺麗な背の高い少年は、自分に向けられる女子生徒の熱い視線をうざったく思いながら目的の人物が出てくるのを待っていた。
麻美は正門付近に軽く人だかりが出来てるのを横目に通り過ぎると、少年は「見つけた」と誰にも聞こえないように呟き少し離れて麻美を追った。徐々に人気は薄れ始め、目の前を歩くのが麻美だけになると少年は歩く速度を早め麻美の肩を叩いた。
「ちょっと…」
振り返る麻美にサングラスを少しずらし裸眼で「やっぱり…」と少年は呟く。