父の葬儀5 通夜

葬儀会場は車で10分もかからない近場にありました。周りは田んぼだらけの寂しい場所でしたが、建物は近代的で立派なものでした。到着すると、スタッフの方が出迎えてくれて、棺を運んでくれました。私は一旦控え室に通され、私物を置いて会場に入りました。たった一日二日でこんなに準備ができるのかと驚くくらい、すでに祭壇と花がセットされ、大きな遺影の写真も飾れていました。ロビーにはモニターが設置され、父の写真が映っていました。

やがて、実家から他のみんなが到着しました。きっと同じような感想を持ったようで、それぞれが何やら話をしているうちに、私はスタッフに呼ばれ、通夜の進行打ち合わせが始まりました。通夜は基本的に親近者のみの参列なので、他の弔問は通夜前の1時間のみです。私はその時間は入り口に立って弔問者にご挨拶をします。でも、予想はしてましたが、ほとんど人は現れませんでした。御霊前やお品物のやり取りなどは受付スタッフ(こちらもSさんに手配していただきました)が行ってくれていました。そして、寺の住職が到着し、通夜の儀の前まで控え室に待機いただきました。Sさんからのご提案で、そのタイミングで妹と二人で部屋を訪れ、お布施をお渡ししながら、よろしくお願いいたしますとご挨拶しました。

ちょっと脱線ですが、お布施の金額って住職さんから教えてもらうんですね。相場とか全くわからなかったから、ある意味よかったです。金額は(事前に聞いていたけど)、、、びっくりするくらい高いです。でも、値切るわけにもいかないし、言い値で決まりです。明細もない。まあ、宗教で、お布施は感謝の気持ちだから明細なんてないわけで、当たり前なのですが、坊主丸儲けってこのことだなと、ちょっと思いました。

通夜は、司会進行の方が進める通りに行われましたが、ほとんどは住職のお経です。途中で、ご焼香の時間になり、喪主の私が先頭を切って始めました。最初に後ろを向いて一礼してと打ち合わせてたのですが、すっかり忘れてそのままご焼香してしまいました。気づいたけど後の祭りなので、仕方なくご焼香後におじきしたりしちゃいました。その後、私に習ってか、参列の方が一人ずつ、焼香されます。私と母、妹は前横に立ってお礼をしていきます。全員が終わって私たちも着席したのですが、お経は続き、なんと途中から住職が歌を歌い始めました。演歌みたいな、普通の曲です。え?歌なんて歌うの?って思いつつ、神妙に聞いている私たちがちょっと面白くなってきました。あとで親戚の人とこの話になったのですが、歌って珍しいねって、みんな思ったそうです。で、お経が終わり、ちょっとした説法が住職からありました。最後に、私からのご挨拶をするタイミングになりました。不思議と緊張もせず、淡々とできました。こういうところ、結構上手くいんだよなあ、私って。

通夜も無事終わり、すでに19時を回った時間ですのでそのまま解散になりました。コロナの影響で会食とかはなく、発注しておいたお弁当を全員に配って、終わりです。私といとこのKさんは、そのまま一晩ここに泊まることになりました。ご遺体と一緒に一晩過ごすのが喪主の勤めだそうです。一人ではさすがに心細いので、Kさんを誘ったら了承してくれて、本当に助かりました。二人で夜中まで酒を飲みながら、普段できない話をたくさんすることもできたので、それはそれでよかったけど、結局ほとんど寝付けず、翌朝を迎えたのでした。

続く。

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