魔物に興味のない異世界モンスター転生:創作のための戦訓講義46
事例概要
発端
※『転生したらスライムだった件』に関する指摘。
反応
※アニメなど見れば分かるが、ゴブリンやリザードマンなど魔物の、特に女性キャラは進化すると姿が美形の人間になりがち。
※設定上の理由を指摘する声が多かったが、そんな「ためにする設定」を持ち出されても意味がない。作品としてどうか、という話。
当時の私見
個人見解
私も以前本作のアニメを見たが、そのときに気になったことのひとつがこれだった。
魔物が命名などにより進化し、肉体が変化するという設定がある本作だが、その変化が「強くなると人型になる」という傾向がある。一部例外はあるが、特に女性キャラは変化に伴い人型に近くなる場合が多いように見受けられた。
本作は『転生したらスライムだった件』というタイトルからも分かる通り、異世界転生の中でも「現代日本人が死んだら異世界の魔物になっていた」という類のものだ。当の主人公リムルが人型を得るのもまああれだが、話を広げる上で人型が便利なのは違いないから分かる。基本が人型だったり、魔物としての生活や生態にあまり興味がなさそうな状態だった。
まあこれには本作が2013年からの公開という時期的な問題も大きく絡んでいるだろう。まだ当時は魔物に対するある種の「萌え」が一般的ではなく、ゆえに話を進めるうえで一定程度人型に寄せる方が都合がいいということはあったのかもしれない。
とはいえ本作は植民地主義やルッキズムなど、異世界転生系の物語構造における、ある種グロテスクな側面を観察しやすい作品である。それだけ本作が異世界転生物のマスターピース的立ち位置にあるのだろう。この辺はジャンルを切り開いた代表作ゆえの毀誉褒貶というわけか。またいずれ、そのあたりを深掘りできる機会があればいいのだが。
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