SFジャンルの他ジャンルを引き込む挙動?:創作のための戦訓講義17


事例概要

発端

当時の反応

補足

※以前に星雲賞について調べたときの記事。

個人見解

 以前に星雲賞について調べた際、あまりにも無節操に他ジャンルの作品をSFということにしていたのに驚いたが、賞の構造的な問題だろうと思っていた。だが今回の件を見るに、SFジャンルに特有の挙動なのかもしれないという疑念が出てきた。

 「SFとはなにか?」という点を議論すると込み入るし、私自身がSFファンダムの人間ではないのでその点を議論はしない。ただ仮にファンタジージャンルがSFから派生したのだという私の知らない来歴があったとしても、既にファンタジージャンルとして確立している分野の作品をSF認定することは、そのジャンルの成果物を奪って自身のジャンルの発展に使おうとしていることになるのではないか。

 また日本SF作家クラブの名称にファンタジーが包摂されていることを持ってファンタジージャンルを取り込むことを無問題とするのはただの詭弁であろう。「消費税を10%から20%にしますがこれを政府では節税と呼ぶので増税ではありません」と言っているようなものだ。お上がいくら言ってもカラスは白くならない。

戦訓

 「SFとは何か」「ミステリとは何か」という定義論は一件複雑ではあるが、今回のような場合はそうした定義論によらず、ファンタジーというSFから独立したジャンルの成果物を簒奪しようとしていると表現するべきではないか。ともあれ、SFジャンルが他ジャンルの成果物を自身へ引き込もうとする挙動はどうやら星雲賞に限定される動きではないらしく、この点はもう少し状況を知りたいところだ。

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