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あのとき、もしもキスしてなかったら

彼女とうっかりゴツンとキスしてはじまったわたしたちの恋愛。
もしあのとき、ぶつかったのが肩と肩だったら?たぶんお互いに「やったなー!」とか言って笑って眠った。そして相変わらず、家族のような信頼できる友人だったのかもしれない。

でもどう考えても好きだった

うん。どう考えても好きだった。キスしてなくても、はじまってなくても好きだった。毎日会いたくて、連絡が来たら嬉しくて、一緒にいたら楽しくて。実は彼女もそうだって聞いたときは、びっくりした。両思いだったの!?って。

男女ならすぐにはじまりそうだし、男女ならまわりの人からも「付き合ったらいいのに」と言われそうな関係と、気持ちをお互いにもったまま、わたしたちは自分の気持ちを見ないようにしていた。
恋愛的な意味で、彼女がわたしを好きなんて思いもしなかったし、わたしも彼女のことを好きな気持ちに蓋をして知らないふりをしていた。
もっと近くにいたい、触れてみたい、ときどき冗談でもたれかかったり戯れてみる。心地いい。嬉しい。でもその先はなに?女性と付き合ったこともないし、自分を異性愛者だと思っているわたしは、その先に「彼女と付き合いたい」なんて思うことすらできなかった。

付き合うとかは「ない」と思っていたから言ったことがある

ここにはちゃんとは書いていないけど、わたしたちは「付き合いましょう」と言ってはじまったわけじゃない。むしろ好きだけど、キスしちゃったけど、大好きだけど、付き合わないと思っていた。

だからキスした翌週にはじめてちゃんと会ったときにわたしは彼女に言った。「あなたのことは本当に大好きで、心から信頼している。助けられている。わたしはこれからもずっと誠実にあなたと向き合って、いつかあなたにもそんなふうに思ってもらえるようになりたいし、いつも味方でありたい」。

彼女の反応は「???」だった。
伝わらんのかい!!!!

そのあとグダグダになってしまったから、わたしの一生に一度ぐらいの気持ちを込めた言葉は、本当にちゃんと伝わったのか伝わってないのかはいまでもわからない。聞いたら「わかってる。伝わってた!」って言ってくれるけど。
言葉にはしていないけど、本当は最後に(この気持ちをどうしていいのかわからないけど、できればこのままずっと仲良く友達でいたい)っていう気持ちも含んでいた。

わたしは大好きだけど、彼女が恋愛という目でわたしを見るなんて思いもよらなかったから、告白で終わりの言葉。友達の線を踏み越えないように、ギリギリ精一杯で心から好きを伝えたつもりだった。

おなじ気持ち

何年もたってるのに気持ちはおなじ。大好きで信頼していて助けになりたい。そんな友人としても最高峰の彼女がわたしを好きでいてくれるなんてずっとびっくりしていて嬉しくて浮かれている。

同性だからなのかな。彼女の気持ちにあぐらをかけない。好きでいてくれることにまさか!って驚く気持ちがずっとある。片想いだと思っていたら両思いだったような。その瞬間がずっと続いているような気がする。

あのときもしもキスをしていなかったら?
こんな浮かれた気分はなかったかもしれないけど、それでもずっと心から彼女が大好きだっただろうな。でもね、いまのほうが無限にしあわせだ。キスしてよかった。




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