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システムエンジニアの私が、Xデザイン学校ベーシックコースで学んだこと#2(2023年6月)

こんにちは、akaです。
今回は、Xデザイン学校ベーシックコース第2回目の講義での学びについてシェアしたいと思います。

【講義後の変化①】現場に足を運ぶ質的調査の重要性に気づくことができた

昨年、若手社員向けの社内研修の一環で、現場で弊社のシステムがどのように使われているのかを学ぶために、1ヶ月間営業やインストラクターの方々に同行してお客様先を訪問するという経験をしました。
インストラクターの方がお客様にシステムの操作方法を指導していた時のことです。エラーメッセージの画面が出て「はい」と「いいえ」のボタンが表示された時に、お客様からこんな呟きが聞こえてきました。

「これ、いつもどっちのボタンを押していいか分からなくなるんだよな..」

この言葉を聞いて、

ダイアログを設計する際、ユーザーがボタンを押すとどんなことが起こるのかを瞬時に予想できるようにすることが重要なのではないか

と気付きました。普段は開発部にいる私が、お客様にオンラインで単発のインタビューを行なったとしても、このような操作中の率直な感想はなかなか出てこなかったのではないかと思います。現場に足を運ぶと、ユーザーの本音に出会うチャンスが増えるのだと改めて感じました。新商品を企画する際に、現場での経験が長い方が重宝される理由が分かった気がします。

【講義後の変化②】効果的なリサーチをするために質問の瞬発力を鍛えたいと思うようになった

質的調査の最中に、調査対象の行為についてその場で質問することが重要であると学びました。回顧法を避けるべき理由は、

時間が経つにつれて調査対象の心理曲線が変化してしまい、過去の事実を自分にとって都合が良いように解釈してしまうリスクがある

からだそうです。
ただし、未知の調査対象に出会った時、自分事として咀嚼するまでには時間がかかると思います。リサーチの場で瞬時に疑問を持つためには、調査対象についてある程度の知識があり、「普通ならこうするはずだ」という仮説を持っていることが前提になってくるのではないかと思います。仮に料理を全くしたことのない人が、プロの料理人が料理する様子を見ても、なぜ魚を焼く前に下処理を加える必要があるのか、といった疑問は湧いてこないと思います。

質的調査の結果をより有効に活用するためには、

  • 調査対象について事前に理解を深めておく

  • 気軽に質問できる情報提供者に同行してもらう

などの工夫が必要と感じました。

【講義後の変化③】日常の中でエスノグラフィーを実践してみたいと思うようになった

以前見たTV番組で、電子ごみを使ったアート作品を制作されている長坂真護さんという方が取り上げられていました。世界最大の電子ごみ処理場があるガーナのアグボグブロシーを何度も訪れて、現地の子供たちと一緒に街のシンボルとなるような建築物を作ったり、自ら防毒マスクをつけてごみ処理場に足を運んだりしていたのが印象的でした。アート作品の売り上げの大部分は、ガーナの子供たちが通うための学校の設立などに充てているそうです。
この活動のビジョンを模索する中で、サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)という概念に行き着いたことで、より多くの人に賛同を得ることができ、事業として成功しているとのことでした。

今回の講義の中で、

新しいビジネスモデルを考える際は、自らが調査対象グループのメンバーとなって長期的な参与観察を行うことが重要

というお話がありました。電子ごみアートは、まさにエスノグラフィーを実践した事例なのではないかと感じました。

一般的な企業に属する者が、通常の業務の中で、調査対象グループに参加者として長期的に入り込むことはなかなかハードルが高いという話もありました。そこで、代替案として、

「SNSを活用してオンライン上のデータを収集する方法も使えるのでは?」

という意見が挙げられていて参考になりました。
例えば、患者が日常的に使用するスマホアプリやスマートウォッチなどで、健康状態に関する記録データを収集することで、長期的な行動観察が可能になるのではないかと思いました。

また、エスノグラフィーとVRとの相性も良さそうだなと感じました。
例えば、クリニックや薬局のモデルルームを仮想空間に構築し、市場に展開する前のサービスをモニターとしてユーザーに体験してもらうなどの方法も今後可能になっていくのではないかと思います。

新しいビジネスモデルを構想する力を身につけるために、身近にあるサービスを受動的に使うだけでなく、普段から課題意識を持って、サービスを考える立場で分析することを習慣づけたいと思います。

あとがき

余談ですが、最近「スポットライト 世紀のスクープ」という映画を観ました。
ボストンの新聞社で、長年タブーとされてきたカトリック教会のスキャンダルの真相を明らかにするために奮闘する記者たちの姿を描いた、実話を元にしたストーリーです。

映画の中で、記者たちが事件の裏付けを取るために、一次情報として関係者への聞き込み調査や被害者へのインタビューを行う一方で、二次情報として過去の文献データの分析を行うという方法で、真相を明らかにしていく様子が描かれていました。

この調査方法は、性質の異なる複数の調査方法を組み合わせるというトライアンギュレーションの考え方を体現していると感じました。ミクロの視点(瞬間、点で捉える)とマクロの視点(時系列、面で捉える)、質的データと量的データなど、多角的な視点を持つことで物事の本質を捉える力を伸ばしていきたいと思います。

#Xデザイン学校
#Xデザイン学校2023年ベーシックコース
#エスノグラフィー

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