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シーシャカフェ、にて。

別名”水タバコ”とも呼ばれる「シーシャ」。シーシャは皿の上で燃やしたタバコの煙を「水パイプ」という専用の器具でろ過し、水パイプについている長いホースで吸う嗜好品です。 水パイプには名前のとおり水が入っており、そこに煙をくぐらせるため、タバコよりも味わいがやわらかく、ニコチンやタールの含有量も抑えられます。

https://www.the-shisha-house.com/whats-shisha

シーシャが好きで、たまに吸いに行きます。
吸い始めたきっかけは、大学院生の頃、当時よく遊んでくれていた先輩に連れられて行ったこと。訪れたのは、都内の一角にそびえる雑居ビル。とある一室の扉を開けると、椅子やソファぐらいしか置かれていない部屋から、様々なフレーバーを纏った煙が溢れ出てきました。店内は少し薄暗く、数人の先客がソファにでーんと腰かけて、シーシャを片手にスマホを見たり、マンガを読んだりしている。先ほど開けた扉は、単にこの部屋の扉ではなく、また新しい世界へと続く扉のようにも思われました。
メニューを見ながらフレーバーを選んでいる間、ついに自分も喫煙者になってしまうのか…と思いました。喫煙ができる年齢を迎えた途端、何かにつけて煙草を吸い始めた同級生たちも、最初の1本目を吸うときはこんな感覚だったのでしょうか。結局、選んだのは青りんごのフレーバー。想像以上に美味しくて、食わず嫌い、もとい『吸わず嫌い』をしていましたが、こういうのもいいなと思いました。
ただ、紙タバコは吸い方に慣れず、吸っても美味しくなかったです。紙タバコを美味しく感じられる舌と肺を持っていなくて良かった、とちょっと思いました。日常的に吸っていると、お金もかさんだりしますからね。
ただ、水タバコは吸えたので、その先輩と会うときは時々シーシャカフェに行っていました。置かれているのは椅子やソファぐらいの簡素な空間で、ただただ煙を吸ったり吐いたりしていると、なんだか日常の煩わしさから解放されていくような気がして、すごく特別な時間のように思えました。

その後、コロナ禍に入ったことに加えて、お互いの生活環境の変化などもあり、その先輩とも会う頻度が少なくなり、シーシャカフェにも行かなくなっていました。
再び「シーシャ」というワードを耳にしたのは、お笑い芸人・さらば青春の光さんの企画動画。シーシャをつくって東ブクロに吸わせる企画で、自室でシーシャ台を組み立てたり、フレーバーを詰めたりして完成させていく過程や、街中の喫煙所で周りの人が紙タバコや電子タバコを吸う中、東ブクロだけはシーシャ台を持ち込んで喫煙するシュールさが印象的です。

完全に“人の影響”というやつですが、ふと“またシーシャ吸いたいな”と思い、都内の店舗を探してみました。探した結果、近所に良さそうな店舗を見つけたので訪れてみることに。内装がオシャレだと思ったのが決め手の一因でした。これまでとは異なって一人で行くことにしたので、店舗のある雑居ビルに入って階段を上る瞬間も、未知の場所へと単身赴く緊張感を覚えました。店舗のある一室を訪れるより先に、フレーバーの香りが漂ってきます。
店内に入ると、ひとり掛けのソファに案内されます。特にこれと決まったメニューは無く、店員さんに希望をお伝えすると、「じゃあこんなフレーバーはどうですか」と提案を受けて、具体的にどんなフレーバーにするのか決めるスタイルでした。店員さんたちの作業ブースにある、数多のフレーバーが入っている棚が、何でも出てくるおもちゃ箱のように見えました。
数分待つと、シーシャ台が出てきました。スパスパ吸ってみると、やっぱり美味しい。その後、味が薄くなるまで吸い続けていましたが、シーシャの美味しさだけでなく、店員さん同士、あとは常連さんとおぼしき方とフレンドリーに話している感じや、おひとりさまや複数人で来ている方など誰でも自分の時間を楽しく過ごせる雰囲気に、居心地の良さを覚えました。シーシャの炭を交換するために店員さんが訪れるたびに、自分にも気さくに話しかけてくれたことも好印象でした。

その後から今に至るまで、こちらの店舗に時折お邪魔させてもらっています。本が読みたくなったとき、仕事終わりにボーっとしたくなったとき、嫌なことがあったとき…などなど。とかく、『落ち着きたいとき』に行きたいという想いが根本にある気がします。ニコチンへの依存ではない、はず…。
この歳になって抱いている願望のひとつに、“行きつけのバーやカフェが欲しい”というものがあります。店員さんとも仲良くなって、身の上話などもできるほどの常連になれたらいいなと思う反面、そうした常連さんが店員さんと会話している傍らに自分がこっそり居るというのもまた、居心地が良いなと思うようになりました。「一人」で過ごしているけど、「独り」ではない。周りの人とも繋がれている気がする。
シーシャカフェがどこもこんな感じかは分からないのですが、自分がいつも言っているお店にはそんな良さがあって、行きつけにできて良かったなと感じています。煙とともに日常の煩わしさや嫌なことも吐き出しつつ、ゆったりと過ごせる…書いてたらまた行きたくなってきちゃいましたね。

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