【cEDH】神決直前!cEDH観戦メモ
来る3月5日、ついに初の統率者神決定戦が行われます。
5日の予選ラウンドからフィーチャーマッチの配信が行われるようなので、この機会にガチEDHをやるのはちょっと……という人でも楽しく観戦が出来るように、この記事では現在(~NEO)のcEDH環境をまとめます。
カードプールが準ヴィンテと称されるほど広いので、強力なカードの応酬で試合展開が派手になることが多く、見ごたえのある試合が多いと思います。
しかし、そのカードがなぜ、どのように強力なのか、を理解することで更に見応えが増すと思います。
当日晴れる屋さんの配信の方でも解説が入ると思いますが、予備知識として何卒。
1.各色の強み
まずは各色の強みとcEDH環境を定義するコンボについて。
EDHにおいて、統率者の固有色によってデッキの構築が制限されるということは周知の事実だと思います。
統率者との噛み合いを考えて、固有色の中でいかにシナジーを形成するか……というのがEDHの醍醐味であると思いますが、cEDHに於いてはやや事情が異なります。
というのも、シナジーのみでデッキを構成してしまうと統率者が除去されたり、カウンターされたときにデッキの大半が機能不全に陥る可能性があるからです。
また、シナジーが強烈な統率者は単体性能が高いことが多く、余計に妨害の的になる場合があります。
昨今の共闘ブームはこのようなEDHのジレンマ、とも言うべき現象に対する一つの回答でした。
EDHのデッキに除去はそうたくさん入っていないことがほとんどです。アドを稼ぐだけの《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》、《ルーデヴィックの名作、クラム/Kraum, Ludevic's Opus》や《トリトンの英雄、トラシオス/Thrasios, Triton Hero》、マナを増やすだけの《鋭い目の航海士、マルコム/Malcolm, Keen-Eyed Navigator》に除去を打っても、基本的にはそのプレイヤーと自分が共倒れするだけで終わってしまうので、《永遠の造り手、ラシュミ/Rashmi, Eternities Crafter》などで除去コントロールのようにデッキを構築しない限り、あまり除去をするプレイヤーはいません。
また、共闘ジェネラルは色を自由に選択出来るというメリットの反面、強烈にシナジーを形成するカードが少ない、いわゆる『オリカ』が少ない傾向にあります。
つまり、デッキを汎用性の高いパーツで固めた『丸い』物にできるということです。
共闘が先程述べたEDHのジレンマに対する回答となりうる理由です。
共闘の流行っているcEDH環境を理解するためにはまず、その色から飛んできうるパワーカードを知ること。そこから始めたいと思います。
前置きが長くなりましたが本編に行きましょう。
1-1.白/White
cEDH環境に於いて、白がメインカラーに据えられることは殆どありません。
しかし、白のサポート能力は非常に高く、4色共闘などでは5~6枚の採用にとどまるにもかかわらず、必ずフィニッシュに貢献する優秀なカードが揃っています。
《沈黙/Silence》《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》《堂々たる撤廃者/Grand Abolisher》は対話拒否の中でも最高品質を誇ります。
非クリーチャー呪文を使ったコンボや妨害がほとんどなcEDHにおいては、《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》はほぼ《沈黙/Silence》のように機能します。リソース札である《エスパーの歩哨/Esper Sentinel》や《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》にアクセスしつつ、相手のコンボを牽制し続けるその姿は正しく『長』の名に相応しい風格です。
また高速コンボデッキに対してカウンターを構えていても《偏向はたき/Deflecting Swat》や《赤霊破/Red Elemental Blast》などで打ち消され、そのままコンボが通ってしまうこともあります。
そんなときは……
《沈黙/Silence》であれば青いカウンター以外でほぼ対処されず、その後のコンボ成立を阻害することができます。《死の国からの脱出/Underworld Breach》に対応してキャストされた場合は怒りで目が赤くなってしまうかも。
《堂々たる撤廃者/Grand Abolisher》は最高峰のお口チャックカードです。
《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》や《心悪しき隠遁者/Malevolent Hermit》などの起動すら許しません。
弱点はNEOで追加された魂力土地サイクルや、《敏捷な妨害術師/Nimble Obstructionist》などの手札で起動する能力が止められないことくらいです。
ということで、この3枚が唱えられた際には終盤戦だな、と意識してみていただけるといいと思います。
EDH醍醐味シリーズの教示者サイクルは《悟りの教示者/Enlightened Tutor》。サーチ範囲はエンチャントとアーティファクトで、8割方《魔力の墓所/Mana Crypt》になります。残りの二割は《死の国からの脱出/Underworld Breach》とか。
また、《エスパーの歩哨/Esper Sentinel》は序盤を支えるカード。誘発回数こそ少ないものの、これをケアするかしないかの攻防にも注目です。その系統で言えば《息詰まる徴税/Smothering Tithe》は4マナと重いですが、長めのゲーム展開になればなるほど強いいぶし銀なカードです。
また、スタックスカードが多いことも特徴に挙げられます。
特に《法の定め/Rule of Law》を始めとしたキャスト制限系カードはチェインコンボが中心の今の環境にピタリと刺さって、多くのデッキの動きが止まります。
総じて中盤戦に強いカードが多く、白を採用しているということはミッドレンジよりも後ろのデッキであることが多いと覚えておきましょう。
1-2.青/Blue
cEDH最強色の1つ。もう1つは次紹介する黒。なんと言っても打ち消し呪文の存在が強烈です。
打ち消し呪文は相手への妨害になりつつ、自分への妨害の対策にもなる、とデッキに採用することの裏目が限りなく少ないもので、デッキに青があるかないかはそれだけでデッキパワーに影響するレベル。
具体的にどんな呪文が採用されているかは僕の2億倍上手いぶりんさんの記事を読んでください。(丸投げ)
MTGでは盤面に触るのが苦手なのが青のお茶目ポイントのように語られますが、ことEDHにおいては異なります。
実は、できるだけ丸いカードを採用しようとしたとき、除去札として最も強いのは青のバウンスになります。
他の色のちゃんとした除去札はたいてい何かを打ち漏らしており、「土地でないパーマネント」を対象にできる呪文で軽量なものはほとんどバウンスなのです。
具体的には《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》《錬金術師の挽回/Alchemist's Retrieval》《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》などが当てはまります。
それぞれにそれぞれの強みがあって、《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》はコンボに行くとき、自分の土地を割りながら自分のマナアーティファクトを戻して再キャストすることでことで擬似的なマナ加速を行うことができますし、《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》は超過で撃てばほぼ勝ちといってもいいくらいの盤面解決力を持っています。
《錬金術師の挽回/Alchemist's Retrieval》は《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》を戻せる。それくらい。
ちゃんと除去ろうとすると《猿術/Pongify》《急速混成/Rapid Hybridization》《再造形/Resculpt》あたりになりますが、どれも相手にオマケのトークン付き。まあライフ40点あるんでだいたい大丈夫です。
アーティファクトを使うのが上手な色でもあります。
《Transmute Artifact》《発明品の唸り/Whir of Invention》《作り直し/Reshape》といった直接場に出すものから、《加工/Fabricate》《粗石の魔道士/Trinket Mage》《捧げ物の魔道士/Tribute Mage》といったサーチまで豊富。意外と白の立つ瀬が無い。
アーティファクトによる莫大なマナ加速を行った後のデブも強い物が多いです。
記憶に新しい《発展の暴君、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Progress Tyrant》、めっちゃ引く《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》、《原初の潮流、ネザール/Nezahal, Primal Tide》。
《召し上げ/Expropriate》や《アミナトゥの占い/Aminatou's Augury》も通されるとゲームをやめたくなります。
当然インスタント・ソーサリーへのアクセスも強く、《神秘の教示者/Mystical Tutor》をはじめ、《方程式の求解/Solve the Equation》、《商人の巻物/Merchant Scroll》などなんでもござれ。
《幻影の像/Phantasmal Image》や《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》といったクローンも対戦相手の多いEDHでは強力です。だいたい《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》になる。カス。
最近では《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》メタで《激しい叱責/Dress Down》が流行ってますね。
しかし何よりも一番終わってるのが《リスティックの研究/Rhystic Study》と《Mystic Remora》です。
《Mystic Remora》に関しては維持コストを要求する分まだマシで、本当に終わってるのは《リスティックの研究/Rhystic Study》。
《リスティックの研究/Rhystic Study》を2ターン目に置けた?おめでとうございます。あなたの勝ちです。
これは誇張でもなんでもなく、経験則からくる真剣な感想です。
《リスティックの研究/Rhystic Study》を置いたプレイヤーはそれ以降他人が少し欲張って行動するだけで大量のカードを手に入れることができます。
ゲームがのびているということはそれだけはじめに動いたプレイヤーに対する妨害やそれに対するカウンターなどが飛び交う確率が高い(=すんなりコンボが通って終わりとはなりづらい)ということ。そんなギリギリの戦いの中でリス研をケアし続けられるでしょうか?答えは否。よって《リスティックの研究/Rhystic Study》を置いたプレイヤーが一方的にリソース差を広げそのまま勝利することになります。
個人的にはあらゆる手段を以ってこのカードを着地させないことを意識したほうがいいと思ってます。
見る側のやることは1つ。このカードが通ったら風呂に入りましょう。その人が勝つので。
1-3.黒/Black
青に並ぶEDH最強色。なんと言っても驚異的なサーチ力。
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》《吸血の教示者/Vampiric Tutor》《伝国の玉璽/Imperial Seal》は標準搭載。まだ必要なら《不気味な教示者/Grim Tutor》もあるぞ!
そしてマナ加速もピカイチ。
《暗黒の儀式/Dark Ritual》《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》《弱者選別/Culling the Weak》と、何マナ伸ばすんだお前ら。
そして黒の切り札、《むかつき/Ad Nauseam》と《深淵への覗き込み/Peer into the Abyss》そして《ネクロポーテンス/Necropotence》です。
これらについては昔戯言を書きなぐりましたが、やっぱつえーわ、《むかつき/Ad Nauseam》。
赤黒の組み合わせがあったらほぼ入ってると思いましょう。黒黒含んだ5マナ構えはエンド《むかつき/Ad Nauseam》の構えです。違ったら鼻からスパゲッティを食べます。
《ネクロポーテンス/Necropotence》もエンドに手札が増えるだけに見えますが、《出現領域/Emergence Zone》や《高潮のバラクーダ/Tidal Barracuda》と合わせて呪文が瞬速を持つとヤバいです。コーナーで差をつけられてそのまま負けます。
ライフがリソース系のインチキだと《納墓/Entomb》+《再活性/Reanimate》+《血の取引者、ヴィリス/Vilis, Broker of Blood》or《穢れた血、ラザケシュ/Razaketh, the Foulblooded》も有力。
このあたりの存在で黒いデッキはそれだけでよく殴られてます。一応《むかつき/Ad Nauseam》が有効なゲームレンジというのにも限りがあるので、いつ《むかつき/Ad Nauseam》マンを殴るのをやめるかというさじ加減が腕の見せどころ。観戦のときは、そのあたりの大局観に注目してみましょう。
1-4.赤/Red
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》と《死の国からの脱出/Underworld Breach》の色です。以上。
流石に雑すぎるのでもうちょい書くんですけど、《死の国からの脱出/Underworld Breach》はまあいいんですよ、コンボ条件緩いとはいえ意外と脆いので。
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》がマジで終わってて、これを出した人が勝ちます。
緑のマナ加速が現状アーティファクトによる加速に速度面で勝てておらず、cEDHのデッキの殆どはアーティファクトによってマナ加速を行います。
そんな中ポンと《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》を出すと大体6マナくらいもらえてそのまま勝ちます。
青のバウンスやクローンと合わせて《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》をおかわりしてもいいですし、何なら5マナ出りゃ《むかつき/Ad Nauseam》で終わりです。
Ritual系の非じゃない速度でマナが伸びるのでホント信じられない角度から死ぬんですよね、これ。というかこいつのせいでアーティファクトメタるよりも使ったほうが強いっていう状況になっちゃってるのが一番終わってます。
cEDHは波止場とリス研を投げ合うゲーム、と誰かが言っていました。だいたい真実です。そのくらい環境を定義しているカード。
それ以外だと《偏向はたき/Deflecting Swat》もまあ強いです。非青コンボデッキのピッチスペルは普通にやりすぎなので。あと《ジェスカの意志/Jeska's Will》は赤マナしか出ないところがお茶目で可愛いですよね。《むかつき/Ad Nauseam》めくって勝ったことありますけど。
白と同じでタッチカラーなんだけど強烈すぎるのが赤って色です。
1-5.緑/Green
不遇の色です。マナクリが弱すぎる。召喚酔いって何?
ただ、ちゃんと強いところも存在します。クリーチャーへのアクセスはどの色よりも強力でしょう。特に、《破滅の終焉/Finale of Devastation》と《召喚の調べ/Chord of Calling》、《異界の進化/Eldritch Evolution》は色を指定しないので様々なクリーチャーが出てきます。
嘘です。
9割方《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》が出てきます。
残りの1割は《タッサの神託者/Thassa's Oracle》と《堂々たる撤廃者/Grand Abolisher》。これのせいでせっかく《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》とかもらったのにほぼ使われてない。
一応他の強みとして、白抜き4cでデッキを組んだときに《落葉の道三/Dosan the Falling Leaf》という対話拒否カードが使えることと、《花の絨毯/Carpet of Flowers》という環境に刺さったマナ加速を扱えることくらいです。
これも最近はタッチカラーになりがち。
2.強いコンボと組み合わせ
ここまで単色ごとの強みの話をしてきましたが、多色のカードについて述べるとともに、色の組み合わせについても話していきましょう。
2-1.デモコンタッサ
《タッサの神託者/Thassa's Oracle》の誘発に合わせて《Demonic Consultation》か《汚れた契約/Tainted Pact》をあわせて特殊勝利するコンボです。必要な色は青黒。
わずか3マナで仕掛けられる2枚コンボで、奇襲性が非常に高いのがポイント。
マイナスポイントはコンボパーツが単体だとほぼ役に立たないこと。
青黒が入ってたらほぼ入っているものと思いましょう。
緑が追加されると《タッサの神託者/Thassa's Oracle》を直接場にリクルート出来るようになります。
《汚れた契約/Tainted Pact》はデッキ枚数を調整出来るのですが、《Demonic Consultation》はデッキが吹っ飛ぶので《タッサの神託者/Thassa's Oracle》の誘発解決前にドローさせられると死にます。
《エスパーの歩哨/Esper Sentinel》《ルーデヴィックの名作、クラム/Kraum, Ludevic's Opus》《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》あたりに気をつけておきましょう。
2-2.《死の国からの脱出/Underworld Breach》コンボ
こいつらいっつも山ひっくり返してんな。
拡張性が非常に高く、これ一枚で1つ記事が書けると思います。
必要な色は最低限は赤のみ、一番活かすなら青黒赤もしくは青赤白、緑抜き4色の択。
《死の国からの脱出/Underworld Breach》がある状態で墓地を増やす手段+マナを増やす手段を墓地から脱出し続けて勝利します。青があるかないかで今回は区分します。
・パターン①赤+α(非青)
必要なのは《死の国からの脱出/Underworld Breach》、《研磨基地/Grinding Station》、『墓地から再キャストしてマナが増えるアーティファクト』、《霊気貯蔵器/Aetherflux Reservoir》+墓地3枚。
マナファクトは《魔力の墓所/Mana Crypt》や《太陽の指輪/Sol Ring》がいいでしょう。
パーツの多さに目が回るかもしれませんが、それを問題にしないのがこのコンボのすごいところ。
《死の国からの脱出/Underworld Breach》で《ギャンブル/Gamble》や《悪魔の教示者/Demonic Tutor》を使い回すことが出来るので墓地さえあればどこからでもコンボパーツをかき集めることが出来ます。《ギャンブル/Gamble》で落ちたパーツも脱出出来るのがオシャレポイント。
この点が《むかつき/Ad Nauseam》との相性が最高、という所以で、Tutorと脱出をキャストするマナさえ確保してしまえば、Tutor一枚から勝利できてしまうというのが《むかつき/Ad Nauseam》の成功率を格段に上げました。
また、対話拒否が通っている前提にはなりますが、《Wheel of Fortune》と《ジェスカの意志/Jeska's Will》とかで大胆に墓地を回すパターンもあります。
・パターン②赤+青+α
墓地を増やす手段が《思考停止/Brain Freeze》に、マナを増やす手段が《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》に、勝利手段が《タッサの神託者/Thassa's Oracle》や《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》になります。
コンボの始動で《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》を切ってガバっと墓地を肥やした上に《思考停止/Brain Freeze》でガバっと墓地を肥やすので、細かい計算がいらなくていいですね。《むかつき/Ad Nauseam》通った後とか特に!
・Tips:直感セヴィン
ここで、青赤白の場合の強みにも言及しておきましょう。
いわゆる直感セヴィンというやつです。
《直観/Intuition》で《セヴィンの再利用/Sevinne's Reclamation》《死の国からの脱出/Underworld Breach》《思考停止/Brain Freeze》の3枚を持ってくることで、どれを選ばれてもコンボに行けるというものです。
《直観/Intuition》がインスタントなので、上家のエンドに打ち込むことで予告ホームランを決める事ができます。《夏の帳/Veil of Summer》ケアで緑マナ起こしてる人には打たないようにネ!
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》がなくない????と思ったそこのあなた。ご明察。《水蓮の花びら/Lotus Petal》とか《ジェスカの意志/Jeska's Will》でも代用はある程度効くので、《思考停止/Brain Freeze》で少しお祈りする形になります。
墓地とマナが十分あれば、《ギャンブル/Gamble》を持ってくることで他のパーツを全て墓地に落とせるので確実に勝利できます。もしくは使用済みの《悪魔の教示者/Demonic Tutor》とか。
・⚠CAUTION⚠
どのパターンにも言えることですが、コンボが長くて不確実なのでお互い理解している野試合だと手順を省略することが一般的です。
しかし、神決定戦ではルール適用レベルが競技レベルと指定されているので、無限ループを起こさないこのコンボは省略が許されない可能性があります。
使っている人は今一度手順の確認を。見ている側はハラハラしながら見守っておきましょう。
2-3.波止場エミエル
波止場カウントが4以上ある状態で無限マナが発生します。《祝福されたエミエル/Emiel the Blessed》の固有色が白のみではなく白緑(なんで?)なので、最低限白赤緑が必要ですが、無限マナの注ぎ先を求めて大抵黒抜き4色か5色デッキに採用されている傾向があります。
無限マナの注ぎ先として人気なのは《トリトンの英雄、トラシオス/Thrasios, Triton Hero》と《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》。無限ドローした後にクリーチャー全部出して《破滅の終焉/Finale of Devastation》を大きく打って終わり。
どちらもクリーチャーリクルート呪文から出てくるという奇襲性もさることながら、条件こそあれど(有って無いようなもんです)クリーチャー呪文のみで完結する2枚コンボという点が非常に強力です。
クリーチャーを打ち消せるカウンター呪文というのはあまり採用されておらず、あっさり通ってしまうことも少なくありません。
特に《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》は他のコンボに行く際も使えるカードなので、《祝福されたエミエル/Emiel the Blessed》さえ我慢できれば非常にスマートなパッケージと言えるでしょう。
3.アーキタイプと神決定戦
ここからは具体的なデッキの話に入りましょう。
cEDHにおけるデッキアーキタイプは大きく分けて3つあると考えています。
TurboNauseはいくら妨害力があるとはいえMidrangeをブチ抜くことができますし、MidrangeはStaxに縛られてもリソースを溜め込んで一気に脱獄を狙います。逆にStaxに縛られたTurboNauseは手札に大量のゴミを抱えたまま死んでいきます。
普段のゲームであれば、いろんなデッキがあることだなぁとぼんやり思うところですが、神決定戦となると話が変わります。
コマンダーサミットの最強統率者決定戦と異なり、時間切れは全員損してしまう、ということがその要因です。つまりゲームを伸ばすことを目標とするControl/Staxは分が悪い可能性が高いです。
さらに、Control/Staxは卓のプレイヤーの理解度を求めます。あまり言うと炎上しそうなのでたとえ話にとどめておきますが、初心者とやる柔道が一番危ないみたいなアレを想像してもらえればと思います。
他人のミスに巻き込まれて負ける可能性のあるEDHにおいて、予選6回戦を安定して勝つためには、自分から積極的に勝ちに行ける性能がどうしても必要になってしまうでしょう。
とすれば、TurboNauseとMidrangeの二択になり、先程の論理を適用すればTurboNause一択かと思いきや、正直ここの2つは五分なのでどちらにも可能性があります。
ということで、それぞれ有効なデッキをある程度予想していきましょう。
予め断っておきますが、ここで上げたデッキが全てではありません。当然様々なデッキが登場すると思います。ここでは有名なデッキをいくつか紹介するのみです。とはいえ、有名であれば見る機会も多いと思うので参考になればと思います。
3-1.TurboNause
・《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》共闘
《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》を使って、生贄ギミックや、統率者ボーナスをいとも簡単に得てしまおうというところをスタートに、高速でマナ加速をして《むかつき/Ad Nauseam》につなげます。
《求道の達人、サイラス・レン/Silas Renn, Seeker Adept》は青のカウンターによるバックアップを得意とし、直近のコマサミでも優勝した実績を持ちます。
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》は色の少ない代わりに《むかつき/Ad Nauseam》がなくても中間ゴールのような役割を果たし、《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》を+1能力で生贄にすることで3枚ドローしてコンボの準備をすることができ、コンボに行けなくても奥義での制圧を狙え、広いゲームレンジで戦えることが特徴です。
《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》は「ログサイラス」と「ログテヴェ」の中間くらいのイメージで、ティムナでコンボパーツを集め、白の対話拒否を用いながら安全にフィニッシュを狙う形になります。
《最後のアブザン、レイハン/Reyhan, Last of the Abzan》はひと夏の思い出です。やめときましょう。
・《騒々しい写本、コーディ/Codie, Vociferous Codex》
強烈なデメリットが目に付きますが、その実態は安定2キル製造マシーン。
能力を起動して1マナの呪文を唱えると、《不敬な教示者/Profane Tutor》が確定でヒットし、そこから《むかつき/Ad Nauseam》をサーチしてそのまま勝ちです。
何故か5色なのでカウンターも《赤霊破/Red Elemental Blast》系も《夏の帳/Veil of Summer》も《沈黙/Silence》も打てます。なんで?
弱点はコーディーが召喚酔いすること。息の根が止まるまでコーディーをしばき倒されると流石に何もできなくなります。最近はこのデッキももうバレてきたのでみんなちゃんと除去を打ってくれるようになりましたね。
あとたまに盤面のコーディーを処理しきれず《死の国からの脱出/Underworld Breach》が置けなくて爆発しているのを見ます。そのへんも込で観戦しましょう。
3-2.Midrange
・《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》+《ルーデヴィックの名作、クラム/Kraum, Ludevic's Opus》
言わずとしれた4色共闘代表です。
ここまでに言ったEDHで強い部分の波止場エミエル以外の全てを持っています。
急に2キル仕掛けて来たかと思いきや、手札がごそっと回復したりするので本当に恐ろしいです。共闘系全般に言えますが、構築も人によって様々で読みづらいのも怖い
強いて弱点を挙げるとするならば《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》へのアクセスが悪いこと。
直接場に出す手段を持たないので、いまいち奇襲性が足りません。そんなことしなくても勝てるんだけどね。
ジェネラルの癖が少ない分使用者の構築力と腕が試されます。見どころ。
・《トリトンの英雄、トラシオス/Thrasios, Triton Hero》+《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》による爆発力を手放し、安定に寄せきったデッキです。
《むかつき/Ad Nauseam》ではなく《選別の儀式/Culling Ritual》を切り札とし、そこから出たマナを《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》につぎ込むことが出来るのを強みとしています。
その性質上、cEDHでは特に不利とされる下家をまくることが比較的得意(ほんとに少しだけ)です。
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》と《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》の相性がとても良く、中盤戦以降はこのマナで《トリトンの英雄、トラシオス/Thrasios, Triton Hero》を起動し続ける展開になればウィンコンディションです。
フィニッシュに乏しいことが弱点で、デモコンタッサを頑張って揃えるか、《最後の審判/Doomsday》コンボに行くことが多いと思います。
たまに《穢れた血、ラザケシュ/Razaketh, the Foulblooded》を素で唱えてスラル食い散らかしてめちゃくちゃにします。
・《鋭い目の航海士、マルコム/Malcolm, Keen-Eyed Navigator》共闘
《鋭い目の航海士、マルコム/Malcolm, Keen-Eyed Navigator》を中心にした、海賊シナジーを盛り込んだデッキです。ちなみに《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》は何故か海賊です。《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》も何故か海賊です。
《光り角の海賊/Glint-Horn Buccaneer》との2枚コンボが強烈で、基本的には赤を含む共闘と組むことが多いです。比較的かんたんにマナが伸びるので、動きの自由度が高い反面、シナジー要素が他のデッキに比べ強いので、《鋭い目の航海士、マルコム/Malcolm, Keen-Eyed Navigator》を除去されると動きが一気に鈍くなるという弱点も抱えています。
《血を蒔く者、ターナ/Tana, the Bloodsower》の場合は緑のリクルートにより《光り角の海賊/Glint-Horn Buccaneer》を早期に着地させ、失敗した場合も《有毒の蘇生/Noxious Revival》、《永遠の証人/Eternal Witness》、《破滅の終焉/Finale of Devastation》等で再チャレンジを狙います。
《激情の薬瓶砕き/Vial Smasher the Fierce》の場合は黒のチューターでコンボを揃えます。時折《むかつき/Ad Nauseam》からの《死の国からの脱出/Underworld Breach》で勝ちます。
《粗野な牧人、ブルース・タール/Bruse Tarl, Boorish Herder》の場合は二段攻撃の付与によってマルコムの誘発回数を増やしたり、《記憶の仮面/Mask of Memory》の誘発回数を増やしたりしてリソースを獲得します。直感セヴィンのルートが採れるので、そちらの方向からも攻めてきます。
《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》の場合は《光り角の海賊/Glint-Horn Buccaneer》コンボを廃した代わりにマナと手札が増え続ける脅威のリソースエンジンと化します。大抵対話拒否カードからの《最後の審判/Doomsday》コンボに行って終わります。
・《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》
ジェネラルのスペックが高すぎます。《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》が場に定着したら後は一生マナを構え続けられて破産します。
PWはトランプルで落ちるし、クリーチャーの戦闘が起きようものなら相打ちにしてくるし、ライフを詰めても回復されるし、カードは引かれるし、せっかく除去したヘイトベアーを釣られるしともう散々です。
逆に言えば、そこに行くまではただの5色ハイランダーなのでそのスキに走られるとヤバい。
波止場エミエルが一番強いコンボな統率者の一人。
3-3.Control/Stax
・《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》
Staxは活躍が難しいという予想を立てました。
しかしこいつだけは例外です。縛ってるついでで人が死ぬので。
《法の定め/Rule of Law》系でしっかりキープできればコンボ環境が予想される神決定戦では無類の活躍をするでしょう。
弱点は全体除去。《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》を弾き続けるだけだとどこかで限界が来るので誘発の種を一掃してしまったほうが立て直しに時間がかかる。
ヘイトベアーに悩まされているなら《激しい叱責/Dress Down》も良い手段。自分の《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》が止まる代わりにヘイトベアーを無効化出来ます。
初代コマサミで最大母数だっただけあってある程度は意識されていると思いますが、どうなるのか楽しみなデッキです。
4.おわりに
ここまで長いことcEDH環境について述べてきましたが、これは本当に一部の上澄みです。実際のプレイでは統率者ごとに深い理解を要求されますし、それは使い手に限らず対戦する側にも等しく要求されます。つまり、相手が何をするかわかって、自分が何をするべきかわかってるプレイヤーが強いということです。
しかし、2人構築と異なり、同じ卓のプレイヤーの理解度が低いせいで負けてしまうシーンなども存在しえます。それがEDHの醍醐味でもあるし、悪いところであるとも言えるでしょう。
また、順目に非常に強く左右されるゲームであることも否めません。
勝つためにはまさに運と実力の2つを兼ね備えることが必要となる大会になりそうです。
広いカードプールをプレイヤーがどう活かして来るか、ということにも注目したいですね。大阪で行われたコマサミでは《黒薔薇のマルチェッサ/Marchesa, the Black Rose》《汚らわしき者バルソー/Balthor the Defiled》《原初の潮流、ネザール/Nezahal, Primal Tide》といったあまり見かけない統率者が決勝卓に進みましたし、《千の顔の逆嶋/Sakashima of a Thousand Faces》+《親指なしのクラーク/Krark, the Thumbless》のような意識されていない共闘統率者が出てくるかもしれません。
また、cEDHの対戦は何も神決定戦だけではなく、Discordサーバーでもよく行われています。
僕がよくあそばさせて頂いている「飲酒EDH」でも高レベル卓が立つので、神決定戦で興味を持った方はぜひ遊びに来てください。
また、当日僕は出場せず、配信で観戦をしようと思っているのですが、その際に飲酒鯖で雑談をしながら観戦をする予定を立てています。
聞き専でも構いませんので、予定が合えば一緒に神の決まる瞬間を目撃しましょう。
それでは今回はこのあたりで、疑問質問いちゃもんはいつもどおり僕のTwitterまで。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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