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エンデュランスゾーン(Zone2)について理解を深める

少し前の記事ではポラライズドトレーニングについて解説された海外記事をご紹介しました。

ポラライズドトレーニングであれ、他のトレーニング方法であれ、今回のテーマとなるエンデュランスゾーンに割く時間は全体の6割以上にのぼります。

エンデュランスゾーンは、ゾーンの分類でいうと2番目に軽いゾーンを指します。

強度的にはおおよそ55%-75%FTPパワー。

注目されることの少ない強度帯ですが、このゾーンが秘めた力について解説してくれている海外記事をご紹介します。

出典元は前回同様TrainerRoadで、同じ方が書かれたものです。

非常に分かりやすい解説をしてくれる方なので、意訳にはなりますがご紹介させてもらいますね。

是非、最後まで読み進めてみてください。




ご紹介する記事


低強度で有酸素性パワーが主体の「エンデュランス」ゾーンの強度はあまり注目されることがありません。

しかし、このゾーン帯の強度はレースでも度々みられますし、注目して損はありません。

今回はこの見落とされがちなゾーンについて解説していきます。


エンデュランスゾーンとは

「エンデュランス」ゾーンは一般的にはゾーン2に分類され、55%-75%FTPに相当します。

リカバリーとテンポゾーンの間です。

エンデュランスゾーンでは遅筋線維が主に動員されて、適切な燃料さえあれば考えられないほど長時間活動し続けられます。

この強度帯でトレーニングをすることは疲労が小さく、しかしリカバリーペースに比べてフィジカルアップに向けた刺激を体にもたらすことができます。

ほとんどのライダーがエンデュランスゾーンを長く、遅いペースで走るものと考えています。

しかしクリテリウムのようなハードなイベントでさえ、集団走行中にはエンデュランスもしくはリカバリーペースで走行していることがあります。

このことはハードなトレーニングセッションにも言えて、エンデュランス強度はインターバル間に使用されます。

競技レベルに関わらず、サイクリストは思っている以上に多くの時間をこのエンデュランスゾーンに割いているのです。



エンデュランスゾーンのメリットは何か?

エンデュランスゾーンではほぼ有酸素的なエネルギーが主体です。

ですので、有酸素性の能力向上が期待できることは言うまでもありません。

エンデュランスゾーンでのトレーニングの最も有益なメリットはミトコンドリアの密度を高めること、毛細血管網を発達させること、そしてエネルギー代謝に必要な種々の酵素を作り出すことです。

エンデュランスゾーンで繰り返しライドを行うことで脂質の利用能力を高めるため、体組成の改善にもつながります。

しかしエンデュランスゾーンでのトレーニング効果は長い目で見なければ分かりません。

トレーニング効果を肌で実感するには多くの時間が必要です。

伝統的なベーストレーニングが非常に長い期間行われるのもそのためで、効果的ではある一方で、多くのアスリートにとっては時間的な制約から非現実的なものになることがあります。

そのような方にとってはスイートスポットトレーニングが同じような効果が見込めて、かつ短時間で行うことができる方法です。



どのタイミングで組み込むと良いのか?

有酸素能力の開発はサイクリストの土台です。

全ての能力の土台となって、全てのスキルをサポートします。

エンデュランスゾーンにしろスイートスポットトレーニングにしろ、有酸素能力の開発はシーズンの始め、特にベース作りの段階で行うべきでしょう。

ベーストレーニングがシーズンの始めに位置し、その後により強度の高い、より専門的なトレーニングが後に続きます。

どのトレーニングフェーズにおいても、疲労を溜めこみすぎないように計画されたリカバリーウィークにはエンデュランスゾーンが組み込まれます。



どのくらい計画に組み込むと良いか?

トレーニング計画のどの段階か、どの程度トレーニングの時間が確保できるのか、そして目標とするゴールはどこか、などによって変わります。

何故ならエンデュランスゾーンは高強度で短い時間トレーニングと同程度の効果を発揮するためには長い期間が必要だからです。

一方で週に実施するトレーニング時間が増えれば、必然的にエンデュランスゾーンに費やす時間も増えます。

なぜなら非常に運動量の多いアスリートであっても、毎週生産的にこなせるハードなトレーニングには限りがあり、残りのトレーニングは低強度帯で行われます。

毎週25時間ほどの量をこなすプロサイクリストがエンデュランスゾーンに多くの時間を割く理由でもあります。

では、あなたにとってどれくらいが丁度良いのでしょうか?

シンプルに答えるとすれば、時間に余裕がある場合は有酸素性のコンディショニングとして、エンデュランスゾーンを追加してください。

ただし、通常のトレーニングを妨げるほど疲労を溜めないように注意してくださいね。



エンデュランスゾーン vs スイートスポットトレーニング

有酸素性のベースを作るためにはエンデュランスゾーン、スイートスポットトレーニングの2つの方法が効果的です。

どちらも効果的ですが、有酸素能力を改善するために必要な時間は全く異なります。

伝統的なエンデュランスゾーンでのベーストレーニングは本当に多くの時間をスローペースで走らなければなりません。

一方スイートスポットトレーニングは時間に制約の多い一般の方にとって、時間の代わりに強度で補うことができます。

スイートスポットトレーニングであれば週に2-3回のトレーニングによって能力の向上が望めます。

どちらが良いかは、あなた次第です。



エンデュランスゾーンのトレーニング例

記事より引用

トレーニング名:Pettit
60~70%FTPのパワーでケイデンスやパワーを変化させます。


記事より引用

トレーニング名:Baxter
こちらはよりダイナミックで、様々なケイデンスを用います。55%~80%FTPの領域でエンデュランスゾーンを少し超えますが、そこまで長い時間ではありません。Baxterは有酸素能力の向上に加えて、ペダリング技術を高めます。



有酸素能力の土台を作るためのエンデュランスゾーン。

ロングスローディスタンスでも用いられる強度帯ですが、効果が現れるまでには非常に長い時間が必要。

時間がない方にとってはスイートスポットトレーニングもオプションに入る、ということでした。

疲労を極力ため込まずに次のトレーニングに向けて効果をつなぐ、エンデュランスゾーンにはそういった役割があるのかもしれませんね。


今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

また読みに来てください。


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