#35 1日1時間のトレーニング、週に3回以上で効果が高い
大会やレースに向けてトレーニングだ!
でも仕事との兼ね合いもあるし、1日1時間トレーニングが確保できれば御の字。毎日はちょっと無理だな。。
という状況の方や、これからトレーニングを計画する上でどれくらい時間を確保した方がいいのか?と疑問をお持ちの方に参考にしてもらえる論文をご紹介します。
論文では週に3回以上行うと効果が高いという結果になっています。
是非、読み進めてみてくださいね。
今回の記事で中心となる体力レベルは下図のBeginner~Activeになります。
適量のトレーニングってどれくらい?
目標とする大会やレースがあって、それに向かってフィジカルを高めていきたい場合、週にどれくらいトレーニングを行えば効果が出るのかは知りたいところ。
今回ご紹介する論文では、1時間のトレーニングを週に1~5回行うグループに分けて6週間トレーニングを行った結果を比較しています。
検証には18-35歳の一般男性78名で、普段のトレーニング習慣はない方が参加しています。体力水準は一般的にみて「平均的」な方たちです。
6週のトレーニング前後にランプテストを行って、トレーニング効果をチェックしています。
トレーニング内容
今回の論文では4つのメニューを順番に行っていくように指示が出ていますが、なかなかの強度のメニューです。
いわゆる閾値トレーニング、テンポトレーニング、スイートスポットトレーニングにあたるようなもののみで構成されています。
論文の記載から強度を推測しzwiftでメニューを作成してみたのが下の図です。
これらのメニューを人によっては週に1回、最大週に5回を6週間継続しています。
一体どれくらいの成果が出たのでしょうか?
6週間後の結果
トレーニングの結果は、順当に週のトレーニング回数が多いほど高い成果を上げる人たちがいました。下の図をご覧ください。
平均値だけを見ると効果について見誤ってしまうので、平均値から±1.5SD(標準偏差)の範囲で示してみました。
±1.5SDとは、示した範囲に約87%の人が含まれるといった意味合いです。
たとえば週に1回トレーニングを行うと、VO2max向上は図で示したプラスからマイナスにかけての範囲になる人が87%ほどになるだろうということです。(厳密に統計的なことを言うと少し異なります)
以下、今回の結果について見ていきましょう。
週に1~3回ではトレーニング効果が出なかった人もいる
けっこうきついトレーニングにも関わらず、週に1~3回のトレーニング頻度ではVO2maxやFTPが向上せずにむしろ下がった人もいます。
つまり同じ強度のトレーニングを行っても、その効果には個人差があるということです。
この論文ではトレーニング効果のなかった人たちを「Non-responder」と呼んでいますが、トレーニング刺激に対して体が反応する、適応するかは個人差がかなり大きいということがこの結果からも伺えます。
トレーニングに絶対はないということですね。
そしてこの研究では「Non-responder」の方たちに対して週のトレーニング頻度を+2回にして更に6週間追加でトレーニングを行っています。
その結果、追加でトレーニングを行った全ての参加者がVO2maxとランプテストの結果ともに向上しています。
ここから、1時間のトレーニングであれば週に3回以上実施すると効果が高いと言えそうです。
週に4~5回行うと高い効果が期待できる
週に1~3回に比べると、ほぼ全ての人がトレーニング効果を上げています。
週に4、5回はなかなか時間が取れないかもしれませんが、やはりトレーニング頻度は多いに越したことはないようですね。
体力レベルが違った場合の結果
この論文を書いている研究チームは別の論文で、同様のトレーニングメニューでもう少し体力レベルの高い方を対象に検証を行っています。(参考論文2)
先ほどの論文はVO2maxが40前後の一般男性でいうところの「平均的」な方たちを対象にしていましたが、今回はVO2maxが47前後の「良い」水準の方を対象にして、週2~3回のトレーニング頻度で6週間行った結果が下図です。
先ほどとは少し異なって、特にFTPの変化については2~3回のトレーニング頻度で十分な成果を上げています。
ということで皆さんがどのような体力レベル、トレーニングステータスをお持ちかで結果は違ってきそうですが、これらの結果から週に3回以上のトレーニングで効果が見込めるとまとめてよいでしょう。
おわりに
今回の論文は1時間のトレーニングを週に何回行えば効果的なのか?を示してくれる大変面白い内容でした。
対象者がサイクリスト、トライアスリートにとっては「ビギナー」の位置づけになる体力水準の方でしたが、一つの目安を知る上では貴重な情報源になるかと思います。
なかなか時間の取りづらい日々かと思いますが、是非トレーニング続けてみてくださいね!
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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今後もよろしくお願いします。
ご紹介した論文
Montero, D., & Lundby, C. (2017). Refuting the myth of non-response to exercise training: ‘non-responders’ do respond to higher dose of training. Journal of Physiology, 595(11), 3377–3387. https://doi.org/10.1113/JP273480
Robach, P., Bonne, T., Flück, D., Bürgi, S., Toigo, M., Jacobs, R. A., & Lundby, C. (2014). Hypoxic training: Effect on mitochondrial function and aerobic performance in hypoxia. Medicine and Science in Sports and Exercise, (10), 1936–1945. https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000000321