KAWASAKI

ロードバイク好きの30代男。筑波大学スポーツ医学修士号。吉田記念テニス研修センター(フ…

KAWASAKI

ロードバイク好きの30代男。筑波大学スポーツ医学修士号。吉田記念テニス研修センター(フィジカルコーチ)、国立スポーツ科学センタートレーニング指導員(非常勤)を経て、現在フリーで活動中。日々のライドが楽しくなるような記事を投稿しています。Strava: Akito Kawasaki

マガジン

  • エネルギー代謝

    サイクリストや持久系競技者の皆さんに向けてエネルギー代謝についてまとめています。

  • サクッと一本!論文レビュー

    ロードバイクとトレーニングに関する論文を一記事につき一遍ご紹介しています。

  • 個人的な考察記事

    論文などを読みながら考えたことを記事にしています。

  • 富士ヒルクライム

    富士ヒルに関する記事を書いています。

  • 海外記事紹介

    サイクリストや持久系競技者に役立つ海外の記事を意訳、要約してご紹介しています。

記事一覧

固定された記事

KAWASAKIが質問にお答えします。

この記事を購入いただくことで、以下のサポートを行わせていただきます。 【内容】 おおよそ20分の会話、もしくはそれと同等の文面でのやり取りを行わせてもらいます。 …

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KAWASAKI
11日前
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豊かな未来に向けて

スポーツ科学の情報を多くの方にお伝えしようと始めたこのnote、多くの方に記事を読んでもらえていることが私にとって大変励みになっています。 今回の記事では私のnoteの…

KAWASAKI
11日前
15

深い呼吸の効果の理由

ヨガや瞑想、坐禅、その他のボディワークでは共通して「呼吸が大事」だと言われ、深く呼吸することが求められます。 このことは呼吸を整えることが様々な方法論において効…

KAWASAKI
2週間前
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ストレスのエネルギーコスト

仕事や学業、人間関係、お金の問題など、私たちの周りにはストレス反応を引き起こす種がたくさんあります。 また心配や不安といった感情も、ストレス反応の引き金に。 今…

KAWASAKI
1か月前
35

オーバーワークの悪循環

特に体の不調は感じないのに何故かパフォーマンスが停滞したり、すぐに疲れてしまうといった経験をされたことがあるかもしれません。 それが数日では回復せず、数週間ある…

KAWASAKI
1か月前
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カフェインの効能

コーヒーに紅茶、エナジードリンク、コーラ、風邪薬、etc… 仕事前には集中するためにコーヒーを一杯、休日には友人とおしゃれなお店で紅茶を楽しみ、運動時にはパフォー…

KAWASAKI
1か月前
37

辛さとの対話

ヒルクライムやレース、トレーニングの終盤に感じるあの辛さ。 今のパワーでいけるのか、下げるべきか - 持久系競技は疲労感と向き合い続け、その辛さにどう折り合いを…

KAWASAKI
1か月前
42

ミトコンドリアのトレーニング適応 -エピソード3-

今回の記事ではミトコンドリアのトレーニング適応について解説していこう。 今回でミトコンドリアについての連載記事3つ目になる。こちらからでも問題なくお読みいただけ…

KAWASAKI
2か月前
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ミトコンドリアの離れ業 -エピソード2-

ミトコンドリアについての連載記事2つ目となりますが、こちらからでも問題なくお読みいただける内容になっています。 始めから読んでみたい方は、以下のリンクよりご覧く…

KAWASAKI
2か月前
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ミトコンドリアの存在感 -エピソード1-

どんな細胞にも必ずあるミトコンドリア。持久系スポーツにおいては非常に大きな役回りを果たしてくれてもいる。 この細胞小器官は知れば知る程に奥が深い。不思議でたまら…

KAWASAKI
2か月前
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簡易的なFTPテストのススメ

1時間維持できる最大パワー = FTP ご自身のFTPを把握していると長期的なトレーニング計画を立てやすく、またヒルクライム大会などでも目標設定の際に重宝する。 最も信頼…

KAWASAKI
3か月前
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アミノ酸&タンパク質代謝のダイナミズム

アミノ酸とは、窒素を含んだ超優秀な物質である。 体の構成物であるタンパク質はアミノ酸の集まりであり、DNAなど多種多様な窒素を必要とする物質を作る際にはアミノ酸を…

KAWASAKI
3か月前
42

乳酸代謝のダイナミズム

「乳酸」。この物質は大きな謎をはらんでおり、今日でも多くの研究者を悩ませ続けている。 その理由は乳酸が単なる疲労物質という見方から体のシステムにとってなくてはな…

KAWASAKI
3か月前
48

富士ヒルクライムに必要なFTP -富士ヒルに向けて#2-

いよいよ近づいてきた富士ヒルクライム。皆さんも目標タイムを定めつつあるのではないだろうか。 今回の記事では以前に書いたものをアップデートし、必要な情報を加えブラ…

KAWASAKI
3か月前
45

ケイデンス -生理学的な側面からの一考察-

筋肉は不思議だ。 足音がしないように繊細な力加減で接地したり、ダッシュするときにはコンマ数秒地面に接地し大きな力を立ち上げる。 このような筋肉の不思議さに魅了さ…

KAWASAKI
3か月前
29

糖質代謝のダイナミズム

自転車を楽しまれている方ならポタリングやロードレース、どのようなシーンであれ一度は糖質(炭水化物)の摂取について思いを巡らせたことがあるだろう。 今摂取している…

KAWASAKI
4か月前
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KAWASAKIが質問にお答えします。

KAWASAKIが質問にお答えします。

この記事を購入いただくことで、以下のサポートを行わせていただきます。

【内容】
おおよそ20分の会話、もしくはそれと同等の文面でのやり取りを行わせてもらいます。

【流れ】
この記事を購入いただいた後、私から三日以内に「お礼のメッセージ」機能でご連絡いたします。

私の連絡先を記載しますので、その宛先へ以下の内容についてご返信いただければと思います。

ご希望の連絡手段(LINE、zoom、ma

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豊かな未来に向けて

豊かな未来に向けて

スポーツ科学の情報を多くの方にお伝えしようと始めたこのnote、多くの方に記事を読んでもらえていることが私にとって大変励みになっています。

今回の記事では私のnoteのこれまで、そしてこれから始めていきたい取り組みについてお伝えしていきます。

これまでのnote2023年中ごろより本腰を入れて書き始め、これまでに100記事ほどを皆さんにご紹介できるまでになりました。

当初は今まで読んできた論

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深い呼吸の効果の理由

深い呼吸の効果の理由

ヨガや瞑想、坐禅、その他のボディワークでは共通して「呼吸が大事」だと言われ、深く呼吸することが求められます。

このことは呼吸を整えることが様々な方法論において効果の土台にあることを物語っており、深く呼吸することの意義を理解しておくことは生活の様々な場面で役に立つはず。

今回の記事では深い呼吸が自律神経(交感&副交感神経)を調律する流れを解説し、日々の生活に深い呼吸を取り入れるモチベーションを高

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ストレスのエネルギーコスト

ストレスのエネルギーコスト

仕事や学業、人間関係、お金の問題など、私たちの周りにはストレス反応を引き起こす種がたくさんあります。

また心配や不安といった感情も、ストレス反応の引き金に。

今回の記事ではストレス反応によってエネルギーコストが増え、場合によってはトレーニング適応に必要なエネルギーをも費やしてしまいかねないことを説明してみたいと思います。

仕事や学業とトレーニングの両立を目指すため、ストレスをエネルギーコスト

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オーバーワークの悪循環

オーバーワークの悪循環

特に体の不調は感じないのに何故かパフォーマンスが停滞したり、すぐに疲れてしまうといった経験をされたことがあるかもしれません。

それが数日では回復せず、数週間あるいは数カ月、場合によっては年単位で続くような大変困った状況はオーバーリーチング、オーバートレーニングといった言葉で知られています(この記事では一括してオーバーワークと呼ぶことにします)。

このような状況は過酷なトレーニングを続けるアスリ

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カフェインの効能

カフェインの効能

コーヒーに紅茶、エナジードリンク、コーラ、風邪薬、etc…

仕事前には集中するためにコーヒーを一杯、休日には友人とおしゃれなお店で紅茶を楽しみ、運動時にはパフォーマンスアップを目指してエナジードリンクを。

カフェインは私たちの日常に深く浸透しており、何気なく摂取することでその効果の恩恵を受けたり、反対にカフェインの摂り過ぎによる頭痛などネガティブな作用に悩まされたりしています。

今回はサイク

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辛さとの対話

辛さとの対話

ヒルクライムやレース、トレーニングの終盤に感じるあの辛さ。

今のパワーでいけるのか、下げるべきか -

持久系競技は疲労感と向き合い続け、その辛さにどう折り合いをつけられるかがパフォーマンスを決める一つの要因です。

様々な論文を俯瞰する限りパフォーマンスがメンタルによって頭打ちになっていることに疑いはなく、生理学などフィジカルな面と並行してメンタルな側面について知ることは大変有用です。

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ミトコンドリアのトレーニング適応 -エピソード3-

ミトコンドリアのトレーニング適応 -エピソード3-

今回の記事ではミトコンドリアのトレーニング適応について解説していこう。

今回でミトコンドリアについての連載記事3つ目になる。こちらからでも問題なくお読みいただける内容になっているが、過去の記事との関連が強いのでそちらも是非ご覧いただきたい。

ミトコンドリアのトレーニング適応については研究者間で様々な意見が出されており、すっきりと統一された見解は存在しない。どの論文を採用するかで、意見が少しづつ

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ミトコンドリアの離れ業 -エピソード2-

ミトコンドリアの離れ業 -エピソード2-

ミトコンドリアについての連載記事2つ目となりますが、こちらからでも問題なくお読みいただける内容になっています。

始めから読んでみたい方は、以下のリンクよりご覧ください。

前回の記事ではミトコンドリアが筋線維の三大構成要素の一つであることをご紹介し、その役どころについて話を展開してみた。

今回はよりミトコンドリアに的を絞り、その素晴らしき離れ業について解説していこう。

1. 悠々自適なお隣さ

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ミトコンドリアの存在感 -エピソード1-

ミトコンドリアの存在感 -エピソード1-

どんな細胞にも必ずあるミトコンドリア。持久系スポーツにおいては非常に大きな役回りを果たしてくれてもいる。

この細胞小器官は知れば知る程に奥が深い。不思議でたまらない。

そんなミトコンドリアについて書籍や論文、大学で学んだことを一度文章として整理をしてみようと思い立った。

話の筋がまとめ切れていないため1つの記事では完結させず、いくつかの記事に分けて展開していこうと思う。

また整理すると言っ

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簡易的なFTPテストのススメ

簡易的なFTPテストのススメ

1時間維持できる最大パワー = FTP

ご自身のFTPを把握していると長期的なトレーニング計画を立てやすく、またヒルクライム大会などでも目標設定の際に重宝する。

最も信頼のおける測定はもちろん1時間全力で走ってみることではあるが、身体的にもメンタル的にもスーパーハードである。

代替の方法としてコーガン博士によって20分間の測定からFTPを導く方法が開発され、またランプテスト(漸増負荷テスト、

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アミノ酸&タンパク質代謝のダイナミズム

アミノ酸&タンパク質代謝のダイナミズム

アミノ酸とは、窒素を含んだ超優秀な物質である。

体の構成物であるタンパク質はアミノ酸の集まりであり、DNAなど多種多様な窒素を必要とする物質を作る際にはアミノ酸を変形し利用可能な窒素を手に入れる。

つまり、アミノ酸が無ければ生物が始まらない。そのためアミノ酸は「生命の源」と呼ばれリスペクトされている。

小惑星「りゅうぐう」の砂からアミノ酸が見つかったときに世間が湧いたのも、アミノ酸の存在が生

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乳酸代謝のダイナミズム

乳酸代謝のダイナミズム

「乳酸」。この物質は大きな謎をはらんでおり、今日でも多くの研究者を悩ませ続けている。

その理由は乳酸が単なる疲労物質という見方から体のシステムにとってなくてはならない存在であることが分かり、除去すべき対象ではなく再利用可能なエコな物質へと認識が変わりつつあるからだ。

今回の記事では乳酸について、サイクリストや持久系競技者が知っていると役に立ちそうな内容をまとめてみた。

なぜ乳酸がエネルギー源

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富士ヒルクライムに必要なFTP -富士ヒルに向けて#2-

富士ヒルクライムに必要なFTP -富士ヒルに向けて#2-

いよいよ近づいてきた富士ヒルクライム。皆さんも目標タイムを定めつつあるのではないだろうか。

今回の記事では以前に書いたものをアップデートし、必要な情報を加えブラッシュアップを試みた。

記事中には年齢、性別、体重、機材の重量を記載してもらうと、各ゴールタイムとそれに必要なFTPがグラフとして出力されるExcelも用意している。

皆さんそれぞれの状況で、どのくらいのFTP(1時間維持できる最大の

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ケイデンス -生理学的な側面からの一考察-

ケイデンス -生理学的な側面からの一考察-

筋肉は不思議だ。

足音がしないように繊細な力加減で接地したり、ダッシュするときにはコンマ数秒地面に接地し大きな力を立ち上げる。

このような筋肉の不思議さに魅了された研究者たちによってスポーツ科学は今なお発展中だ。

そんな現代なら、最適なケイデンスや最良のペダリングについても結論が出ているだろうと考えたくもなるが、論文を読み解いていくと現実はそうなってはいない。

まだまだ議論の余地がたくさん

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糖質代謝のダイナミズム

糖質代謝のダイナミズム

自転車を楽しまれている方ならポタリングやロードレース、どのようなシーンであれ一度は糖質(炭水化物)の摂取について思いを巡らせたことがあるだろう。

今摂取している量は足りているのか?それとも過剰なのか?
補給食としてどれくらい摂取すべきなのか?
ヒルクライムの大会では糖質を摂取すべきなのか?

このように、糖質摂取に関する疑問はいくらでも挙げることができる。それくらい糖質はサイクリストにとって密接

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