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子どもと「一緒に」を大事にしてほしい

私は、「シンプルな子育て」を提唱しています。「子どもがしてほしいことを(ていねいに)してあげる。(してほしいと言わないことはしない)」、それだけでいい。

そして、その時、「一緒に」を大事にしてほしいと伝えてきました。特に、「一緒にご飯を食べる」「一緒にお風呂に入る」「一緒に寝る」です。


幼児の子どもたちと一緒に過ごしてきて10年間。子どもたちの保育所での姿を見てきました。その集団での姿から、家庭での姿を聞いてきました。どんな傾向があるのかもわかってきました。

そして、保護者の方にお願いしてきたのが、「一緒に」というキーワードです。

何かしら気になる行動を見せる子どもの、家庭での姿を聞いてみると、「一緒に」がなされていない、と。そして、とりあえず、何か心配な子どもがいると、家庭での様子を「一緒に」というキーワードで聞いて、まず、とりあえずそれだけはお願いしてきました。様子を見て、また判断する、という具合です。

「一緒にご飯を食べる」では、家族みんなで食べることが週1回という家庭もありました。母親はいても父親が仕事でいない。だから夕方の週1回と。朝はどうなのかと聞いてみると、みんなバラバラだと。お父さんだけならまだしも、兄弟も。お母さんも作ったり、片づけたりしているから、別に食べている。幼児が食卓で一人で食べているという状況がありました。

なんとです。朝は忙しいですからしょうがない。というのではなく、何かをやらずに、「一緒にご飯食べる」ようにしてほしいとお伝えしていました。

一緒にいるのに、子どもと一緒に食べていない、というお母さんもいました。横で見ている?らしいのです。後で旦那さんと食べるのだそう。でも、それはお父さんに我慢してもらって、子どもと一緒に食べてくださいとお願いしていました。

「一緒にご飯を食べる」ことが、子どもの成長・発達にどれだけいいのか。なんて理屈ではないのです。子どもは、一緒に会話しながら隣で食べてくれた方がうれしいのです。それは子どもに限らない。大人だって、一緒に食べてくれたらうれしいのです。それをしていないのです。

「一緒にお風呂に入る」でも同じです。状況や時間がそれができないのだろうと思います。でも、子どもはお母さんと一緒に入りたいのです。単純です。

それをかなえられないときもあるでしょう。でも、「できるだけ一緒にお風呂に入る」を覚悟してやることです。しなければならないことは後回しにしてでも。後回しでなく適当にしてでも。

「一緒に寝る」も同じ。状況や時間がそれができない。何とか寝かしつけるだけでもと思っている方もいます。でも、これも、一人で寝ている子どもも。

一人で寝てほしいと親が思うと、我慢して寝るなんて子どももいます。「一緒に寝たい」はずなのに我慢してしまう。お母さんは忙しいから、と。自分を納得させて。自分がしてほしいことを我慢し、その心を押し殺して。

「一緒に寝る」ことをしても、スマホを見ているお母さんもいました。子どもが寝るのを待っている、ということなのでしょう。お母さんの心は一緒に寝ていないのです。

子どもはお母さんと一緒に寝たいのです。これをしていないと、子どもは敏感ですから、「一緒に寝る」ことをしていない、と見破るのです。これも覚悟しなくてはなりません。身も心も寝るのです。


子どもは、お母さんと「一緒に」いたいのです。一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入り、一緒に寝たいのです。心からそうしてほしい。それが大事なのだと。


便宜上ではダメなのです。時間だけ「一緒に」はダメなのです。子どもは敏感ですから、お母さんの心を見抜きます。だから、覚悟なのです。


こうした、子どもの心とお母さん、お父さんの心のズレがあると育たなくなってしまいます。これを大事にしてほしい。


心が育っている子どもは、こうしたズレがない。お母さんは、自然に当たり前のようにしているのだと思います。だから、子どもは、集団の場で自分のことを自分でできる、他の子どもたちと一緒に遊ぶことができる、などができるのだろうと思います。

子どもが一番になっていない、このズレはお母さん、お父さんにとっては、小さいことかもしれません。でも、これは、子どもにとって小さくない。

はじめは、「一緒に」を望んで泣いたりしても、泣いてもしてくれないとわかれば泣かなくなってしまう。心を別のものに昇華し、我慢してしまうのです。

そして、このズレは積み重なっていく。乳児期から幼児期と何年も。児童期になっても。

そうしたら、子どもは、何も言わず我慢を続ける。そして、どこかで表面化することになります。それは、気になる行動だけであればいいけど、問題行動へと。それが反社会的行動になったり、非社会的行動になったりしていくのです。


保育所に勤務していた時、保護者向けのおたよりには次のように書いています。

基本的に子どもは親と一緒に過ごす時間が長い方が、心が安定し心身共に健康に育ちます。心から「一緒に」をしてもらった子どもは成長・発達します。
ぜひ、親が家庭にいる場合は、一緒に家庭で過ごしてほしいと思います。保育所は、親が仕事をしている間に利用できる場です。親が家にいるのに保育所に来ているということはないようにお願いします。それが子どもの成長・発達にとっていいからです。
親は「一緒にいるのが当たり前」と思っていただきたい。親が買い物をする時も、掃除をする時も、どんな時にも一緒。それが、子どもにも「親」を見せることだと思います。それが「親」であることの強固な信頼を子どもに植え付けることになるからです。
そして、「一緒にいるのが当たり前」が、子どもが親になった時にも受け継がれるのです。子どもが親になった時に大事なことだと思っています。
子どもと一緒にいると、家事が進まない、というのでなく、一緒に子どもを巻き込んで家事をしてもらうなど工夫しながら過ごすこと、何を食べたいかを聞きながら過ごすことが、子どもを育てることになります。特に、子どもの心を育てることにつながるのです。

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