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新興宗教オモイデ教

大槻ケンヂの長編処女作。

「オモイデ教」と言うからには退行催眠的なイメージを持っていたが、メグマ波と呼ばれる超能力を使って相手を簡単に狂わせたり洗脳したりできるという…一見思っていたのと違うな、と思いつつも何処か引き込まれる雰囲気を持つ不思議な作品だと思う。

主要な登場人物は皆んな能力者ではあるが、この人たちも結局人間臭いな、と思わせられる一面を持っていてSFで在りながらも現実離れしすぎていない雰囲気を醸している。

作中にグミチョコでも出てくる「自分BOX」というバンドのボーカル"ゾン"とギタリストの"中間"も出てくるが、もしこの2つの世界が繋がっているとしたらこの作品はグミチョコより後のお話だと推察する。

中間は結局、ゾンに追いつこうとオモイデ教に入ってメグマ波を手に入れたのにゾンはまた1枚も2枚も上手になっていた辺りが、グミチョコでいうケンゾーの美甘子への憧れや嫉妬に近いものを感じた。

オーケン自身も、周りの人と自分をどうしても比べがちになってもっと上を目指してやる!と思ってもその目指す相手が更に上にいて…の時期が繰り返されていて、それを小説として消化したかったのかもしれない。

オドロオドロしい作品ではあるが、いつかスクリーンでオカルト映画として拝める日が来たら面白いな。単館系で如何でしょうか?