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「お参りしてもらう」ってことを”引き受ける”ことの価値について。

最近、お墓さんの話題の中に、「次の代の子どもたちにとって負担だから…」とお墓さんを片付けてしまう…ってことが話題になることがあります。「わざわざ参ってもらわなくても大丈夫。」「形を残さない方が子どもたちの負担にならなくていい。」などの話を聞くこともあります。

確かに、最近は、みんなが同じ場所で暮らし続けていく…という文化ではなくなってきていることも事実。自分たちは何とか管理することができるけれど、その後の代では管理が大変になる…ってことが予想されることもあって、片付けてしまう…ということを選択されることもあります。

確かに、子どもたちの代に負担をかけてはいけない…という考え方は、一理あるのですが、こういった話を聞くたびに、うちの子たちを「お参り」に連れて行っていて感じていることが頭に浮かびます。

子どもにとっての「お参り」の意味って?

長男と毎日「お参り」に行っていると、長男はお墓さんに向かって、目を閉じて、静かにお参りをします。そんな息子を見ていて、「お参り」は、”子どもたちを支えるとても大切なもの”ってことについては間違いないことだと思っています。

これまでにも「『お参り』が最強のサポーターになる!」ということや、「この先に起こってしまうかもしれない『悲しい出来事』から子どもを守る!」…ということについてもまとめているので、記事の最後のリンクからぜひ読んでいただければ…と思います。

ボク自身の子どもの頃はどうだったか…というと、うちの息子と同じように、よく親に連れられてお墓参りに行っていました。両親の故郷は長崎なので、お墓で花火や爆竹をしたり、お盆になると精霊船を作って、初盆の方をお送りしたりしていて、今振り返ると亡くなった方をとても大切に思う文化の中に生きてきた子どもでした。

さらに、ボク自身はおじいちゃんが大好きだったことや、生まれてすぐに亡くなってしまった2人の姉がいたこともあって、「お参り」を大切に思って、大人になってからも「お参り」をずっと続けてきました。自分の子ども時代のこと、自分の息子の姿から考えると、子どもたちにとって「お参り」がとても大切なもの…ということはおそらく間違いないことだと思っています。

「お墓さん」が負担だ…という考えと、全く違う意見もある。

一方で、最初にも紹介した「お墓の管理が大変だから…」、「わざわざ参ってもらうことはない…」と思う大人の立場のことが話題になっていることも事情はよく分かります。

自分自身の感じている「子ども」にとってのお墓さんが大切だと心から思うようになってきていることと、こういった「お墓さん」が”負担”になるから…と片付けてしまう…といった話題がなかなか相容れずにいて、日々いろいろ考えることがあります。

ボクが子どもたちにとって「お参り」がとても大切…ってことを話題にしていると、「自分もよく『お参り』に行っています!」とか「お話をきっかけに『お参り』にいくようになりました!」という話もよく聞きます。さらには、同世代の方から「親世代が元気なうちに『お墓さん』を作っておいてもらわないと、子ども世代がお墓を建てることは大変。それが”負担”になるからちゃんと建てておいてほしい!ってことを発信してほしい。」という声が届くこともあります。

つまり、簡単に言うと、お墓さんや「お参り」に対するネガティブな意見だけでなく、「しっかりとお参りをしたい…。」とか「お墓さんは絶対に大切!」という意見もたくさんあるということです。

ボクら大人が「お参りしてもらうこと」を引き受けることの価値。

「お参り」には価値があると感じている人もたくさんいますが、「子どもに”負担”をかけてはいけない。」ってことや「ボクらは亡くなった後、管理に手間を取らせるような”負担”をかけてはいけない。」ということがマスコミでも話題になりやすく、それに共感する方が増えているのは事実です。

お参りしてもらうほどのことはない…。
負担をかけてはいけない…。
管理させるなんて…。

そんな気持ちかな…と思うんですが、だけどボクが息子と一緒に毎日の「お参り」に行っていて感じることは、お墓さんは間違いなく「子どもたちにとって、自分自身を支え、育てることができる大切な場所」だということ。

「お参り」することは、確かに時間もかかるし、手間もかかります。でも、そこに「お参り」しないといけない場所があるからこそ、子どもたちは「お参り」にいきます。確かに時間も、手間もかかります。だけど、時間をかけるからこそ、手間をかけるからこそ、感じる時間や考える時間が生まれるし、向き合うことができる…と感じています。1つだけ間違いないのは、うちの家族にとっては「お参り」することが家族の大切な時間になっていることです。

そんな場所だから、ボクら大人はあまり肩肘張って「子どもに負担を強いてはいけない…」と考えすぎなくてもいいんだと思うんです。気を使いすぎたりせず、ちょっと甘えてみてもいいんだと思います。ボクらが思い切って、子どもたちから「お参り」してもらうことを”引き受ける”ことが、子どもたちと、子どもたちの子どもたち、そしてもっとその先の子どもたちのためになるはずだから…。

庵治石細目「松原等石材店」
3代目 森重裕二



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