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ギザ十との出会いからお金の歴史に思いを巡らす

いつ私のところへやってきたのか。
気付いたらお財布にちょこんと入っていた縁がギザギザの十円玉さん。

他の十円玉より一際古そうで真っ黒になっていて、「昭和二十八年」生まれという数字すら読みづらかった。

久しぶりにお会いしたものだから、改めて通称「ギザ十」さんについて知りたくなった。

ごくまれにギザのある10円貨を目にすることがありますが、これは、昭和26(1951)年から昭和33(1958)年の間に発行された10円貨です。昭和26(1951)年に当時の最高額面として10円貨が登場したため、ギザがつけられていましたが、昭和32(1957)年に100円貨(銀貨)が発行され、この100円貨との区別が難しかったことから、昭和34(1959)年に、ギザなしのデザインへと変わりました。
出典:造幣局ホームページ貨幣Q&Aより
https://www.mint.go.jp/faq-list/faq_coin#faq17

十円玉がいちばん高い硬貨だった時代があったんだなあ。と私が生まれる前の日本を想像してみる。

今年、68歳。
一体どんな一生を過ごしてきたのだろう。

戦後間もない激動の日本を見てきたギザ十さん。
生まれてからたくさんのお店のレジと人々のお財布と銀行とを行き来して、
時には床に落とされて拾われて…。

人生の大先輩に出会ったような気分になる。

以前、日本銀行本店に隣接されている貨幣博物館で、お金の歴史に触れたことを思い出した。
そこには相当な数の貨幣が展示されており、全てをじっくりと見ることは出来なかったけれど、今の貨幣になるまでこんなにも長い長い歴史があったのかと驚いた。

遂に、お金は姿を変えようとしている。
デザインの変更ではなく、キャッシュレスという目に見えない姿へ。
これもまた、お金の歴史なのかなと思うと、不思議な時代を生きている気がする。

そもそも紙幣や硬貨に触れる機会が少なくなってきた今、ギザ十さんとの出会いはとても貴重な巡り合わせだった。