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ノイズ(仮)

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2020年1月の記事一覧

【連載小説】ノイズ(仮) 第一回

鏡に映ったオレのはだか。右手に工作用のはさみを握っている。がりがりに痩せて儚い身体の中心…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第十一回

自分のことは棚にあげ品評してしまうのは仕方のないことだ。頭のなかは、誰にも支配できない無…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第十回

「あたしが家出するの、ばあちゃん知ってたんだよね」 そして姉ちゃんは、あの夜のことを話し…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第九回

鏡に映ったオレのはだか。変化していた。浮き出ていた肋骨に筋膜が張り、つるっと薄いだけだっ…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第八回

「おまえよく、あんなふうに正直に言えるよな」 「なにがだよ」 「自分が童貞とかよー。キスも…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第七回

オレが語るのならそんなのではない。少なくとも、いまは語りたくない。おいそれと語れない。語…

ajisai
4年前

【連載小説】ノイズ(仮) 第六回

あの男だった。大人の男の手を持つ男。 投げつけられた塊はほぐれ、憶えのある声になった。微かな腐臭が漂うほど熟れすぎた果物を思わせる、甘苦く低い響き。その引力に引き寄せられたオレに男は、 「お手伝い、必要ないですか?」と言った。 三.ボウズ頭になったオレだったけれどアタラシクナリタイは遠い  庭の草刈りも母さんに言われた畑部分、「宝の山」を除いてすべて終わった。経年劣化や積年の手垢、ほこりで汚れていた家具も、ひとつひとつ丁寧に、分解ができるものはばらして、隅々まで磨き、また

【連載小説】ノイズ(仮) 第五回

なんだか、消えたいなー、と思った。死にたい、とは違う。別に死にたくはない。けど、自分以外…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第四回

オレの想像では、姉ちゃんと婚約者の関係に、愛、は埒外だった。 いずれ身内になる予定の他人…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第三回

男が投げてきた必要十分の声量が、ノイズをあからさまにした。微かな腐臭が漂うほど熟れすぎた…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第二回

十六歳のオレにとって人生の約三分の一、いなかった姉ちゃん。 「なんで帰ってきたの」 オレは…

ajisai
4年前
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【連載小説】ノイズ(仮) 第十二回

見つめあった。わかった。目だ。目が、ノイズの正体だ。目だけが大人を通り越して老人になって…

ajisai
4年前
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