あなたは何故急に帰ってきたの【ショートショート】【#1】
長い間、姿も見せなかったのに。
あなたが居ない間、さも横暴なお方が、我が物顔に振舞っていました。これまで溜め込んでいた怒りを、まとめて発散するかのように、流水のごとく暴力を奮っていました。
挙句に、どこにそんな力があったのか。といわんばかりの熱気で嫌がらせの日々。私たちは毎日が戦いのようで、へとへとの日々を過ごしておりました。それは、外のセミたちすらナリを潜め、振りまかれる怒気から身を潜めていたくらいでありました。
このまま、こんな日々がずっと続くのかと、そんな絶望にも似た感情を抱かずにはいられませんでした。私たちは、それほどまでに追い詰められていたのです。
*
そんな中、あなたは帰ってきました。それも何の前触れもなく。まるで、角を曲がったら、頭を突き合わせてしまったかのように唐突に。
私は知っているのです。
あなたが来てしまったということは、この横暴な日々の終焉であり、私は、あなたを受け入れざる得ないことを。それは定められた運命であり、避けることはできないということを。
ねえ、秋。
今年のあなたは、どんな顔を見せてくれるのかしら。
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)