engage~黒装の宴~

6話


~大型スタジアム~

GNADの面々はこの地に任務のため降り立った。他にも軍、警察、民間の警備会社等武装をしている仰々しい人員が揃っている。


「かぁ~モンスター相手のコロシアムねぇ~くだらね~。」

あくび混じりで答えたのはノーランド。彼を含む数名はこのイベントに懐疑的だ。

「確かにな。なんていうかこう、敬意っての?それが足りないというかなんというか。」

カイルもノーランドに応える。この2人はハンターと料理人という立場上モンスターに対する価値観が違うようだ。

「まぁまぁ、久々の全員揃っての任務なんだからそんなぶすっとするなよ!」

テリンジは2人の肩を叩きながら応えた。

「そうよ!それにお祭りよ!すごい人ね!あのお店なんて串焼き売ってるわよ串焼き!」

「・・・お腹すいた。」

ステラとメリーに至っては完全に任務を忘れムードに呑まれている。

「任務が優先だ。」

「まあでも楽しみたい気持ちもわかるけどね。」

二ーレイが窘めつつもミュードリストも気持ちが緩みがちである。

「さぁ!配置の確認をするぞ、自由時間は交代で設けるからその時に周ればいい。」

クライブが一同に声を掛け仕事に切り替える。


一方その頃


「っで?首尾はどうなってる?」

「間違いなく現れるはずだよ~♪」

「ぼ、僕達だけで大丈夫かな~。」

会場の裏、三つの人影が密談をしている。

「しょうがないよ~♪みんなイギリスだったりアメリカだったりのマフィア潰して回ってるんだから!暇なのは俺さんとトーリッチとリーダーだけだもん♪」

「ぼ、僕も別に暇じゃないんだけど。」

「よし、しゃも!トーリ!ターゲットが現れたら殺せ。邪魔するやつも排除だ!いいな!」

「はーい♪」

「わ、わかった!」



それから数時間後
モンスター対人間の試合が行われる。
最初は選手紹介、前哨戦と徐々に盛り上げていく指向のようである。GNADの面々は割り振られた場所にて警戒にあたっている。軍や警察も警戒に当たってはいるがイレギュラーが発生した場合命令系統の関係で即座の対応に遅れが出る。そこをGNADが補う形だ。

そんな中スタジアムは一際大きな歓声に包まれる。


『さぁここで本日の大目玉!「LAST」傭兵団からノワール選手の入場だ!!』

ワアアアアア!!

実況のアナウンスに応じて観客のテンションも上昇する。

「LAST傭兵団?」

「あぁカイルは知らないか、まあ平たく言うならモンスター討伐専門の傭兵団だな。」

カイルの疑問にテリンジが答える。
今回の配置割ではこの2人がバディだ。

「ふ~ん、人気みたいだな。」

「まぁ俺たちと違って積極的に大型モンスターを討伐したりヨーロッパ各国がバックアップに回ってるって噂もあるしな。あぁ、あと今リングに上がってるノワールってやつも含めて隊長クラスのやつらは強さも段違いだしな!」

「へぇ~。」

カイルはスタジアム中央のリングに注目する。
そこには一振の槍を構えた人物がいる。その槍も特殊な紋様が浮かび上がり、特殊な槍である事が伺えた。




リング内



「さてと、ちゃちゃっと片付けて抹茶でも飲むか!」

『マスター、心拍数の上昇、体温の上昇、血流も上昇、総合判断の結果、「羞恥」状態かと思われます。観客の女性の下着でも見えましたか?』

「なわけあるか!!人前が恥ずかしいだけだよ!!」

『なるほど、つまり人前じゃなければ下着を見てもマスターは平常心を保てるのですね?』

「なんでそうなるの!?下着から離れろ!」

『下着から離れる、つまりマスターは今ノーパンという訳ですね?おかしいですね、自宅から出る際はマスターの状態は確認しているはずです。』

「もう黙ってくれ!」


ノワールと呼ばれた男性と喋る槍。この2人の漫才のようなやりとりは観客に聞こえはしないが槍に対して何かを話しているのを見た観客は付与魔法の一部と捉え、また歓声があがる。

『それではノワール選手の対戦モンスターの登場だ!・・・え?そうなの?失礼しました!なんと!ここで急遽モンスターの提供元であるクルアーン国の代表者の方から挨拶がございます!』

突然の事に観客は静まり返る。

クルアーン国とは中東地域の中央付近に出来た新興国である。内戦にホール災害と荒れに荒れていた中東地域を瞬時にまとめあげ原油等により儲けた潤沢な資金を各国の支援に充て、世界にとってもヒーローのような扱いを受ける国だ。

『マイクを通しての挨拶失礼します。私はクルアーンの技術顧問のゴルドと申します。』

「・・・見つけた!!」

その挨拶を聞いた途端警戒に当たっていたミュードリストの雰囲気が瞬時に変わった。バディを組んでいたノーランドはその変化に戸惑う。

「お、おい!ミュード!どうした?」

「コロス!!」

ミュードリストはノーランドの問いに答えず今まさに挨拶の口上を述べているゴルドがいるVIP席へと向かって風のように走って行った。

「くそ!どうしたってんだ!クライブ!ミューードのやつの様子がおかしい!持ち場を離れるぞ!」

『どうした!?ノーランド!』

「わかんねぇよ!殺気立たせてVIPの方に向かって行きやがった!」

『なら俺たちの方が近い!』

それに答えたのはカイルだ。

『わかった!ではテリンジ、カイル!ミュードリストを止めてくれ!私も向かう!ノーランドと他はそのまま周囲を警戒!』

『「了解!」』

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