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マイ・スタイル~ロマン枠撤廃

「キャンプ」とひと口に言っても様々なスタイルがある。
そりゃあ俺だってYoutubeやSNSで見るようなおしゃれなキャンプをしてみたかったさ。映えるキャンプを目指してみても、設営や荷物運びの大変さ、キャンプにかかった費用などの情報はほとんど記されていない。
キャンプを50泊くらいこなしていけば自分のスタイルが定まってくる。長く回数を重ねるための自分のスタイルがわかってくる。
映えキャンプの理想と現実の差をまざまざと見せられ「俺には無理」と簡単に諦めた。

椅子やテーブルや東屋などキャンプ場にあるものは積極的に使う


いちばん楽になったのは「ロマン枠の撤廃」ということ。決心した途端に身も心も軽くなった。
たとえばオイルランタン、LEDしか使わない。
煎りたてのコーヒー、インスタントコーヒーがぶ飲みで十分。
キンキンに冷えたビール、冷えたのを買ってくればいいし網に入れて流水に入れておけばいい。
ロックで飲むバーボン、旨いのはわかるけど真夏でも芋のお湯割りか、なんならストレートで気持ちよく酔える。
家じゃないんだから家同等や家以上のものを望んじゃいけない。それに不満があれば家にいればいいだけのこと。

完ソロのときは流水出しっぱで冷やしている


ちなみにクーラーボックスは持たない主義だ。転泊はするけど連泊はしない。悪くなりそうなものは移動のときに買って残さず消費すればいい。生鮮食料もそんなに早くは腐らない。ネットに入れて風通しのいい日陰に吊るしておけばいい。2日くらいなら熟成して旨さが増すってものよ。
連泊する人って写真を見てる限りじゃ皆さん大荷物で、設営撤収が面倒だから連泊するって人が案外多いような気がする。私はそんなことで移動を狭めたくないってだけだけどね。

薪ストーブはロマン枠の冠たるもので、薪の運搬を考えるとオートキャンプ場しか使えなくなってキャンプ場の選択肢は一気に狭まる。ランニングコストも馬鹿にならないし、いちばん火の気が欲しい朝には撤収のことを考えると気軽には燃やせない。
家庭用の反射式石油ストーブが一番ソロキャンプに向いていると思う。ストーブ裏側に熱はないからテントに沿って設置できるし、寝袋の中から指先一押しで着火できてランニングコストも安い。ストーブ内部に残った燃料で朝飯でも作れば撤収時の灯油抜きも楽になる。

暖房は石油ストーブ一択


キャンプにロマンは絶対に必要と言う人とは相容れない考えだけど、それはその人のスタイルとして尊重する。でも、私個人に関してはロマンを捨てた途端に楽になったのは事実なのだ。
キャンプだ、野営だと言ってみたとこで、所詮は野宿。ホームレス生活が理想なんだ。橋の下のホームレスの諸先輩との違いは、彼らは生活の中での住居だけど私は遊びの中での一夜の宿、それくらいの違いしか無い。

私のキャンプには計画ってものはほとんど無い。
行きたい気持ちになったときが行き頃だし、雨キャンプも嫌いじゃないけど崩れる予報が出ているときは出かけないし、それでも行きたいときには別な方角に進む。だから予約不要なキャンプ場が中心になる。
そして、家で遅くまで呑み明かすよりも外で一気に呑んで早い時間に沈没。夜明け前から目を醒ます方がずっと健康的だと思っているからキャンプは家呑みのの延長、散歩した先で泊まってしまったと言う形が理想形。
◯日前からの予約が必要とか、ましてサイトでの事前予約、カード引き落としなんてキャンプ場は予約に沿ってスケジュール通りに進めなきゃならないという使命感に縛られているようでハナっから利用しない。だから平日キャンプが多くなる。

広いキャンプ場にポツンと一軒家
きれいな無料キャンプ場で完ソロ、贅沢の極みだと思う

キャンプ場を選ぶのは景色重視。ディスカバー・ジャパンのポスターの中で目醒めたいのが理想だ。
家で怠惰な時間を過ごすよりも野外でワタワタする方にずっと充実感を感じるから、許されるならば毎日キャンプしていたい。でもそれは現実的には無理な話で、赤貧の年金生活者になってからは『キャンプに行く時間はあるけど金がない』ジレンマとの戦いである。
できるならば年間100泊を理想にしたいのだけど、なかなか難しい。

予約不要・無料・完ソロ・絶景が理想のキャンプ

キャンプをイベントとして計画するのなら話は別だが、私にとっては散歩の延長、景色に見とれてつい呑んでしまったから泊まろう的なものが理想なので、宿泊費は安価な方が良い。
SNS等で泊まってみたいキャンプ場を見て調べてみると数千円也、それで断念したキャンプ場も多い。

宿泊費に数千円をだすのならば山の温泉の自炊湯治場を選ぶ。
一昨年の晩秋に湯治場に2泊、1枚の敷き布団と掛け布団は標準装備だが追加の布団とかコタツやストーブは追加料金、布団の上に冬用寝袋で寝てアルストで米を炊いて過ごしたけど、かなり満足な2日間だった。
四方を壁に囲まれて電源付き、酒や食料の持ち込み可、24時間温泉入り放題、炊事場にはコイン式ガスコンロと共有冷蔵庫もある。もちろん風光明媚、キャンプの一種として考えれば高くはないと思った。

キャンプ気分な温泉湯治棟
1泊3960円 過去最高額
裏山に登れば紅葉と大滝


キャンプと言ったってたかが野宿、ホームレスと大きな違いのない環境に高額出費はしたくないってのが本音だ。おかげで1000円と聞くと「うーん、どうしようかな?」と考え込むレベルになってしまった。

移動は基本下道。有料道路は使わない。
アチコチ寄り道したり買い物したり、キャンプが長く続くときにはコインランドリーに寄ったりもする。
キャンプ場の出発は9-10時くらい、到着は14-15時くらいと決めている。寄り道しすぎて当初の予定地に着くのが遅くなりそうだったら予定はあっさり諦めて近くに安く泊まれそうな場所を探す。
これが予約不要の最大の利点。要予約のキャンプ場でも「今日大丈夫ですか?」と電話を入れて断られたことがない。平日キャンプの利点だ。

幸いにも収集癖やロマンを求める癖もないので沼とは無縁で、装備にかける金額は僅かなものでここ数年ずっと同じ装備で賄っている。
それでも近年ではキャンプに関する情報を得るのがネット中心になり、ブログやSNSで他人様のキャンプ風景を見れば真新しい装備も欲しくなるし、行ったことがないキャンプ場にも泊まってみたくなる。そこで各々の価格を調べて重い現実に引き戻されることになる。
今だって不自由を楽しみながらキャンプしてるのに、それだけの金額を支払う価値はあるのか?と自問して諦めることになるのだ。

装備を保管するスペースにも問題がある。
私は家の中にはほとんどキャンプ道具を置かない。家に持ち帰るのは残った食料と充電を要するものくらい。使ったクッカー類もその都度キャンプ場で洗って乾かしてから帰る。
軽自動車に積める分量がキャンプ装備の最大量と決めている。だから装備は軽くて容量が少ないもの、兼用が可能なものが多くなる。
軽自動車と言ってもキャンプ用の一人乗りと割り切ってしまえば結構な量が積める。

テントは4張り。
①Husky Fighter ポリエステル製5kg(全天候に適するメインテント)

Husky Fighter


②Naturehike CloudUp1ナイロン製1.5kg(設営簡単な軽量一人用テント。インナーだけで自立も可能なので蚊帳にも使っている。)

Naturehike CloudUp1のインナーでタープ泊
タープはなるべくポールを使わない方向で張り方を考える


③OneTigris Northgaze ナイロン製2.1kg(たまに使いたくなるキャノピー付きティピーテント)

OneTigris Northgaze


④UnaFreely ワンポールテント シルナイロン製1kg(いわゆる謎テント、ゼロポールで使っている)

ゼロポールテント

タープは2張り。①Kalinco 3×3、②Soomloom ヘキサタープ 4.4×4.4
ポールは32mm径を4本(テントやタープに付属していたものは心もとないので全て廃棄)
15mのトラックロープを木や車を利用して張ってなるべくポールの利用は少なくする。

これらの中からその日使うものだけを選び出してサイトへ運ぶ。
と言ってもタープの使用頻度は多くはない。日差しが強くて日陰がなければ絶えられないときや雨でテントから出られないときに雨除けを作るくらいだ。
それも陽が傾いたり雨が止めば畳むし、遅くとも寝る前には畳んでしまう。夜中張っておくことはない。タープの強度と素人の天候判断は全く信用していない。眠るときには心配材料は少ないに越したことはない。
ドームテントをタープですっぽり覆っている、いわゆる過保護張りをよく見かけるが、あれってどんな利点があるんだろう?俺にはわからない世界だ。

クッカー類は
①UNIFLAME 山クッカー

角形はインスタント麺もそのまま入るし、角を使って湯も注げるから便利

②フライパン(じつは某キャンプ場のカマドの中に捨ててあった拾い物)

フライパンで麻婆豆腐鍋の残り汁で〆のうどん

③丸型飯盒 の3つだけ。

丸型飯盒で蕎麦の湯沸かし中


角形の山クッカーはケトル代わりにも使えるので一番重宝してるかも。
食器類は一切使わずクッカー直食いが基本。マグカップもひとつで酒とコーヒー兼用だ。

焚き火台は
①DMC ファイアブーストコンロ

冬は側板外して暖かさ倍増
灰を払って風防にも使う

②Vicopo ピコグリル焚火台もどき

使用頻度は一番低いかも


③kalili バーベキューコンロ

kalili バーベキューコンロ

の3つからその日の天候とサイト状況から1つだけ選ぶ。

焚き火以外の熱源は、
①SOTO レギュレーターストーブST310 (ほとんど使用しない)
②Evernewアルコールストーブ

アルストで炊飯中


③100均固形燃料も併用する。

固形燃料で炊飯中

光源はLEDランタンとLEDヘッドランプのみ。ロマン枠でしかないオイルランタンは使わない。夜は暗いのが当たり前、手元さえ明るければいいと割り切っている。

寝具は銀マットと寝袋だけ。固くて眠れないなどというヤワなからだには慣らさない。野外で寝るってこういうもんだと慣れれば熟睡できる体になるものだ。
コットも持っているのだが、ほとんど使うことはなく車に積んだままだ。
家で眠る環境に寝具を近づけるのではなく、野外で眠る体に慣らした方がずっと安上がりで荷物も少なくなるというのが持論だ。

ポタ電での電化もまったく考えない。スマホも通じない山の中に行くんだから電気製品を使うのならば家にいればいいし、なによりも重いからオートキャンプ場にしか行けなくなるのが嫌だ。
せっかく移動式住居という便利なアイテムを手に入れたのだから、ものに制限されたくないという思いが大きい。自由度や選択肢は多いに越したことはないと思うのだ。

「軍幕で無骨に野営中」よーく写真を見てみると幕の中はコットに電気毛布、タブレットでアニメを見てたりする人もいる。ちゃんちゃらおかしいぜ。

この季節だけ自然に溶け込む紅テント(七戸自然公園)

キャンプという遊びの面白いところは、人それぞれいろんな思いを抱いているにせよ、「しょーがないじゃん、これが俺のスタイルなんだから。」と言い切ってしまえば反論の余地がなくなり、みんな納得してしまうことだと思う。
今現在の俺のキャンプスタイルはこんなだけど、1年後にはゴリゴリのロマン派になっているかも知れない。その時は「そんなこと言ってたっけ?」ととぼけるだろうな。

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