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風のコロシアム~桧山高原キャンプ場

〒963-4611 福島県田村市常盤町堀田
予約申請不要 通年利用可(冬季はトイレと炊事棟は使用不可)
シロツメクサのフリーサイト 無料 車両乗入れ可

川内村の高塚高原に行く途中に『桧山高原』の道標があって、いつもすごく気になっていた。Google Mapで拡大していくと「桧山高原キャンプ場」とある。福島県のキャンプ場紹介サイトなどを見てみるが掲載なし。いろいろ検索してみてもロクな情報も得られない。

桧山高原への分岐点

だったら行ってみるのが一番だ。家からちょうど一時間で現地到着。
誰もいない。立派な炊事棟とトイレも機能してるのにキャンプをした痕跡もない。焚き逃げの跡くらいあっても不思議じゃないのに、それもない。ほんとにキャンプしてもいいの?と不安になった。キャンプ場の看板も問い合わせ先も見つからないので、田村市役所に電話を入れて担当部署につないでもらった。
「フリーサイトになってますのでご自由にお好きなところをお使いください。直火は禁止、灰も含めてゴミはすべて持ち帰ってください。」とのこと。
なーんだ、キャンプしてもいいんだ。

最近新しくなった案内板
炊事棟(飲料不可)
山の下にある湧き水 ここで汲んでからキャンプ場へ登る
トイレ棟 撮影時は冬季使用不可中

キャンプサイトとして整地してあるのは炊事棟手前から砂利の急坂を登った真っ平らな原っぱだ。池の手前にも設営はできるが全体的に池に向かって傾斜しているし通路に近すぎて落ち着かない。
原っぱに登る砂利道は最後のひと登りの傾斜がきつく、タイヤを空転させ砂利を飛ばしてなんとか登りきった。レストハウスの裏側を回った道のほうが傾斜は緩いのだが、こっちも轍が深く刻まれており、コース取りは慎重にしなくてはならない。


テント場 完ソロ率は極めて高い

サイトからの眺めは否の付けようがない。個人的には満点だ。
西側が開けていれば夕陽がきれいなのは当たり前で、夕焼けをイチオシにしているキャンプ場は多い。ただ、ほとんどのキャンプ場は反対側の東側はまったく面白味がなく、夕焼けも朝焼けも楽しめるキャンプ場は意外と少ない。
桧山高原キャンプ場は朝夕の絶景が見られるキャンプ場だ。おかげでここに行くようになってからは、夕陽で有名な二本松市の日山キャンプ場もほとんど使わなくなってしまった。
そのうえ星空や郡山市の夜景も楽しめる。

テント場から 西側遠景
日没時
西側 夜景
真夜中 東側
日の出
東側 冬季凍結時

こんなにいいキャンプ場なのに、なぜほとんど利用者がいないの?
原因は『風』だと思う。

風力発電の風車が立ち並んでいるだけあって、風は四六時中意識しなければならない。
テントを建てるのにも一苦労、風上からペグを打ちながらなんてのもよくあることだ。
椅子はペグで固定しないと倒れることも普通にある。
焚き火も他のキャンプ場で炎を高く上げて燃やすような焚き方はできない時のほうが多い。カマド型の焚き火台を使って側板より炎が上がらぬ薪の量で熾を作ってから調理した方が良いし、ピコグリル型の焚き火台で火がついた木端を飛ばして慌ててる人も見たこともある。焚き火台本体ごと風で倒された人も見た。焚き火をするにしても、風の吹く方角・テントとの距離・焚き火台の形状や自重は意識しなくてはならない。

この形の焚き火台がいちばん向いてるかも?

風が強いといいこともある。虫がいないのだ。
蚊・ブヨ・ハエなどは飛行能力が風に負けて留まっていられないのだと思う。
そして管理もロクにされてないキャンプ場なのに、直火や焚き逃げ、ワイワイ騒ぐ厄介なグループも風が防御してくれているようだ。
ずっと頭上でグォングォンと回り続ける風車の風切音は、神経質な人では睡眠の妨げになるのかも知れない。

個人的なマイナスポイントをあげるならば、①トイレ棟と炊事棟が遠い。②炊事棟の水は一応飲料不可となっている。③薪の現地調達は期待できない。④日中は日陰がない。くらいかな。

日陰がないからと言って大型タープを張るのは危険だし、帰るまで張り続けているのはもっと危険だ。
微風の夕暮れで安心していたら、夜中から轟々と吹き出して夜が明けたらピタッと無風なんてことはザラにある。

私はなるべく夕暮れが近い時間に到着するようにしてるけど、炎天下の日中を過ごすときなどは、車を中心に東側にタープ、西側にテントと直線的に設営する。そして日暮れ近くになればタープは用無しになるので撤収、車をテントに近づけて朝日から陰を作るようにして日没に臨んでいる。もちろん焚き火台はテントの風下に配置する。

車の窓フレームとポール1本で日陰を作り、テントは車の向こう側に設置

昨年いちばん多く通ったキャンプ場が桧山高原キャンプ場なんだけど、夏から晩秋にかけては穏やかな天気の日が続き「風の聖地」などと小洒落て呼んでいたのだが、冬から春は一転していつも爆風、水が入った2Lペットボトルが風でバタンと倒される日もあった。そんな日は間違いなく風と格闘、鼻水を啜りながら真っ向対峙していた。
このキャンプ場は「聖地」なんかじゃない「風のコロシアム」と呼ぶことにした。

気分を買えてテント場じゃなく、東の丘に設営することもある
冬は完ソロ間違いなし
こんな珍しい風景が見れるときもある

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