転生、転生
17歳ということを偽ってキャバクラを辞めた日。
その日は個人売上1位で偉いさんからケーキやシャンパンで内密に祝って頂いた。そしてひとしきり楽しんだ後、オーナーが呟いた。
「18歳じゃないよね」と。「でもまた18歳になったら戻ってきてほしい」など。
その後送迎してくれた店長の、今思うと安っぽい、だけどこれが夜の街の匂いのようで、そういう日常が終わったんだと静かな車の中で思った。
その後は案の定、精神薬から頭痛薬、胃腸薬やら何でもかんでも放り込んで、百均で買ったガスを袋に詰めて吸って吐いて吸って、吐いて。
擦り切れそうな程、セリフも全て言える程、繰り返し観た音声のない「蛇にピス」をひたすら流す日々。
気付けば眠りに落ち1日2日、平気で寝ていたと思う。
その後薬も何もかも抜けて眠気眼のままK氏と電話をした。固定電話からだったから相当の料金が掛かっていたかもしれない。そんなことを思いつつも5時間も6時間も、長ければ10時間も語り明かした。そしてシラフに戻った後は「おやすみ、またね」と2、3日に一度やり取りすようになった。
自分の価値(男性に求められる(時には金銭ありきで))それを確認していた私だった。分かっていたことだろうと、私は見て見ぬふりをしてその場限りの穴を埋めていた。
ある日、「自分で自傷行為をするのは限度があるからお願いしたい」という甘ったれたことをお願いした。彼はベッドの隅で私はその脚の間に入る体勢で。
ただただ苦しかった。呼吸はこんなにも難しいことだっけな、と思うより先に私は彼の腕を叩いてギブの合図、そのうちチアノーゼやらなんやらで腕もだらんと落ちて。
苦しかった、でも、「気持ちいい」方が強かった。
ある日私はK氏宅に居候させてもらうことになる。2週間と4日が経った。
そんなこんなで、2人の生活が始まった。
2010.03.07
愛澤