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看護師の女性からきいた話だ。 中学の頃彼女は、両親兄弟と祖父の六人で暮らしていた。彼女は幼い頃、特に祖父に懐いていて、祖父もたった一人の孫娘をたいそう可愛がってくれた。 しかし彼女が中学に入る頃には、友だちが増え、部活や勉強も忙しくなり、祖父とは生活のリズムが合わなくなった。それでも、祖父は孫娘が可愛くて、声をかけたりするのだが、動きが鈍く、なかなか言葉が出てこない。そんな祖父の言動は、忙しい彼女のリズムを乱れさせる。いつしか、彼女は祖父を疎ましく思うようになった。
同級生のハナちゃんから聞いた話だ。 ハナちゃんの母親の実家は、福島県奥会津の小さな村で旅館を営んでいた。ハナちゃんが小さな頃、長期の休みには、その旅館に姉妹で預けられ、旅館を手伝ったり、村の子どもたちに混ざって遊んだりしていた。子どもたちが過ごした、この村での不思議な話は数多くあるのだが、今回は彼女の祖父の葬儀に関わる話をしたい。 ハナちゃんが二十歳の年、その奥会津の家の祖父が亡くなった。40年近く前のことだ。 祖父は、村の寺に広い土地を寄進したり、他にも様々な貢献があ
私は、とある日本酒バーを営んでいる。 カウンターに座る、さまざまな職業、年齢層のお客様が、たびたび不思議な話を置いていってくれる。 その日のお客様、福島県内に住む30代の男性客、中村さんの話。 2018年1月22日から23日にかけて、久しぶりの大雪で東京の交通がマヒした日の話だ。福島県内でも、郡山市やいわき市など、太平洋側でたっぷりと積雪があった。 1月22日の雪の朝、中村さんが職場に出勤し、仕事の準備をしていると、同じ職場で働いているスタッフ吉田さんが、中村さんより1
30代の知的な女性が二人で来店した。そのうちの髪の長い彼女が話してくれた。 「大学のときの先生が女性向きのイタリアンレストランを始めたんですよ」 シェフとしてというわけではなく、オーナーとして。 彼は、都内O線沿いのおしゃれな街に、女性ウケを狙ったおしゃれなイタリアンレストランを始めた。わりと順調にお客さんが入り始めた。 お客さんが 「ああ、あそこの席に座っている女性、きれいですね」 っていうんですけど、誰も座っていないんです。 「でも、その大学の先生も、そういうの見えるっ
2022年の10月になって、大事な指輪をなくしてしまった。 その指輪は、母方の親類に関わる指輪で、ぼってりと丸いフォルム、ずっしりと頼もしい重みがあって、私は好んで身につけている18金の指輪だ。 それがないことに気がついたのは10月に入って3日目くらい。そこから2週間も探し回っていた。 店のいつもの定位置にあるのかもしれない。 ない。 では、自宅のあそこか? いや、ない。 それなら、車のあそこだ。 ない。 いつも持ち歩くカバンの中のポケットの一つ一つに手を突っ込んでみた 。
ある道に、秋に白いワンピースを着た人がいて、それには気がついたけれど、それは普通の人かと思って通り過ぎた。 場所はもう忘れたけれど・・・。 3時間後にひきかえして再びその地点を通ったら、まだその場所にいた。 でも、そこで誰かを待っているだけかな? 道を歩いていて、知らない人がその道にいたとて、誰も気にしない。 生きていようが、亡くなっていようが・・・。 神戸に、不自然に二股になって再び合流する道があって、真ん中に木があるんですよ。 全国のあちこちに存在するいわゆる「呪いの
會津蔵武に来てくれた、年の頃は20代後半か30代前半の女性が話してくれた、小さい頃の人形にまつわる話です。 彼女の実家はマンションの5階。 小学校に上る前まではセー◯ームーンが好きで、セー◯ームーン人形を持っていた。誰もが想像するリカちゃん人形タイプの、ソフビでできた腕も脚も首も動く着せ替えができる、さらさらとした長い金髪の人形だ。 とにかく小さい頃は一番のお気に入りで、保育園に行くにも他所の家に遊びに行くにも、いつも持ち歩いていた人形。小さい頃の自分を撮った写真にはいつも
会津若松に住む友人の話。 彼は子供の頃から剣道をやっていて、「会津盆地ならここ!」という有名観光地のど真ん中にある剣道場に子供の頃から通っていた。 朝早く、一番乗りのつもりで稽古場に着くと、もうすでにたくさんの剣士が集合していて、激しく稽古をしている音がする。 (あ、いけね!もっと早い時間集合だったのかな?) と思って、慌てて引き戸を開けて稽古場に入ると、シンとしている。 今までの大勢の人の気配は消え去り、静寂に耳が痛いほど・・・・。 その稽古場ではよくあることだという。
日本酒バーのカウンターでお客様にお聞きした話です。 2月21日のTwitterSpace「第11回會津蔵武の怖い部屋」で私(店主カズ)が話しました。 私は医療従事者です。実は母も同じ職業をしています。 この話は、その事件があったその日に、顔を青くして帰宅した母親から聞いた話です。 ある交通事故で患者さんが救急に運ばれて来ました。 その人は血圧も低くて明らかにショック状態で意識がない状態であるのに、いきなりその身体を起こして床に足をおろし、折れていない方の片足で立ち上がっ
私の前職の同僚Aさんからきいた、やはり同僚のBさんが経験した話です。 私自身は、前職でAさんとは仕事上の頻繁なやり取りがあり、飲みに行ったりする仲でしたが、Bさんとはあまり関わりがなく、あまり話をしたことはありませんでした。 AさんとBさんは仕事の発注者と受注者の関係です。彼女らは、キャリアアップ関連の講座を運営する団体に勤めており、職業訓練に関わるセミナーを運営していました。Aさんが企画者で会場を手配し、Bさんはその会場でインストラクターの一人として活動するというスタイルで
うちの店のカウンターで、お客さんからきいた話です。 その方には、このような形で他の人に話しても良いという、許可もいただきました。 その日いらしたお客さん 60代の彼が、学生の頃というのですから、 40年以上も前の話ということになります。 彼は北陸地方の大学に進学し、その大学に通うために、K市内にある、 風呂なしオンボロアパートの2階で、一人暮らしをはじめました。 銭湯が、そのアパートの前の大きな通りをはさんだ向かい側にあり、 風呂なしオンボロでも快適に生活でき、 そう時間
30年ほど前のお盆の話。 私と母が一緒に体験した話です。 「今日はお中日だ」と話をしていたので、8月15日だったのだと思います。 夕方、母と二人で買い物からの帰り道。 大きな通りから近所の小道に入ると、一区画を占領して大きなお屋敷がありました。古くから両替商をしていたお屋敷ということは聞いていましたが、特に付き合いもないし興味もないので、詳しくは知りません。当時、その屋敷の当主は病を得て数ヶ月入院しており、50過ぎの、人形のように美しい奥様が一人で暮らしていたはずです。
友人は高校時代の同級生。おでかけには和装して、副業でヨガの先生をしている。そして、友人は、若い男の子に人気がある。 ジェネレーションの垣根を超えて、気軽にコミュニケーションできる。 おそらくは、若い男の子も、母親ほどの彼女に心を開いて、いろんなことを話す。 会津ではランドマークなる特徴があるビルがある。その形状を言うと「ああああ◯◯ビルね」と誰もが知っているビルだ。 そのビルは、たくさんの可愛い女の子が務めるさまざまな店がテナントで入っている。 その中の一つの店でボーイをし
◯◯町の蕎麦屋に座敷わらしが出るという。 女将さんが仕込みをしていると、 二階でトントントンという子供のもののような軽い足音がする。 暗い二階を覗いたら、誰もいなかった。 座敷わらしと言うことにしておいた方が、怖くなさそうだ。。。 高校時代の同級生に寺の娘がいた。 その子の話では、夜に境内を箒で掃く物音がすると それからまもなく葬式が入るという。 高校時代の同級生の家の話。 お盆の入りには、まず虫が来る。 それは立派なカマキリだったり、きれいな模様のカミキリムシだったり。