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あなたもわたしも誰もが鏡

本記事は、米国オレゴン州ポートランドを中心に毎月発行されている日系紙「夕焼け新聞」に連載中のコラム『第8スタジオ』からの転載(加筆含む)です。
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サンクスギビング真っ只中。街はその雰囲気で浮かれているが、わたしはその波に乗り切れず、茫然と見ている。

多くの日本人が、お正月にお雑煮を食して毎年のルーチンに安心し、神社にお参りに行って新年もがんばろうと心を新たにするように、アメリカの皆さんもターキーやマッシュポテト、そのほかの郷土料理を囲み、家族と団欒して絆を確認するのだろう、と頭ではわかっているが、残念ながらわたしにその習慣は根付いておらず、どこまでいっても傍観者。

わたしにとってアメリカで暮らすということは、傍観者として観察し続けることと同義である。いつかは文化に溶け込んで一体化するのか? と夢想していたが、それは訪れる気配はない。一向に。

傍で観察し続け、記録し、日本に暮らしていてはみえなかった何かを文字にすくいとって、書いていく。言葉を紡ぐために、一定の距離を保ってアメリカで暮らすことで、わたし、バランスを取っているに違いないのです。

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