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大腸がんが怖い理由。

日本人に増え続けている「大腸がん」。

2人に1人が罹るといわれる「がん」ですが、
その中でも特に大腸がんは増加傾向にあります。
2019年のデータでは、
大腸がんにかかる人の数が、すべてのがんのなかで1番多い。
そして、亡くなる方の数は、肺がんに次いで2番目に多くなります。

大腸がんを引き起こす要因として、食の欧米化が挙げられます。
脂肪が多く、繊維質の少ない肉ばかりを食べ、
野菜や果物などをあまり食べない「肉中心の食生活」は要注意です。
運動不足による肥満や、お酒、たばこもリスクになります。
まれに遺伝が関与していることもありますので、
身内で大腸がんにかかった人がいれば、注意が必要です。

大腸がんが怖い理由。

大腸がんも、他のがんのように、
早期に症状がほとんど見られません。
進行していたとしても、症状が現れにくいケースもあります。
また、せっかく大腸がん検診で発見しても、
「いま痛くないから」と
精密検査を怠ったり、放置する方が、かなり多い。
血便の症状があるのに、
痔だと思い込んで受診しない方も、多くいるようです。

そうしている間に、がんは進行していきます。
早くに発見できれば、
比較的体への負担の少ない内視鏡治療で済むところですが、
進行してしまえば、もっと大きな治療が必要となります。
人工肛門など、
どうしても今まで通りの生活というわけには
いかなくなってしまうことがあるのです。

早期発見・早期治療のためにできること。

大腸がん予防のために、
まずはリスクとなるような食生活や飲酒、喫煙などに注意し、
運動習慣をつけましょう。

それから、早く気づくために、
便通の異常や、
便が黒っぽかったり血が混じったりしていないかなど、
毎日の便の状態をチェックしておくことが大切です。
毎日チェックすることで、
小さな変化にも気づくことができますよね。

そして、「大腸がん検診」を欠かさず受けること。
覚えておいてほしい検査は3つあります。

  1. 検便で大腸がんをチェックする「便潜血検査」

  2. 肛門からカメラを入れて直接大腸をみる「大腸内視鏡検査」

  3. CTを使う「大腸CT検査」

「便潜血検査」は大腸がん検診の第一歩。
検便を採るだけの、最も簡単な検査で、
50歳を過ぎたら、毎年1度受けてほしい検査です。

「大腸内視鏡検査」は大腸カメラとも呼ばれ、
詳細に検査ができる特徴をもっています。
多量の下剤で腸をきれいにし、肛門からカメラを入れるため、
大きな苦痛を伴うという方もいらっしゃいます。

一方、「大腸CT検査」は、
まるで大腸内視鏡検査をやったかのような
腸内の疑似画像をCTで得られます。
大腸内視鏡検査より少ない下剤で腸をきれいにしたあと、
肛門から細いチューブを入れ、CTで撮影します。
苦痛を軽減しつつ、
大腸内視鏡検査に近い情報を得られるのが特徴です。

内視鏡カメラ(左が胃、右が大腸用)
大腸CT検査

検査は、しんどい。
でも、進行がんは、もっとしんどい。

検査を受け持っていると、
「大腸がん検査は苦手」という方は、多い印象です。
たしかに、大腸内視鏡検査では、
下剤を2リットルほど飲むなどして、腸をきれいにする必要もあります。
その後、肛門からカメラを入れる。
しんどいのも事実です。私も得意とは言えません。

ただ、苦手だと言って検査から逃げてきた結果、
進行がんで手術などに至り、生活が変わってしまったり、
命を落とすようなことになったりしてしまうのは、
あまりに残念すぎます。
ですから、私は早期発見のために、
「大腸がん検診」を進んで受けるようにしています。


生活習慣の改善と併せて、大腸がん検診も習慣にする。
検査の機会があれば、すすんで検査を受ける。
そして、結果に異常があったら、絶対に放置しないことが大切です。

解説:相澤健康センター 副センター長 髙木健治

相澤健康センター エフエム長野oasis79.7