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胃がんにかかった医師だから、言いたいこと。


胃がんが、まだまだ多い理由。

胃がんはかつて、日本人の代表的ながんでした。
しかし、近年は検査や治療の発展、
そして衛生環境の改善により減少傾向にあります。
とはいえ、胃がんになるひとも、胃がんで亡くなるひとも、
肺がんや大腸がんの次に多くいますので、注意が必要です。

では、どのような人がかかりやすいのでしょうか。

まず、シニア世代は要注意です。
昔、日本はそれほど衛生環境が良い暮らしではありませんでした。
そのような暮らしを経て、ピロリ菌に感染し、
慢性的な胃炎となってしまっている方の胃が、
長い年月の間に胃がんに変化することがあります。

ピロリ菌の除菌をしたという方も安心してはいけません。
慢性的な胃炎にさらされた胃というのは、
やはり弱っている状態だからです。
このほか、喫煙や塩分、アルコール、辛い物など、
胃を刺激する食や生活習慣も気を付けるべきです。

食生活をも変える、胃がん。

胃がんが怖いのは、がんが大きくなったり、
体のほかの場所に転移したり、ということもありますが、
そういう難しいことではなく、胃と言えば、食事ですよね。

胃がんの治療は、胃にあるがんを取り除く作業のため、
胃へのダメージは避けられません。
これまでのように何でも自由に食べたり、飲んだりできればいいのですが、
胃がんの状態や治療によっては、
今後、食事に何らかの制限が加わることもあります。
ですから、胃がんの最も怖いところは、
日々の楽しみでもある食事、食生活の変化だと私は考えます。

早期発見のためにできること。

繰り返しになりますが、胃を刺激する食生活や生活習慣は要注意です。
それから、現代人は野菜や果物が不足しがちです。
野菜や果物もぜひおいしくいただいてください。

生活習慣を整えたからといって、
必ず胃がんにならないという保障はありません。
そこで、定期的な「検診」です。
体に大きな変化があってからでは、
楽しい食生活を守ることも難しくなりますので、
胃がん検診で早期発見です。

まずはピロリ菌がいるのかいないのかの検査。
これは採血で簡単にわかります。ピロリ菌がいれば、除菌です。

次に、ピロリ菌の有無にかかわらず、
40代から胃がんになる確率が高くなるので、
胃がん検診を受けてほしいです。
検診には、バリウムを使用するレントゲン検査、
それに内視鏡検査、いわゆる「胃カメラ」があります。
レントゲン検査は胃カメラに比べると楽ですが、
間接的な検査です。
一方、胃カメラは、苦痛を伴うことがありますが、
胃の内部を直接見ることができます。

胃がんにかかった医師だから、言いたいこと。

かくいう私自身も、ちょうど1年前、
定期的に受けていた人間ドックで早期の胃がんを発見しました。
ピロリ菌もいなければ、喫煙やアルコールもやっておらず、
野菜をよく食べる生活習慣だったにもかかわらずです。
胃がんが見つかったときには、「まさか自分が」という気持ちでした。
幸い早期でしたので、治療後の食生活に影響はありません。

どれだけ予防に努めていても、
胃がんは、誰しもがかかる可能性のあるがんです。
生活習慣の改善も必要ですが、がん検診の習慣も大切ということ。
「40代になったら、胃カメラ」と覚えておいてください。

「苦手だから」「胃カメラは苦しいから」といって
検査を避けてきた結果、
生活が変わってしまったり、命を落とすようなことになってはいけません。
通常の胃カメラよりも細い管を鼻から入れたり、
麻酔を使用して寝ている間に検査するといった、
負担の少ない検査方法もありますので、
おかかりの健診施設で相談してみてください。


解説:相澤健康センター 副センター長 髙木健治

相澤健康センター エフエム長野oasis79.7