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レポ④豊島将之九段とタイトル戦疑似体験in山水館~新関西将棋会館建設クラウドファンディング~


 こんにちは、相沢です。
 ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございます。すごく長くなりましたが、今回でやっとレポの完成です。今回も長いのですが、飛ばしながら読んでいただければうれしいです。
 

 質問コーナーでの質問と答えについて書いていますが、筆者が約4か月前の記憶を呼び起こしたものなので、記憶違いも多分にあると思います。大体そんな感じだったんだな、くらいでお読みいただけると幸いです。



第五章 将棋への情熱


 参加者全員が席につき、豊島先生が入室される。
 事ここにいたっても、相沢はまだ推しがそこにいるということを理解できていなかったような気がする。頭ではわかっていても、そんなこと本当に理解してしまうとたぶん発狂してしまう(するなて)。

 質問コーナーは30分ほどの予定で、事前に参加者がメールした質問のメモがくじ引きの箱(けっこう大きい。一抱えはある)に入れられ、豊島先生が引いて答えていくというスタイルだ。和服の袖をめくってくじを引く先生のお姿もかわいくて美しい。ここは1対1ではなく1対14だから、相沢はひたすら推しを見つめる(写真も撮る)。

 豊島先生がひとつ目のくじを引く。メモはスタッフさんに渡され、スタッフさんが読み上げる。

───将棋会館が新しくなりますが、豊島先生が思う将棋界の変わってほしくないこと、変わってほしいことはなんですか?

 相沢の記憶は曖昧だが、実際に読み上げられた質問文は将棋界の歴史にも触れたもっと深いもので、一問目から素晴らしい質問に、会場がちょっとざわつく。豊島先生も「おお」という感じだった。相沢は思わず自分の質問を顧みて赤面しそうになる。「昨日見た夢はなんですか?」とか書いてもうた。この次に読まれたらどないしよう。
 スタッフさんから渡されたメモに視線を落として、豊島先生は少し考える。

───将棋の真剣勝負というところは変わってほしくない。変わってほしいのは、今日は女性が多いけれど女性とか、初心者の方でも来やすい場所になってくれたらいいと思います。

 真剣勝負、という言葉が聞けて相沢はうれしくなる。ちょっとだけ不安そうに「これでいいですか」というような表情も見られた気がするが、参加者さんたちのほうに視線を向けて、にこにこと微笑みながら答えられていた。

 すべての質問に対してそうだったけれど、スタッフさんからメモを受け取ってじっくり見て、少し考えられて、丁寧に誠実に笑顔で答えられるお姿が印象的だった。
 そしてもうひとつすごく嬉しかったのが、豊島先生が関西弁だったことである!
 もちろん丁寧語なのでこてこての関西弁というのではなかったけれど、普段テレビで話されているきれいな標準語ではなく、イントネーションがかなり関西なまりだったのだ。ほとんど聞いたことがなかったので、相沢にはとても新鮮で、とても嬉しかった。もしかしたら意識して話されていたのかもしれないけれど、リラックスして素に近い状態でお話しされているのかなと思えたのも嬉しかった。とよぴの関西弁かわいい。

 さて、相沢の質問だが、コーナーの真ん中くらいでふたつ続けて引かれた。

───豊島先生は読書家だそうですが、私も小説を読むのが趣味です。豊島先生の好きな小説ベストスリーを教えてください。小説であればジャンルは問いません。

 一言一句そのまま読み上げてくださっている長くて申し訳ない!
 豊島先生は「難しいですね」とおっしゃった。そらそうやわそんなんいきなり聞かれても! みっつも教えてくれなんて言われても! 誰やこんなめんどくさい質問したやつ!(おまえだよ)

───読書家ではないんですけど、十代とか二十代前半の頃はよく読んでいたと思います。対談もさせてもらった綾辻さんの小説は好きで、いちばん好きなのは『時計館の殺人』。あとは……深浦先生が何かのインタビューで「『スラムダンク』は現代版の『竜馬がゆく』だ」みたいなことをおっしゃっていて、私も時代小説も好きで司馬遼太郎も結構読んでいて『竜馬がゆく』は好きです。あともうひとつは(しばし悩まれる)……だいぶ前に読んだんですけど『武士道シックスティーン』っていう高校生の女の子が剣道をする小説が、将棋にも通じるところがあるかなと。ベストではないかもしれませんが、ぱっと思いつくのはそのみっつですかね。

 自分の質問に先生がじっくり考えてたくさん答えてくださっているという現実をぽかんと見ている自分と、あたしも綾辻先生好き! 館シリーズ全部読んでるし今も持ってる! 時計館かあ、頭いい人が好きそうなイメージ! あたしは十角館がいちばん好きかな! やっぱり一番最初に読んだ綾辻作品やから、出会いの衝撃を超えるのってなかなか難しいんだよね! その点豊島先生はすごい! 知れば知るほど、対局観れば観るほどどんどん大好きになるもの! 時代小説は食わず嫌いしてたけど新たなジャンルに挑戦したかったから読んでみる! 豊島先生のおすすめから入るなんてなんて贅沢者なんだ私は! ……と盛んに感想が湧き出るもう一人の自分が同居しているような不思議な感覚で、相沢はひたすら豊島先生を見つめる(難しいこと聞いてすみませんでした! 丁寧にお答えくださってありがとうございます!)。

───お休みの日など、将棋にまったく触れない日はありますか?

 相沢の質問を豊島先生がふたつ続けて引いてくれた!
 この質問に対する豊島先生のひとこと目は早かったように記憶している。

───ないですね。

 おお! かっこいい!!

───今日みたいに仕事の日も朝詰将棋解いたり、家に帰ってから勉強したりしています。全くしない日はほとんどない。でも順位戦の翌日とかは……菅井さんと指した日はやらなかったと思います(ここで場内爆笑。豊島先生も笑いながら話していた)。

 自分の質問に豊島先生が笑って答えてくれてお客さんにも笑いが起こってこっそり喜ぶ相沢も、やはり関西人である。

 相沢は他に「今日の和服について教えてください」という質問も送っていたのだが、引かれたのはこのふたつだった。ふたつも……! なんとありがたいことだ!


 順番や細かいところは曖昧だが、以下は相沢が覚えている質問と答えである。(もっと細かくたくさん答えていらっしゃったのですが、筆者の記憶力のせいでだいぶ短くまとめられてしまっております。すみません!)

───和服はどれくらいお持ちですか?

───夏用冬用で何着かずつ、どれくらいあるかな……(考えられていたけど具体的な数はわからなかった感じ)。初めてのタイトル戦で着た紫の羽織と中の黄土色の着物の組み合わせは気に入っています(去年のJT杯決勝でお召しになってた組み合わせかな? と相沢は思ったが、どうでしょう)

───豊島先生の持ち歩いている枕は一般人でも買えるものですか?(ナイス質問!)

───(笑)誰でも買えると思います。将棋会館の座布団でお世話になってる西川寝具さんのものです。でも最近はどんな枕でも別に眠れるというか、枕じゃなくてもタオル敷いてとかでも眠れたりします(眠れるんかい! と心で突っ込みを入れる相沢)。

───師匠から受け継いだもの、お弟子さんへ伝えたいものはなんですか。

───師匠にはたくさん指してもらったけど、指し方を教えてもらったというよりは、将棋への情熱とか、背中を見て学んだと思う。岩佐さんはたくさんアドバイスしてほしいタイプなのかもしれないけど、まだその辺つかみきれてないところもあるんですけど(笑)、自分も対局姿で情熱とかを伝えていけたらいいと思います。

───対局がない期間はどのように過ごされていますか?

───3月の下旬ごろに対局がしばらくなかったので、眼鏡替えたり、親知らず抜いたり(元歯科助手の相沢はここで一瞬「なんだと?! とよぴの親知らず抜いた医者ここに連れてこい!」という意味不明な義憤にかられる(義憤ではない))、しないといけないけどなかなかしていなかったことを片づけた感じです。

───NBA観戦の魅力を教えてください。

───同じ人間とは思えないような動きとか(あなたの将棋も同じ人間の指す手とは思えんで! と心で突っ込む)ですかね。日本で試合があって二回チケット応募したけど二回とも外れてしまいました(笑)。

───仲のいい棋士はいますか?

───関西の同い年くらいから五つ上くらいまでの棋士はけっこう仲がいいです。これは言っていいのかわからないんですが、7月31日に東京の将棋会館でまたクラファンのイベントがあって、そこで関西の同世代の棋士と3人でトークショーやるので楽しくなりそうです。東京の方がいらっしゃったらぜひ(笑)。(それ20万のやつ! 合計50万はいくらなんでも無理やんと思ってたけどそんな可愛い笑顔で言われたら行きたくなるやん! なんて罪な推し! 好き!)

───持ち時間4時間の対局が東京であったときは関西に帰りますか? 東京に泊りますか?

───4時間なら帰ろうと思えば帰れるんで、若い頃はけっこう帰ってましたけど、最近は最初から宿を2泊取って泊まるようにしています。朝荷物をまとめるのも面倒だし、感想戦をちらちら時計見ながらするのもアレなので(笑)(場内爆笑)

───サントリーオールスター東西対抗戦の控室でのエピソードを教えてください。

───今行われている対局の検討をしたり、稲葉さんが詰将棋のクイズみたいなのを用意してくれたのでみんなで解いたりしていました。藤井さんはやっぱり解くのが早かったです。


 まだ他にも質問が出たと思うが、相沢が覚えているのはこんなところだ。「青とか紺が好き」というお話があった記憶があるので、好きな色や私服はどんな色が多いですかという質問が出ていたような気もする。
 真面目なお話もありたくさん笑いも起き、豊島先生は終始穏やかな笑顔で楽しそうに関西弁で話されていたので、会場はずっと和やかで楽しい雰囲気だった。
 質問はスタッフさんが読み上げるが、司会や聞き手といった人はいないので豊島先生がずっと一人でお話しになっていて、そこは少し大変だったんじゃないかなとも思った。合いの手入れるべきか、と関西人の相沢は頭のどこかで思ったりもしたのだが、まさかそんなことはできず(あたりまえ)。7月に東京の将棋会館で行われた豊島先生のクラファン返礼イベントは仲良しの棋士と3人でのトークショーだったそうなので、そういう意味ではそちらもとても楽しそうだなと思った。



 ここまで、イベントはほぼ予定通りに進んできた。
 楽しい質問コーナーも予定通りの時間で終わり、盛りだくさんの一日も、ついに終了である。

 スタッフさんより、最後に先ほどのサイン色紙を豊島先生が一人ずつに手渡ししてお見送りします、と発表される。なんと! 豊島先生が! 手渡し! お見送り!

 色紙は紙のケース(名前がわからない……)に包まれ、SHOちゃんマークがプリントされた連盟の紙袋に入れられている。
 1人ずつ名前を呼ばれ、豊島先生から紙袋を受け取り退室していく。相沢はわりと最初のほうに呼ばれた。
 豊島先生から直接サイン色紙を受け取る……とても貴重でもったいない出来事だが、なんと相沢はここの記憶が曖昧なのである! ただ、ここまでまともにお話しできなかったので、ちゃんと「応援しています」と伝えたいと思っていたことは覚えている。

「これからも頑張ってください。ずっと応援しています」

 紙袋を受け取り豊島先生の目を見て、相沢はそう言った(と思う)。緊張して声が小さかったかもしれない。先生にちゃんと聞こえたかわからない。でも豊島先生はにこにことうなずいてくれた(と思う)。


 こうして、ものすごく濃くて楽しくて緊張して嬉しかったイベントは終了した。
 豊島先生と貴重な場所で貴重な体験ができたことは素晴らしい一生の思い出になった。後になって思ったことだが、新関西将棋会館建設のためのクラウドファンディングの返礼イベントというのはそう何回もあることではないので、たぶんだけど、豊島先生にとっても何らかの思い出と記憶に残る出来事になったのではないか。相沢が最初に「どうしてもこの15人に入りたい」と思った最大の理由はそこだったんだと思う。

 そして、将棋ファン・豊島先生ファンの方々とたくさんお話しできたのもとても嬉しくて楽しかった。
 相沢の周りには将棋ファンがいない。いつも一人で観て一人で応援しているので、直接将棋や豊島先生の話を誰かとできるのはとても楽しかった。さらに、なんとこのイベントがきっかけで知り合った区民さんたちと、翌月に小さな区民会(笑)までできたのだ。まさに豊島先生が繋いでくれた縁! これってすごいことだと思う。

 将棋観戦が好きなだけでも、人生は楽しかったと思う。
 でも豊島先生のファンになったおかげでこんなイベントに参加できたり、同じ趣味を持つファンの方たちとも繋がれて、もっともっと相沢の人生は楽しくなった。

 何回も思ったことだけど、相沢はまた思う。
 人生に彩りをくれた豊島先生を、これからもずっとずっと応援していきたい。引退されるその日まで、ずっと豊島先生の将棋を見ていきたい、と。




 こんなに長いのに最後まで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
 推しがいるって素晴らしいですね。これからもたくさん応援していきたいと思います。
 また何かあったら投稿するかもしれません。そのとき、また目をとめていただければとても嬉しく思います。
 ありがとうございました。

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