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糸染めの魅力について

こんにちは、藍屋テロワールの湯浅です。
先日、糸染めについて、なぜ藍屋テロワールは糸染めを行うのかについて書かせていただきました。

今回はその続きとして、糸染めの魅力について迫っていきます。

機械では出せない豊かな表情

現在、僕たちは、一本の糸を束にした綛状の糸を日々染めています。
紡績工場から送られてくる糸を、現在は、福山にある仲村金襴さんという織物の工場で綛状にしてもらい、藍で染めて、もう一度仲村金襴さんにお願いして巻き取りを行い、ようやく、織ったり編んだりすることができます。
この綛染めというのは現在、工業的にはほとんど機械で行われています。

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しかし、僕らの行っている天然灰汁発酵建ての藍染では、染液の管理が難しく、一日に染めることのできる量が限られているため、なかなか機械化が進んでいません。
だから僕らは日々、一つ一つの綛を手で染め上げていきます。
このときどうしても、手で染めていくので決して均一ではないちょっとした染めムラが生まれてきます。また、染液の調子も日々、少しずつ変わっていくので毎日、毎回、染まり具合が変化し、300本染め上げた後には同じ綛は一つもないような状態になっていると思います。なるべく均一に同じような色合いで染め上げることもまた技術なのかもしれません。しかし極限まで近づいたとしても、同じものは一つとしてないのです。だからこそすべて染めあげ、デニムを織るときに機械の染色では出すことのできない、生地の豊かな表情を生み出すことができるのではないかと考えています。

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空も海も、青色ですがその青色は多くの色によって構成され、豊かな諧調を見せてくれます。僕らの目指す生地はそんな、空や海のような自然な曖昧さを持った生地です。
それは、大量に一気に染められる機械での染色には出せない、白い生地を藍染めする生地染めでは出せない、豊かな表情を目指します。

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また、糸一本一本が染まっているので、色落ちなどの経年変化もゆっくりと行われていきます。そんな綛染めはその分、藍の液の消費量が激しく、染液を酷使させながら日々染めています。
このため藍の染料が貴重になってきている業界の中でも糸染めを行っているところはとても少なくなってきています。
そんな中、僕たちは藍染屋である前に藍屋として、染料を自ら造ることができるからこそ、大胆な染料の使い方ができると思っています。だからこそ僕らは糸を染め、藍染の糸で創られた生地を世に生み出していきたいと思っています。この挑戦ができるのも多くの関わってくださる工場さんのおかげです。
これからも、糸を染めながら藍で糸を染める意味について魅力について考えていきます。

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