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APPLEのAI戦略を予想してみた。


20年間のAppleとMicrosoft社のMarket Cap比較(重要出来事に合わせて)https://www.visualcapitalist.com/apple-vs-microsoft-20-years/

アップル、AIに対する対応は遅れているのは確かである。

上記のマーケットキャップに関するApple vs Microsoftの20年間の比較グラフですが、コロナ過で落ち込んでいたMSの株価が投資先であるOpen AIがChatGPTをリリースした直後からアップルの時価総額を生き良い良く追い越すことを確認できます。Apple15の販売不調とかも関係ありますが、やはり未来の収益モデル上AI関連の事業性が見えいないからではないでしょうか。

最近Open AIがテキストから動画を生成できるSORAを公開、このSORAの反響が大きく少し話題から遠ざかったけどGoogleもコンテキストウィンドウが大幅に拡大した次世代AIモデル「Gemini 1.5」を発表するなど2024年に入ってから早々ビックテック企業同士のAI開発競争が続いております。その中AIに関して具体的な動きや発表がない会社はFAMANGといわれるビックテック企業の中Appleが唯一だと思っている方々も多いと思います。

ただ、Appleが何も考えてない。対策してないと思っている人は誰もいないと思います。経験をデザインするAppleこそAIの技術を我々の想像を超えるレベルで実体験できるようにサービスを準備していると思っています。このような状況を踏まえてアップルは一体どのようなAI事業戦略を考えているのでしょうか。

下記の記事を読んで少し考えてみたり、調査してみました。

最近JB PRESSの人記事が目に留まりました。
iPhoneやMacのAI機能が徐々に明らかに 24年登場か

「米アップルが生成AI(人工知能)を活用した機能やサービスを開発中だといわれてきたが、その概要が徐々に明らかになってきたようだ。」記事の冒頭に書かれている文書ですが、今年こそアップルもAIを活用した事業や構想が明らかになるのではないかと期待されています。

上記記事によるとアップルは次のようにAIを活用した機能とサービスを開発中で今年リリースするかもしれないと報道されています。

  • 💻 アップルは次期版のXcodeでAIを利用してソースコードを予測・記述する機能を搭載する予定。X codeはアップルのOS生態系上利用される開発言語です。

  • 🤖 iOS 18およびiPadOS 18には多くの新しいAI機能が導入される見込みで、実際アップルの強い実機上でのAI機能搭載が期待されています。

  • 📊 アップルは報道機関や出版社のデータを活用し、生成AIの機械学習に取り組む予定です。良質で学習データとして問題ないデータを活用して自らのAIモデル開発に取り組んでいることだと思われます

実は今年アメリカで開催されたCES2024にてアップル最大の競合相手であるサムスンがGalaxyモデルにsLLM(Small LLM)を利用したAI翻訳機能をOn Device上、搭載したスマートフォンを発表したことで推測できますが、アップルもiPhone,iPad,Macなどで具体的なアプリケーションレベルでAI機能が完成度高く搭載されることが予想されます。

https://www.samsung.com/jp/unpacked/
リアルタイム翻訳機能や音声、写真編集機能まで多彩なAI機能が機器上搭載される世界最初のAIスマートフォン

アップル!我々はファーストではないけどベストムバーである。

下記のアップル社のAIにまつわる動きですが、いろんなメディアの報道資料を参考にまとめてみました。

1)自社LLM(Large Language Model)開発中ーProject AJAX

Appleは「Ajax」と呼ばれる独自の生成AIモデルを開発していると伝えられています。 OpenAI のGPT-4 などに匹敵するように設計されたAjax(エイジェックス)基盤のLLMだといわれておりますが、約2,000 億のパラメーターで動作するファウンデーションモデルなので現在世界をリードするGPT及びLLAMA、Geminiなどのモデルほどではないと思われます。ただし、どんな毎でも優秀なGAI用のモデルが必要ではないと思いますので大きな戦略は持っていると思いますが、実際アップル機器向けに十分対応できる言語モデルを構築し、完成度を高くすることに集中しているのではないかと思われます。

社内では「Apple GPT」として知られる Ajaxモデルは、Apple 全体で機械学習開発を統合することを目指しており、AI を Apple のエコシステムにより深く統合するAIモデルになるのではないでしょうか。実際M1からM3までH/Wとしても独自の高度な演算処理ができるAIチップ開発に力を入れてきたアップルとしてはOn Device上十分実力が発揮できるソフトとハードを両立できると自信を持っていると予想できます。

最新のレポートでは、Ajaxモデルは2000億パラメーターを持っており、Open AIがリリースした前世代のChatGPT 3.5(1750億パラメーター)よりは高性能であると考えられています。(GPT4は5000億パラメーターぐらい) ただし、LLMとしてはOpenAIの新しいモデルが Ajax の機能を超えて進歩している可能性が高いのでやはり自社製品で搭載できるsLLMレベルの完成度を高めるためのファウンデーションモデル開発に現在は集中しているのではないでしょうか。上記JB Pressの記事でも言及されたよう、アップルは今年iOS 18 がリリースされる2024 年後半頃に、sLLMを活用したある種の生成 AI 機能が搭載された「iPhone」と iPadが発表されるでしょう 。

参考記事:Article

2)Ferret LLM(Large Language Model):Open Source LLM

Ferret(フェレット)LLMはイメージ認識や生成に特化されたオープンソースLLMなのでデザインを重視するAppleでの活用シーンや完成度には目が離せません。

APPLEのGitHub URLにて https://github.com/apple/ml-ferret

Ferret モデルは上記のイメージ図で書いてあるようにハイブリッド領域表現 + 空間認識ビジュアル サンプラーにより、きめ細かくオープンな参照と空間認識が可能になります。

特にこのフェレットLLMで注目されている機能はイメージを利用してStorytellingに強いことになります。参照記事

上部のイメージはワンちゃんの隣にフェレット二匹がいる写真ですが、人間には簡単に区分できますが、AIには正確に区分するのは意外と簡単ではありません。AppleのフェレットLLMはワンちゃんの隣に二匹おフェレットが重ねているとちゃんと区分できる能力を持っています。

下にあるサンドイッチを調理する写真ですが、このような写真の中にある「サンドイッチ」を選択すると周辺の材料などを認識してサンドイッチレシピーを作成するだけでなく、その材料を利用してサンドイッチが作れるようにすべてのプロセスまで説明してくれるLLMだそうです。

パラメーターは70億、130億両方のモデルを持っていますが、On Device上での搭載を意識した規模だと思います。

最近リリースしたVision Proで強調していた空間コンピューティングソリューションにもこのFerret LLMモデルが応用される可能性が高いと推測されます。難しい話とは別途、Appleは実際サービス搭載に向けてLLM,音声、イメージ、空間、動画まわり関連のAI技術開発やカスタマイズに全力で走っていることが伺えます。

3)H/W領域でもAppleは全力で走っている

On Device上LLMを処理すためには非常に大きいRAMが必要であるため、フラッシュメモリーを利用して演算処理できるような技術開発に力をいれているようです。それからご存知のようにApple Siliconと呼ばれる専用チップを開発する領域も以前M1から力を入れており現在はM3まで進化してきました。まだエッジデバイスやオンデバイス上スムーズな処理ができる水準ではないと思いますが、チップ開発に関しても自社開発できるのが大きなパワーを発揮できると思います。

Apple unveils M3, M3 Pro, and M3 Max, the most advanced chips for a personal computer

4)AIサービスは我々が勝つ

Open AIのChatGPTサービスは2か月で2億ユーザーを確保しましたが、Apple機器のユーザーは全世界で20億名以上だといわれております。そうなんです。実際ML/DL基盤のAIサービスを既にオンデバイス化して付加価値を作り出していることはアップルが一番得意なのでLLM基盤でのサービス拡充や新サービス提供にもアップルはかなり強いと思われます。

5)Appleは垂直統合の形で自社Apple AIエコシステムを構築する

アップルは自社の戦略や概念にこだわりを持って追及して来ましたので今のAppleブランドイメージを構築してきましたが、今回のアップルカーの開発断念もそうだけど、実用的な面から見ても素早く戦略を変えられる会社だと思っております。

最初スティーブジョブスがAppleのiPhoneを発表した際にはアップルの純正アプリ以外には搭載しないと独自のプラットフォームとしてスマートフォン生態系を構築していく方針でしたが、一年でコロッと変わり現在のアプリストアのように外部からのアプリを登録してもらいより広大なエコシステムを構築していくことへ路線変更した事例があります。

AI分野においてもまだAppleの戦略としてどのような方向性を持っていくのかは我々は予測するしかない状況ですが、現像のバリューチェーン分析上では製品ーチップ(半導体)ーLLMすべてアップル自社中心に開発・適用していくと予想いたします。(サムスンの場合製品はサムスン、チップはQUALCOMM、LLMはGoogleになりますので戦略が異なるような気がしますが、On Device上応用できるsLLM分野はほとんどのビックテック企業は独自でもカバーできるように水面下で動いていると判断しております)

29日earning callにてアップルのCEOTim Cookさんが発表したように今年はAppleらしいAI機能を搭載した商品を手に入れたいところであります。



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