デリケート、欠陥品、尼崎

昨日、私は尼崎へと出向きました。尼崎は、大阪と神戸を繋ぐ街で、落ち着いた商店街やアパートが立ち並ぶ地元に愛される街です。それは同時に私の「探し物」を見つけるための場でもありました。

私が探していたもの、それは敢えて言葉を選ばずに言いますが「欠陥品」の陶器です。不思議に思われるかもしれませんが、私は完璧でないものに美しさを見出します。ゆがんだ形状、不揃いな色、小さなヒビ。その全てが独自のキャラクターを持ち、個々の物語を語ります。私はそれが好きです。

尼崎には「梅津陶器店」という古い陶器店があります。そこでは、出来不出来を問わず様々な陶器が安価で手に入ります。それらの中には、私が求める欠陥品も含まれています。

店内には、各種の陶器が所狭しと並べられていました。様々な形状、色、模様の陶器たちが、見る人の目を楽しませてくれます。しかし、私の目的はそれらではありません。私は訳ありコーナーへと向かいました。

山積みになった陶器の中から一つを手に取ると、その陶器は縁がひび割れていました。この陶器はデリケートな存在で、少しの力でも壊れてしまいそうな印象を与えます。しかし、それがまたこの陶器の魅力です。陶器とは、堅さとデリケートさが共存するもの。それは人間とも共通する点で、私たちもまた内面のデリケートさを持ちつつ生きています。

ひび割れた陶器を見つめながら、それがどのような過程を経て現在の姿になったのか想像します。たとえ欠陥品であっても、それが生まれた瞬間、それが初めて人の手に触れた瞬間、それら全てがその陶器の価値を形成しています。

尼崎の街は、そのような陶器と向き合うことで、私にさまざまな感情や考えを喚起します。その思考の過程は、人々の日常に潜む小さな幸せや喜びを見つけ出す鍵となります。

私はその「欠陥品」を購入しました。それは世間一般にとっては「欠陥品」であるかもしれませんが、私にとってはとても大切な存在です。だからこそ、私はこの陶器を大切に使います。それは、私たちが自分自身の欠点を受け入れ、それを活かして生きることに似ています。

明日もまた、欠陥品を求めて旅を続けます。それは私自身の欠点を探し出し、それを活かす旅でもあるのかもしれません。

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※この物語はフィクションであり、実在の人物・店舗とは一切関係ありません