近くて遠い100円ショップ
先日実家に帰った時に100円ショップに行きました!
それがなぜこんなに嬉しいかというと……
その一週間前のこと。
仕事帰りに某100円ショップでぶらぶら買い物をしていたときに
ふと思ったんです。
「あぁ、お母さんと100円ショップでこんな風に買い物することは
もうないんだろうなあ。」
その瞬間、切なさで胸がいっぱいになり思わず涙ぐみそうになりました。
母が体調不良を訴えて入院したのがほんの半年くらい前。
それから入退院を繰り返すたびに、あっという間に身体も気持ちも弱り
認知機能もどんどん衰えていきました。
「お年寄りは入院したら弱る」って話はいろんな人から聞いていたけれど、
想像以上でした。
というか、本当に何の根拠もなく自分の親は大丈夫だと思っていました。
それなのに1週間ごとに老いていくかのような印象です。
あっという間に外出や買い物ができる状態ではなくなっていったのです。
ちょっと前までは、実家に帰るたびに近くのちょっとしたショッピングモールに行き、そこで一緒に食料品などのお買い物をしていました。
ついでにその中の100円ショップに寄ることもしばしば。
また、近くの商業施設にも別のチェーン店の100円ショップがあり、
そちらもよく利用していました。
「わあ、これ安いね!」
「見て。これ、かわいい!」
「こっちは便利そう。買ってみようか。」
そうやっていろんなものを買い込んで、家に帰ってそれをテーブルに広げ、なんやかんやと話すのは、ちょっとした楽しいひと時でした。
別に一緒にどこか旅行に行こうって話じゃないんです。
近くの100円ショップに行くっていうのは、
すぐそこにある「日常のほんのちっちゃな楽しみ」のはずだったんです。
そんな小さなひと時がもう来ないかもしれないなんて、ほんの数か月前には
考えてもみませんでした。
そう思うと切なくなって、あの日私はそそくさと買い物を終え、足早に家路についたのです。
だってそのまま店にいると、本当に泣けてきそうだったから。
そう思ってあきらめていた100円ショップ。
それなのに先日実家に帰った際、思いがけず一緒に行くことが
できたんです!
ショートステイから帰ったばかりの母は、その日足腰の痛みを訴え
急遽私が病院へ付き添うことになりました。
いつもは疲れたと言って、そのまま病院から家に直帰するのですが、
その日は買いたいものがあるからと、母のリクエストで
近くの100円ショップに行くことに。
昔みたいに、
「わあ、これ安いね。」
「あ、これ便利そう。」
「これかわいいね。」
そう話しながら買い物を楽しむことができました。
探していた商品を見つけて買い物が終わると、さすがに疲れた様子。
あとは母をスーパーの喫茶コーナーで休ませ、その間に
私ひとり大急ぎで買い物を済ませて急ぎ家路についたのですが、
私にとっては、大満足のひと時でした。
だって、またこうして100円ショップで一緒に買い物を楽しめる日が
来るとは思ってなかったので、すごくうれしかったんです。
何だか思いもかけないプレゼントをもらったような気分でした。
ここのところ食も細り、めっきり痩せていた母でしたが
ショートステイ先では毎日しっかり完食していたとのこと。
少し歩く練習ができたことも良かったようです。
ショートステイ先の介護施設の方々、そしていつも母を見守り励まし
サポートしてくださるケアマネの方、看護師の方々に感謝の気持ちで
いっぱいです。
ここのところ、我が身の老いと母の老いを否が応でも実感して、
落ち込みがちだった私ですが、なんだかまた頑張れる気になれました。
そんな幸せなひと時でした。
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