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ちいさな本屋さんの店番をしています https://instagram.com/aiu…

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ちいさな本屋さんの店番をしています https://instagram.com/aiuqeo/

最近の記事

桃色の魚の鱗

0331 おじいちゃん80歳のお誕生日おめでとう。 老化でほとんど耳の聞こえなくなっているおじいちゃんは、たまにぼそりと寂しそうにつぶやく。みんなが会話しているのは見えるのに会話はほとんど聞こえないその世界は寂しがり屋のおじいちゃんにとっては耐えきれないことなのだと思う。そうなったときのことを想像してみたけれど、体の自由がきいて、特別何もしなくても困ることなく生きていけている私にとっても到底耐えきれないことだった。それでも長生きしてほしいと思うのは遺される健康なもののエゴでし

    • 春_店番日記

      島か港か、どこか小さくのどかなコミュニティのなかでひとりちいさな本屋さんのお姉さんをやりたいとここ最近思っていて、そんな来るかもわからない未来の光景がはっきりと目の前に浮かんできた。 (吉本ばななさんの「海のふた」が理想的) 放課後の子どもたちが立ち読みをしたり帰路に着く前に集う場所だったり、近所のひとがお茶をしにきて椅子に座って会話したり、そしてそれをひろい気持ちで迎え入れる店番のわたし。ひまなときは好きに本を読んだり、きれいなお姉さんだな〜ほわわん〜といった妄想まで。保

      • 0316

        悪戯に 時間が 経過してゆくのを ただひたすらに 待ちつづける この時こそ ムダに死に近づいてゆく 気づいても なお やめられぬ 人間という生き物の かなしさ (0316) - - - 0316 朝から春の陽気。仕事なんて休んでしまえ!という悪魔とみんなの迷惑になるからだめよ、と囁く天使と。わたしは天使との交流を選ぶ。愚かでつまらない人間だわ。 まじめでつまらない いい子ちゃんな大人になってしまった。 4日間も仕事を休んでしまっては時給制の私にはとてつもない痛手。 現実

        • 囲われた幸せのなかでしか不幸に生きられないかわいそうなあたし

        桃色の魚の鱗

        マガジン

        • 店番日記
          9本
        • 真夜中の戯言
          4本
        • 写真
          0本

        記事

          ただ健やかに生きたいだけ

          すべてが嫌になってひとりになりたい時期が周期のように襲ってくるのだけど、ひさしぶりに今がその時期だ。なにかひとつ、他人に指摘されるとなにもかもが私をだめだという気持ちにさせてすべてを放棄してしまいたくなる。 たぶんこのような気持ちは私以外のひとも私の知らないところで感じているのだと思う。みんながこんな気持ちを抱えて眠れない夜を過ごすのかもしれない。 生理の周期と同じ頻度で訪れるこの時期は、どんなに好きな人でも遠ざけてしまいたくなる。喉元から胸元あたりまでムズムズとして思い

          ただ健やかに生きたいだけ

          ひとりで見る日記にも偽りの気持ちをつらつらと書く。まるでだれかを演じるように、そうなってほしいと祈るように。濁った薄茶色の感情をまっさらな色に浄化するように。

          ひとりで見る日記にも偽りの気持ちをつらつらと書く。まるでだれかを演じるように、そうなってほしいと祈るように。濁った薄茶色の感情をまっさらな色に浄化するように。

          春に死にたい

          0301 閏年だったことも忘れていたけれど、もう3月。暖かいんだか寒いんだかよくわからなくて混乱したまま3月を迎えた。 今日も変わらずお仕事。朝はのんびり珈琲を淹れる。少し前にようやく珈琲のおいしさに気づき、浅煎りも深煎りもわかっていないままに飲んでいたのだけど、最近深煎りが好きだということに気づいて成長を感じた。ひとはいくつになっても成長できるんだった。ほんの少し感動した。 バスに揺られること20分ほど、この時間を読書に充てるのが最近の好きな時間。 店番中、マイナビと

          春に死にたい

          本と香り

          男はそよかぜのように娘にキスした 谷川俊太郎「詩人の墓(2006)」 - - いまが一体何日で何時で何をしているのか 自分でもよくわからないままに生きているという感覚のなか過ごしている二月のおわり 時が流れるのに抗わずひたすらに揺蕩って沈んでいく 0226 終日本屋さんの店番の日です。 朝家を出ると晴れてる!と思い傘を置いてきたら歩いてる途中、晴れ間から小雨が降り始めたので私のパーマが元気にくりんくりんし始めた。昨夜、雨であることを確認したんだった。いま思い出してし

          本と香り

          母の味はクックパッドな店番日記

          0223 怒涛の12連勤のゴングが鳴る。 連勤初日の朝、なぜだか連勤折り返し地点ほどの疲労を感じるもまだ初日、始まってすらいない、朝だ。歳をとったなという言葉は言いたくないのだけれど、こういうとき歳をとったなと思う。25歳でそんなことを〜と怒るひともいるかもしれない。でも私は25年しか生きていないのでそれ以上のことを主観で語られてもピンと来ないのです。こればかりはもう25年生きてみないと。 昨日まで2連休だったので実家で過ごした。 実家は現在妹と暮らす部屋から電車に揺られる

          母の味はクックパッドな店番日記

          不調を感じる日の店番日記

          0218 眠くてだるい体を無理やり引きずり起こし、なんとかベッドから這い出る。ああ、昨日はメイクだけ落として眠ったのか。昨夜の自分をすこし恨みつつ、とりあえず急いでシャワーを浴びる。 昨日買っておいた、いちご大福を2口ほどで食べ出勤。 朝との相性が非常に悪いなといつも思う。どうしたって朝起きるという事実が苦手。 仕事場に着くと、ミモザがやってきた。 冬の陽をあつめたちいさな結晶のようで愛らしい愛日のような花。お店に飾る花で季節の巡りを感じる。そのささやかな木漏れ日のような

          不調を感じる日の店番日記

          時空が歪む喫茶店

          0214 遠足の前日、布団に潜り込んで朝が来るのを希う小学生の気持ちでここ数日過ごしている、小学生よりも小学生らしい25歳。 旅に行こうと2日前に突然決めた。 仕事を終えて妹と急いで動物園に行った日。案の定動物なんて1/4しか見れなかったけれど多幸感に包まれ閉園時間に追われるように動物園を出たそのあしで向かった動物園近くの昔から家族そろって特別な日に足を運んでいた喫茶店に寄った。 妹とホットチョコレートのポットをふたりで分け合いながら、「昔はここに来るのにパパが運転する

          時空が歪む喫茶店

          0207-0211 店番日記

          0207 小学生の男の子2人が自転車に乗ったまま会話していてロナウドは家が6つあるらしいよ!え!すげえ!大谷の家はデカそう!!と話していてどこぞのロナウドさん(おそらくあのロナウドさん)は家が6つあるということを覚えた。 0209 本を買うときに決めていることがある。 SNSで口コミを見ない、ネットであらすじを見ない。 本屋さんではなるべく携帯を出さない。時間を見るときだけ。 装丁とあらすじだけで、気になったらとりあえず買ってみる。 買わないといつまでも残像が頭を侵すから

          0207-0211 店番日記

          すこし先ですでに待ち構える春に想いを馳せる。春が狂おしいほど好き。全体を覆う切なさの膜も、色づく季節の最中で灰色の心を持った自分も、切なさを携えながらワクワクを孕んだ瞳も、なにもかもが寸分の狂いなく完璧な配役で春を彩る。毎日がパーフェクトデイズ。いつしか春の微睡に溶けたい。

          すこし先ですでに待ち構える春に想いを馳せる。春が狂おしいほど好き。全体を覆う切なさの膜も、色づく季節の最中で灰色の心を持った自分も、切なさを携えながらワクワクを孕んだ瞳も、なにもかもが寸分の狂いなく完璧な配役で春を彩る。毎日がパーフェクトデイズ。いつしか春の微睡に溶けたい。

          平山さんのいる世界にいる私

          「この世界は、ほんとうはたくさんの世界がある。つながっているようにみえてもつながっていない世界がある。」 久しぶりに映画館で映画を観た。さらにひとつの映画を集中して観たのも久しぶりだった。ここ最近は本を読むか、音楽を聴くか、ラジオを聴くか、の繰り返しで映画は集中力が続かないと思う日の連続だったので、観たいけどなかなか観ることができないというジレンマを抱えていた。 どうしても映画館で観たかった「PERFECT DAYS」。 見終えたいま思うことは、ほんとうに映画館で観ること

          平山さんのいる世界にいる私

          0204-0206 店番日記

          0204 その人のことしか考えられないほどに想っていたあの年末の感情はあっという間に消え去り、いつしか生活を繰り返す日々のなかで思い出すこともなくなっていった。噴火避難勧告レベルで熱していたあの感情を思い出すことすらできない。興味がまったく別の方向へと向かっていってる感覚がわかる。 - - 0206 週に一度の終日、本屋さん勤務の朝。 朝からおしごとの日は家を出る2時間前にアラームを鳴らしてゆったりしたいちにちのはじまりを演出するようにしている。 ゆっくりとした朝を迎え

          0204-0206 店番日記

          雨降る灰色の街に佇み救われる日

          センチメンタルな雨模様。 霧のような雨が風に舞って傘をさす私にフィットする。 今日のおしごとはお昼から。ゆっくりとした朝を迎えてラジオを流す。部屋じゅう珈琲の香りにつつまれて、忘れかけていたぬるめの珈琲を飲む。 暗い部屋のなかで仕事までの時間ゆったりとしていると、数年前の自分と部屋にふたりでいる感覚に陥った。 5年前、当時大学生だった世間知らずの私はなにひとつ思い通りにならず理想の生活もできない地元で実家暮らしの生活に鬱々とし、気づけば大学にいくまでの電車を見るだけで吐き

          雨降る灰色の街に佇み救われる日