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『教養として知っておきたい博物館の世界 / 栗原祐司著』のレビュー

概要

 博物館の種類、美術品を劣化させないための展示期間や保存法の工夫、博物館の動線の設計、特別展と常設展、混まないための工夫、特徴的な博物館などを紹介している。
 この本の著者は京都国立博物館の副館長で、国内6300館以上、海外も含めれば、1万館以上のあらゆる館種の博物館を訪問している。

内容は、

はじめに  17
第1章 博物館についての基礎知識  25
第2章 博物館の「運営」を知る  43
第3章 「展示」を知って鑑賞する  87
第4章 上級者のための「観る技術」  141
第5章 京都国立博物館のひみつ  195
第6章 厳選! ニッポンの行くべき博物館20  219
おわりに  300

 日本にはユニークな博物館がいくつもある。博物館に行くことを趣味にし、そのために旅行するというのもオツなものだ。

一番好きな部分

 日本美術の場合、「特別展」でも会期中に展示替えがあるのは、決して珍しいことではない。というのも、「その16 常設展という言葉に騙されないで!」で述べたように日本の絵画や彫刻作品などは、紙や木、絹などの脆い素材でできているからである。彩色に使われている顔料や染料も褪色しやすい。ゆえに長い間にどうしても劣化してしまう。文化財の保存という面だけを考えれば、展示しないで収蔵庫で眠らせていた方がいいわけだ。

『教養として知っておきたい博物館の世界 / 栗原祐司著』
第3章 「展示」を知って鑑賞する p.104

 自然劣化を遅らせるために暗い照明を使い、海外展示ではさらに照度と温湿度を徹底管理している。が、それでも劣化は避けられないので、修理を繰り返すことで文化財は守られ、何世代にもわたって大事に伝えられてきた。

評価

分かりやすさ   10/10
おもしろさ    9/10
手軽さ      8/10
有益さ      8/10
表紙のデザイン  9/10

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