#152 20Wの”計算機”

一秒間に1ジュールの仕事’(エネルギー放出)をする速さ(仕事率)を,1ワット[W]と言います.”ワット”はエネルギーの大きさではないのですが,日常生活では「大きなワット数」をいちいち「一秒間のエネルギー消費速度」などと呼ばずに,何となく一秒あたりのを省略して「エネルギーの大きさ」という意味でお互いにわかったつもりで会話が成立しています.

人間の脳

 個人差はあるとは思いますが,およそ人間の脳は約20Wで働いているそうです.スゴイですね.昔の白熱電球(照明)が約60W,今のLED照明は約20W?とすると,部屋を少し明るくするエネルギー消費速度で,脳の活動が動いていることになります.湯沸かしポットが1000Wだとすると50人の頭を一カ所に集めたら,お湯が沸く?などと想像してみたりもします.

スーパーコンピュータ

 もし人間の頭脳と同じ仕事をコンピュータにさせようとしたら,はてさて何ワットでしょうか? 20メガワット(MW)という話を聞いたことがあります.但し,何の制約もない日常会話を正しく意味理解するなど,本当に人間と同じことをさせるのはまだおそらく無理でしょうから,この値も正しいかどうか怪しいですが,,,.

 人間の脳 約20W << スーパーコンピュータ 約20MW

この差,1M倍,つまり100万倍です.生物のエネルギー効率の良さ,さすがです.人工頭脳(AI)が盛んに取り上げられていますが,同じエネルギー消費量でもし勝負したら,たぶん将棋でも名人の方がAIに勝てるのではないかなと想像します.20Wですよ.ちなみに普通?のパソコンはと調べてみると,

”デスクトップパソコンの消費電力は、50~150W”

とあります.GPUなどを積まずに,普通のパソコンを時々電源を切ったり付けたりしながら人間と戦うAI将棋ソフトと名人の対戦,たぶん人間の方が勝つと思います.(専門家でないので,あくまで想像です.)

 当然,エネルギー消費量やお金に”糸目”(いとめ)をつけなければ,将棋などの特定の探索・推定・分類などは,もはやコンピュータに人間は”勝ち目”がありません.

20Wの実力

 20Wと聞くと,大したことがない気がしますが,実は一点に集まるとすごい”仕事”をします.電子部品を基板に取り付けるときに使う「半田こて」のヒータが20W程度だったりします.錫と鉛の合金の”半田”を加熱して溶かして,銅板と錫メッキされた電子部品を電気的に接続するあの「はんだ付け」ができます.

 人間の脳は,糖分をたくさん消費しながら,血流でエネルギー供給と老廃物の除去,何よりも循環する液体で冷却と,これまたすごいシステムで連続動作しています.睡眠をしっかりとって,リフレッシュしてあげないと翌日しっかり動けないはずです.但し,寝ている時にも”海馬”で短期記憶を長期記憶に保存するための仕事をしているそうですが,,,.

 20Wで動く「超人的なシステム」である「人間の脳」,上手く使って,上手く休めて,長くお付き合いしたいところです. 私の”脳”も55歳を過ぎて,最近めっきりその「仕事っぷり」に時々 ?? と !! がありますが,,,.幸せになるきっかけは十分です.   T_T  -->   ^_^