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#98 「根回ししておくよ」 イタリア語 事始め(13)

NHKラジオ「まいにちイタリア語」7月号に載っているフレーズ。

”Vedro di prepararti il terreno.”
「(種をまくために)畑を耕して準備をする」

日本語の「根回し」は、畑を耕しておくのよりもう少し長い時間の準備になります。移植する前に、「根切(ねぎり)」をして、そこから新しい「根毛(こんもう)」が出てくるまでの時間が必要です。

 但し、畑の土の準備も、たい肥をすき込んだり、消石灰をまいて雨が多いために酸性になりやすい日本の土壌を弱酸性側に中和したりと、意外(?)と手間がかかります。宮沢賢治の伝記を読んだりしていると、童話を書いているノンビリとしした裕福な家のお坊ちゃんというよりも、東北の地面と戦った農学者の一人というイメージがあります。
 そう言えば、直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』を読んだとき、それまでの宮沢賢治のイメージとの違いに驚きました。宮沢賢治の父親からの目線で書いた、”斬新な”物語でした。妹がなくなった朝に書いた『永訣の朝』という詩が国語の教科書に載っていたのだけれど、父親の目線からは同じ朝でも、あんなふうに映っていたんだと思い驚きました。

 もしかすると、私が知らないだけで、火山の多いイタリアは土地の酸性度が高いため土を”耕して準備”という作業の中に、日本以上の手間がかかるのかもしれません。

 とにかく、何処の国の言葉にも、今の目の前の見えることだけでなく、先を見越して準備をしておくのは大切だということの表現があるというのは、物事を進めるときに基本ということですね。

 ”Vedro di prepararti il terreno.”