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#165 同じ名前? ’#’ と ’♯’

#(井桁)と ♯(シャープ)は別モノ?

=   // →  #

 #「ナンバー記号」「ハッシュ記号」と呼ばれたりします。日本語では、「井桁(いげた)記号」というので、「井桁」と入力すると文字変換されます。また、「ハッシュ」でも同じ文字が変換されます。

 シャネルの香水「五番」だと箱に「#5」と印字されていたりします。「No.5」と書くより「#5」の方がタイプライターで印刷するときなど、一文字で済むので簡単にすみます。(今の若い人?は、多分タイプライターで文字打ったことないでしょうね。”エリート”や”パイカ”など印字の金属ヘッドを取り替えたり、回転してハンマーヘッドがガシガシと紙にインクを移すのは楽しかったですよ。電動タイプライターでないと、間違えた後の修正が大変でしたが、、、、) 

 ブッシュ電話(今ではダイアル式電話がほぼないので、普通?の押しボタン電話)で、音声案内が「シャープを押してください」と何故か言われたりしますが、あれは正しくは「番号キーを押して下さい」あるいは「ハッシュキーを押して下さい」と言うべきだと思います。ただし、「番号を押して下さい」と勘違いする人がいると適当?な数字キーを押されてしまうので、多分「シャープ」と最初の音声案内を作った人が録音したのではないかなぁと想像したりします。

 最近になって、「ハッシュタグ」と言う言葉をよく耳にするので、「ハッシュ」と言うのも身近になりつつあります。「細かいものに切る」と言うのが"hash"の意味のようですので、「キーワード」のように「細かく切った目印」がハッシュタグということでしょうか?「ハッシュド ポテト」も、刻んだジャガイモを固めて調理したものです。明治に開発された”日本の洋食”メニューの一つハッシュドビーフも刻んだ牛肉を煮込んだ料理です。「ハッシュ」は料理では時々お目にかかる言葉です。

 ちなみに「井桁」とは、井戸の一番上の部分で外枠の二組の並行なき組の部分をいいます。「井戸の井」のことです。(昔、電報を打つときに、「伊藤の伊」や「井戸の井」と言って電報受付の人に伝えていました。今でも電話で自分の名前を伝えるときに、「明治の明」と言って伝えています。ちなみにわたしは昭和生まれですが、、、笑)

| | //   →  ♯ 

 ♯「シャープ記号」は、音符を書く五線紙に「半音上がる」ことを表します。、「井桁」ではありません。2本の”横棒”は、音符を書くためにあらかじめ引かれた水平な横線と重ならないようにするために、右斜め上方に傾いた2本の平行線です。

区別をしない時もある?

 ここまでは、よくある話だと思うのですが、最近面白いと思ったのは、Windows PCでは「シャープ」と入力すると、#と♯の両方が候補として表示されたのに対して、Apple PCでは「シャープ」では、♯しか表示されなかったことです。単に日本語変換に、どのシステムを使っているかだけの違いなのですが、音声案内と同じように「シャープ」#と♯を区別せず両方が候補として表示されるものがあらかじめ用意されているということです。音楽を生業(なりわい)にしていない人がほとんどの場合、井桁でもシャープでも、「二つの並行な線の重ね合わせ」であれば大して気にしない時には、区別は不要なんですね。そもそも漢字の誤用があっても、それが通常用いられれば新しい用例となって誤用が正解になるのは、”よくあること”の様です。

区別する時、名前は違う

 海藻を食す日本人は、「昆布」と「わかめ」は明確に名前を区別しています。英語では、「海草」sea grassと一括(ひとくく)りにして同じ呼び名で区別しません。そもそも「海」と「草」という別々の単語の組み合わせで合成して、一つの名前を用意するに及ばないというのが食物として見ない時、必要としていない時の呼び方です。

 これと同様なことは、cow とbeefに当てはまります。日本では、明治になるまでほとんど牛肉を食べることはなかったでしょうから、「牛」と「肉」という、ちょうど「海」と「草」のように合成することで新しい呼び名をつけたと思われます。最近は洋食文化が日本にもすっかり?根付いたのか、ヒレ肉(フィレ肉)などという言葉も耳にすることがあります。(今から45年以上前、私が小学生の頃は、”牛肉輸入自由化”の前だったので、牛肉=高級肉というのが田舎の庶民の食卓でした。お祝いや特別な日に「牛肉のすき焼き」が特別メニューでした。)

 個人的には、相手がわかってくれるなら、どのように読んでもいいと思っています。ただし問題は、#と♯が並んである時です。 はて?それはどんな時? ハッシュドポテトを手に持ちながら五線紙を眺めている時??(違う違う、、、)お後がよろしいようで。

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