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#77 キリのいい温度 27℃

 「キリのいい数」と言えば、普通は10の倍数が多いと思います。「キリのいい」を言い換えると、「使いやすい」が当てはまるかもしれません。

熱エネルギー E=kT

温度がエネルギーに相当するというのは、何となくイメージできると思います。温度Tに比例係数(ボルツマン定数)をかけると、エネルギーになります。ここで大切なのが、温度の単位です。もし、日常生活で使っている「キリのいい」℃を使うと、氷の溶ける温度0[℃]以下(氷点下)は、「マイナスの温度」となってしまい、E=kTの計算をすると「負のエネルギー」が出てきます。実際には、これ以上温度が下がらない温度「絶対零度」T=0ケルビン[K]を定義すると、絶対零度がエネルギーがゼロになります。[K]と[℃]のメモリ間隔は同じで、273だけずれています。絶対零度T=0[K]は、日常生活で使う[℃]で表すと、0[K]=-273[℃]となります。逆に0[℃]=273[K]となりますので、「キリのいい室温の温度」は、27[℃]=300[K]となるわけです。

キリのいい”1024”

情報系では、コンピュータの内部で0と1の二つでデータをあらわす、2進数と言う表現を使っています。この方式では、10桁のデータをあつかうと、2^10=1024(2を10回掛けた値)が出てきます。”1000”という数は、2では2回しか割り算ができませんが、”1024”は、2で10回も割れます。(2を10回掛けた数だから、当然ですが、、)

そういえば、学生時代に友達と食事に行き、料理をみんなでまとめて注文して「じゃぁ、ここは割り勘で。切りのいい数で1024円ずつね。」と情報工学科の友達が冗談を言ったら、材料系学科の友達が???と不思議がっていたのを、横で電子系の我々はニヤニヤ笑っていました。

コンピュータのキロ kとK

日常生活で食材を買ったら、「1kg」と言われれば「1000g」のことですね。コンピュータの中で、「1キロ」と言うと2種類の「キロ」があります。大文字と小文字です。(温度のケルビンや、熱エネルギーの比例係数ではありません。)上で書いたいように、コンピュータのデータは2進法で記録しているので、2^10=1024が、人間の10進法の1000(キロk:小文字)にも近いので、”キリのいい数”として使っています。1024=1K(ここでは、キロはK大文字)。1000の近くでは、それほど違いがないのですが、1000どうしをかけると、100万(million: M)になりますが、ミリ(m)を既に使っているので、10^6も1M(メガ)と書き、2^20=1024*1024も1M(メガ)と書きます。このおかげで、DVD-Rにデータを書き込もうとすると、表示で○○GB(ギガバイト)とあり、容量が十分だと思い書き込もうとすると「空き容量が足りません」とエラーが出たりするんですね。人間に分かりやすい、10を何回掛けたかの10進法と、コンピュータに分かりやすい、2を何回掛けたかの2進法の両方が、同じ記号を使って表示されると、人間が混乱することになります。

こういう二つの世界にとって、「キリのいい数」どうしが出会うと混乱する状態を何というか知っていますか?   そう、さすが、もうわかっているんですね。「キリキリまい」です。 、、、 お後がよろしいようで。

(写真引用元:https://photo.mie-eetoko.com/photo/632 三重県熊野市獅子岩)