眠るプーラの横で

我が家の猫・プーラは近所にある保護猫カフェに住んでいた。保護猫カフェで出会った僕らとプーラは、数ヶ月にわたる交流を経て家族になった(プーラとの出会いや、彼と家族になる経緯はいずれ改めて書きたい)。

保護猫カフェとは、簡単に言えば保護猫のみで構成された猫カフェ。そこにいる猫たちは、ブリーダー放棄やペットショップ倒産、治験対象や野良とそれぞれバックボーンは違うものの、辛い境遇から保護され、新しい家族を待っている子たちだ(つまり縁があれば、そこにいるスタッフ猫たちを家族に迎えることができる)。ちなみに、プーラには風邪薬の治験に使われていたというバックボーンがある(本人はそのことを感じさせないくらいのんびりおおらかに生きているけれど)。

プーラの実家であること、猫を飼ったことがない僕らの良き相談相手になってくれること、猫カフェ利用代が保護猫活動に使われていること、からプーラを家族に迎えたあとも、近所の保護猫カフェとは交流を続けさせてもらっている。

今日、その猫カフェにいるスタッフ猫の一匹であるブリティッシュショートヘアの仔猫が亡くなったとの報があった。

ペットショップ販売用に生まれたその子は、店頭に並ぶ前に猫風邪にかかったため、一番可愛いらしい赤ちゃんの時期に店頭に並ばせられないという理由で放棄された。すぐに治療すれば治ったかもしれないが、保護団体に保護されるまでの期間が長かったこともあり風邪が悪化。気胸になって肺に水が溜まっている状態で、二週間以上生きようと必死に戦っていたが、とうとう勝てることができなかった。。。1歳を迎えることができなかった。

保護猫カフェと交流するようになって約1年半、今まで三匹の猫が新しい家族に出会う前に亡くなるのを見てきた。その度に、とてもやるせない気持ちになる。ペットショップで素敵な家族に出会い、幸せになっていく子の背景にある、今まで知ることのなかったもうひとつの現実に触れるたびに、声にならない声と深いため息が出てしまいそうになる。ペットショップが一概に悪いとは言えない。そこで出会って幸せになるペットも家族もいる。ただ、その裏で確実に生まれ続ける不幸があると思うと、正しさとはなにかがわからなくなって暗闇は深くなり、いつまでもいつまでも朝が来ない夜がきたような気持ちになる。

そんな中でも今僕ができることは、目の前にいるプーラを大事にし、幸せに過ごしてもらうようにすること。そして、こういう事実や気持ちを書き留め、忘れないようにするとともに、これを読み将来的にペットを家族に迎え入れようとするときの選択肢を増やすきっかけづくりをすることが大事だということだ。

小さな鼻ちょうちんを作りながらクッションのうえで寝るプーラの横で、今晩は寝ようと思う。



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