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FUNNY THINK / パンクロックが鳴る夜に

岩手県盛岡市を拠点に活動する平均年齢21歳の3ピースバンド・FUNNY THINKの1stミニアルバム「陽はまた昇る」からのリード曲。

ミュージシャンの持つバックグラウンドやアティテュードを踏まえて音楽の好き嫌いを判断することが正しいのか、自分の中でもう何年も答えが出ないままだ。しかしながら一方でバンド、殊更にパンクロックバンドについてはどうしてもそのバンドの持つ”ストーリー”までを含めて音楽の好みを考えずにはいられない自分がいることもまた否定することが出来ずにいる。

Hi-STANDARDの横山健はかつて以下のような発言をしている。

音楽では世界は変わらない。音楽にケツを蹴り上げられて、熱い気持ちになった人が行動して、そうして世界は変わっていくんだ。Hi‐Standard は音と存在で、みんなのケツを強く蹴り上げたい。(横山健の別に危なくないコラム vol.73)

小学6年生の時に大船渡市で東日本大震災を経験。その後、東北で開催された「AIR JAM 2012」でのHi-STANDARDのライブを(DVDで)見て彼らに憧れを抱き中学生でバンドを結成、憧れのパンクロックバンドたちの支援を経て立ち上がったライブハウス・大船渡FREAKSを拠点に活動をスタート。地道な活動を続けて19年には地元・岩手県で開催される「いしがきMUSIC FESTIVAL」で横山健、難波彰浩と共演し、20年には初の全国流通盤をリリースするに至る。

FUNNY THINKが歩んできたストーリーを振り返ると、まさにHi-STANDARDの音と存在にケツを蹴り上げられて自分たちの世界を変えていこうと行動してきたことが伺うことができ自然と肩入れをしたくなってしまうのだ。

ライブハウスで観客みんなが拳を振り上げて共に合唱できる、いわゆるアンセムを生み出せるかどうかがバンドのステップアップにおいて非常に重要なポイントのひとつではあるけれど「パンクロックが鳴る夜に」はFUNNY THINKにとってそのようなアンセムになること間違いなし。

シンプルで力強いベースラインと(歌詞にも登場する)パワーコードを中心にしたグッドメロディ、”君だけに歌う 君だけを見てる”というサビのフレーズは誰もが何気なく口ずさめるキャッチーさも兼ね備えている。さらにこの歌詞に出てくる”君”を”パンクロック”に置き換えてみると、彼らのパンクロックに対する強い愛情と尊敬、感謝の想いが伝わってきて自然と胸が熱くなってくる。

モッシュとダイブが溢れるライブが主戦場のパンクバンドにとって現在の新型コロナ感染拡大とそれに伴うライブハウスを取り巻く現況は非常に厳しいものであるはず。いつか状況がもう少しでも落ち着いたときには、愛してやまない先輩たちが作り上げてきた熱気溢れるライブハウスの雰囲気を、この曲を引っ提げて彼らが引き継いでいってもらいたい。

(TOP画像 via FUNNY THINK official HP

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