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Ⅰ. 関数 【基礎微積分学:大学数学】

0. このシリーズの目的

さて、このシリーズがなんのために始まったのかはまぁ、軽く言うと
・授業の復習
・数学関連の日本語語彙の強化
・数学について語り合える人と出会う(!)
という感じ。ということで「わかりやすく」書こうとしてはいない。
独自で作った記号などた~くさんあるかも。

0.1. 使用書籍

2020, Stewart, J., Clegg, D., Watson, S., 『핵심 미분적분학』, 9th ed., 수학교재편찬위원회 訳, 2021.
(JP版書籍名:『スチュワード微分積分学』)

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1. 関数を表す方法

あなたたちは「関数」と聞いたらどういうイメージが思い浮かぶだろうか。
おおよその人は「$${y=f(x)}$$」と答えるだろう。まぁ正解だ。
(ほぼ?)すべての関数は$${y=f(x)}$$の形式で表すことができるだろう。
この本ではこれを含めた4つの方法を説明している。

  • 言葉:言語での説明

  • 数値:(関係)値をまとめた表(table)

  • 視覚:グラフ

  • 代数:明確な公式

と言う感じで、だ。「あれ、値をまとめた表だけでも関数って言えるん?」と思うかもしれないが、もちろん言える。関数の定義はこちら。

関数(function)$${f}$$は$${^\forall x\in X}$$を$${f(x)\in Y}$$ただ一つのみに対応させる規則である。
これを記号で表すと$${y=f(x)}$$、または $${f\!:\;X\to Y}$$となる。
ここで集合$${X}$$を定義域(domain)、集合$${\{f(x)|x\in X\}}$$を値域(range)と呼ぶ。

1.1.1. 関数の定義

$${X}$$が実数すべての集合であろうと、ただ何個かの自然数で成された集合であろうと関係ないのだ。
試しに$${X=\{1,\,2,\,3\}}$$に対して関数値が2倍になる関数$${f\!:\;X\to Y}$$を上記の方法で表してみよう。

  • 言葉:関数$${f}$$は定義域$${X}$$の元を2倍にする。

  • 代数:$${y=2x}$$

    視覚/数値はそれぞれ図 1、図 2を参考せよ。

図 1. 関数 f(x)=2x を「視覚」的に表したグラフ


図 2. 関数 f(x)=2x を「数値」的に表した表

2. 関数の分類

2.1. 区分定義関数(Piecewise defined f.)

名前の通り、定義域が何個かの区間に分けられ、そのそれぞれの区間を定義域とした関数の集まりを区分定義関数(韓国語直訳:欠片ごとに定義された関数)という。
絶対値関数$${|x|=\left\{\begin{array}{ll}x, & x\geq0 \\-x, &x<0\end{array}\right.}$$が一番いい例かも。
以下は他の区分定義関数の例。

最大整数関数$${\lfloor x\rfloor=\left\{\begin{array}{rl}x, & x\in\mathbb{Z} \\z, &x\not\in\mathbb{Z}\end{array}\right.\!\!\!, \;\; \mathsf{s.t.}\;z< x< z+1 }$$

ディリクレの関数$${f(x)=\left\{\begin{array}{ll}1, & x\in\mathbb{Q}\\ 0, & x\in\mathbb{Q}^C\end{array} \right.}$$

2.1. 区分定義関数の例

2.2. 偶関数、奇関数

$${f(-x)=f(x)}$$を満たす関数$${f}$$を偶関数(even f.)と呼ぶ。
偶関数のグラフは$${y}$$軸に対して対称。
$${y=c\;(c\!:\mathsf{const.})}$$、$${y=x^{2i}\;(i\neq0,\;i\in\mathbb{Z})}$$、$${y=\cos x}$$など。

$${g(-x)=-g(x)}$$を満たす関数$${g}$$を奇関数(odd f.)と呼ぶ。
奇関数のグラフは原点$${(0,\;0)}$$に対して対称。
$${y=x^{2i-1}\;(i\in\mathbb{Z})}$$、$${y=\sin x}$$、$${y=\tan x}$$など。

偶関数、奇関数はどれもグラフが何かしらに対し対称であるグラフ。
また、任意の偶関数を$${E}$$、任意の奇関数を$${O}$$とすれば次の性質が成立する。

$${E+E=E}$$、$${O+O=O}$$
$${E\cdot E=E}$$、$${O\cdot O=E}$$、$${E\cdot O=O}$$
$${\displaystyle\frac1E=E}$$、$${\displaystyle\frac1O=O}$$

2.2. 偶関数・奇関数の四則演算

2.3. 関数の増加・減少

関数の増加、減少は次のように定義される。

$${\mathsf{s.t.}\; ^\forall x_1<\!^\forall x_2\in I ,\;\;f(x_1)< f(x_2)}$$なら区間$${I}$$で関数$${f}$$は増加する。
$${\mathsf{s.t.}\; ^\forall x_1<\!^\forall x_2\in K ,\;\;g(x_1)> g(x_2)}$$なら区間$${J}$$で関数$${g}$$は減少する。
また、増加する関数を増加関数、減少する関数を減少関数という。

2.3.1. 関数の増減の定義

関数の増減同士の四則演算は次のようになる。
任意の増加関数を$${I}$$、任意の減少関数を$${D}$$とする。

$${\mathsf{s.t.}\;c>0,\;d<0\;(c,\;d\!:\,\mathsf{const.}),}$$
$${cI=I}$$、$${cD=D}$$、$${dI=D}$$、$${dD=I}$$
$${I+I=I}$$、$${D+D=D}$$
$${I\cdot I=I}$$、$${D\cdot D=I}$$、$${I\cdot D=D}$$
$${\displaystyle\frac1I=D}$$、$${\displaystyle\frac1D=I}$$

2.3.2. 増加・減少関数の四則演算

3. 様々な関数

3.1. 多項関数(Polynomial f.)

多項関数は次のように定義される。

$${\mathsf{s.t.}\;n\geq0,  a_i\!:\,\mathsf{const.}\;(1\leq i\leq n),}$$
$${P(x)=\displaystyle\sum_{i=0}^n a_ix^i}$$と定義される式$${P(x)}$$を多項式、または$${n}$$次式と言う。
また$${x}$$が入力値、$${P(x)}$$が出力値の関数を多項関数、または$${n}$$次関数と言う。

3.1. 多項関数の定義

僕たちがよく知っている二次関数とか三次関数とか、全部これに当たる。
定数関数もある意味多項関数。

3.2. 累乗関数(Power f.)

累乗関数は一見多項関数の一種と思われるかもしれないが、むしろどちらかというと多項関数が累乗関数の下位互換、あるいは派生と言えるかもしれない。
累乗関数は次のように定義される。

$${\mathsf{s.t.}\;a\in\mathbb{R}\;(a\!:\,\mathsf{const.}),}$$
$${f(x)=x^a}$$と定義される関数$${f}$$を累乗関数と言う。

3.2. 累乗関数の定義

本で紹介された累乗関数のグラフは$${a=1}$$、$${a=2n}$$、$${a=2n+1}$$、
$${a=\displaystyle\frac{\,1\,}{n}}$$、$${a=-1}$$、$${a=-2}$$ $${(n\in\mathbb{N})}$$の場合のグラフのみ紹介されている。

$${a}$$が正の整数、または$${-1}$$の場合は高校までは習うことだからいいとして、
$${a=-2}$$の場合はなんだろう?
$${a=-1}$$のときより原点に近く、$${x}$$軸の上側にのみ存在し、また$${y}$$軸に対して対称なグラフ。すんごい尖った山みたいな形。

3.3. 有理関数(Rational f.)

有利関数は一言で言うと出力側に有利式を持つ関数。
正確な定義は次の通り。

多項式$${P(x)}$$と$${Q(x)}$$に対して、
$${f(x)=\displaystyle\frac{P(x)}{Q(x)}}$$で定義される関数$${f}$$を有利関数と言う。
$${f}$$の定義域は$${\{x\,|\,Q(x)\neq 0 \}}$$。

3.3. 有利関数の定義

$${Q(x)}$$が$${1}$$ではいけないという制約もないので、
多項関数も有利関数の一種と言えるだろう。

3.4. 代数関数(Algebraic f.)

ここで急に聞きなれない単語の登場だ。そもそも「代数」ってなんだよ。
ということで定義を見てみよう。

代数だいすう関数は多項式に「代数的な演算」と呼ばれる次の演算を適用して作った関数のこと。
・四則演算($${+,\;-,\;\times,\;\div}$$)
・累乗/累乗根($${x^a,\;\sqrt[a]{x}}$$)

ex) 速度が$${v}$$である粒子の運動量 $${p(v)=\displaystyle\frac{m_0}{\sqrt{1-\displaystyle\frac{v^2}{c^2}}}}$$
[$${m_0}$$: 粒子の質量、$${c}$$: 光速$${(3.0\times10^5\;\mathrm{km/s})}$$]

3.4. 代数関数の定義

代数的な演算で表すことのできない関数は超越関数(transcendental f.)と呼ぶ。

3.5. 三角関数(Trigonometric f.)

高校のときに習った三角比を関数へと拡張したようなもの。
三角関数ではほとんどが「ラジアン(弧度法)」単位を使う。$${360^\circ=2\pi}$$だぞ。

正弦関数(sine f.):$${y=\sin x}$$、
余弦関数(cosine f.):$${y=\cos x}$$、
正接関数(tangent f.):$${y=\tan x}$$のほかに
余割関数(cosecant f.):$${\csc x=\displaystyle\frac1{\sin x}}$$、
正割関数(secant f.):$${\sec x=\displaystyle\frac1{\cos x}}$$、
余接関数(cotangent f.)$${\cot x=\displaystyle\frac1{\tan x}}$$

3.5. 三角関数の種類

指数関数、対数関数は後程。

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