見えるものこそが全て

わたしは生まれつき両耳が聞こえません。
今は補聴器をつけて生活しています。
よく耳が聞こえないってどんな感じなの?って聞かれるんですけど説明がちょっと難しい。
それに聴覚障害者みんなが皆同じような感じではなく、一人一人違います。(多分)

わたしの感覚では、補聴器をしていないと全く何も聞こえません。相当大きな音なら聞こえますが、聞こえるというよりも空気が震えるのを感じる、という感覚に近いので聞こえてるわけではないのかもしれません。

そして補聴器を付けていても完璧に聞こえるわけではありません。例えるなら洋画を日本語字幕なしで見ている感じ。「何かを話している」ことは認識しているけれど、言葉としては聞き取れていない。人の声もわかりません。例外はあれどほとんど同じように聞こえます。

会話は、ろう者同士なら手話、健聴者とは口話です。
仕事も遊びもほぼ健聴者と接することが多いのですが、先ほど書いたように音で言葉を認識しているのではなく、口の動きを読み取ってそこから言葉を予想し頭の中で文章をつなぎ合わせているので、人によっては口の形が読み取りにくく会話がしづらい人もいます。マスクをしていると全くわかりません。
今はコロナで皆がマスクをしているので正直コミュニケーションに不便を感じています。いつまで続くんだろうかこれ…


正直、これはすごくコンプレックスでした。
ただみんなと同じように話したいだけなのに。いろんな人と仲良くなりたいだけなのに。電話だってしたかったし、字幕なしでテレビだって見たかった。
本当にただ、普通のことがしたいだけなのに。

今だにちょっと割り切れなくてモヤモヤすることだってあります。でも私が見ている景色が私にとっての音なんだと考えるようになってからは、悪くはないかも、と思えるようになってきました。普通の人とは違う世界が見えている。それはとても素敵なことだと思うから。それも私の個性としてうまくこの障害とこれからも付き合っていけたらいいな。たまに弱気になるけど…


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