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『うらしまたろう』 ひらがな むかしばなし

むかしむかし あるむらに こころのやさしい うらしまたろう という わかものが いました。
その うらしまさんが うみべを とおりかかると こどもたちが おおきな かめを つかまえて いました。
そばに いくと こどもたちが みんなで かめを いじめています。
「おやおや かわいそうに かめを はなして おやり」
「いやだよ。 やっと つかまえたんだもの」
みると かめは なみだを ながしながら うらしまさんを みつめています。
「それじゃ おかねを あげるから おじさんに かめを うって おくれよ」
「うん いいよ」
うらしまさんは こどもたちから かめを もらうと 
「もう つかまるんじゃ ないよ」
そっと うみの なかへ にがして やりました。
かめは よろこんで うみへ かえって いきました。
それから 3にち たって うらしまさんが うみに でかけて さかなを つっていると 「うらしまさん うらしまさん」
「おや? だれが よんで いるのだろう?」
「わたしですよ」
うみの うえに かめが あたまを だして 
「このあいだは ありがとう ございました」
「ああ あのときの かめさんかい」
「はい おかげで たすかりました。 ところで うらしまさんは りゅうぐうへ いったことが ありますか?」
「りゅうぐう? さあ? りゅうぐうって どこにあるんだい?」
「うみの そこです」
「えっ? うみの そこへ なんか いけるのかい?」
「わたしが つれて いきましょう。 さあ せなかへ のってください」
かめは うらしまさんを せなかに のせて うみの なかへ もぐって いきました。
「わあ きれいだな」
うらしまさんが よろこんで いると やがて りっぱな おしろへ つきました。
おしろでは きれいな さかなたちと いっしょに うつくしい おとひめさまが むかえて くれました。
「ようこそ。 うらしまさん。 このあいだは かめを たすけて くださって ありがとう。 おれいに りゅうぐうを ごあんない します。 ゆっくりしていって くださいね」
うらしまさんは おしろの へやヘ あんない されました。
さかなたちが つぎから つぎヘと ごちそうを もってきます。
きもちのいい おんがくが ながれて たい や ひらめ や くらげたちの みごとな おどりが つづきます。
もういちにち もういちにちと りゅうぐうで くらすうちに 3ねんが たってしまいました。
うらしまさんは いいました。 
「おとひめさま もうそろそろ いえへ かえります」
「そうですか。 それは ざんねん ですね。 では おみやげに たまてばこを あげましょう。 だいじな ものが はいって いますから けっして あけては いけませんよ」
「はい けっして あけません」
うらしまさんは かめに のって むらへ かえりました。
「おや 3ねんで ずいぶんと かわったな」
ここは たしかに うらしまさんが つりを していた ばしょですが なんだか ちがいます。
うらしまさんの いえは どこにも ありませし しらないひと ばかりです。
「どうなったのだろう? ・・・あの うらしまの いえを しりませんか?」
「はい。 うらしまと いう ひとなら 700ねんほどまえに うみへ いって かえらない そうですよ」
「えっ!?」
むらの ひとの はなしを きいて うらしまさんは びっくり。
「そうか かぞくも ともだちも みんな しんで しまったんだな さびしいな」
うらしまさんは さびしくなって とうとう あけては いけない たまてばこを あけて しまいました。
もくもくもく・・・。
たまてばこの なかから まっしろの けむりが でてきて うらしまさんは かみのけも ひげも まっしろの おじいさんに なって しまいました。

おしまい

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