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【DTM講座】『メランコリーキッチン』のミックス~ボーカル&ギター編~

今回は先日投稿したCover動画で僕がどのようにミックスしているのかを書いていきたいと思います。

ミックスの考え方

DTMにおけるミックスとは並べられたオーディオ素材の音量や定位を調整して作品を聴きやすくする作業です。全部の音が同じ音量だとボーカルは聞こえなくなってしまうし、音割れして耳障りなサウンドになってしまいます。主役の音と脇役の音を明確にすることで作品全体のクオリティを高めることができます。

ミックスの勉強はカバーが効率的

音楽でも料理でも最初は真似をすることが大切です。基本を知らない手探りの状態で高いクオリティの作品が作れるのは才能に恵まれた選ばれし者だけです。特にミックスはリスナーには何をしてるか分かりにくい作業なので、普通の人は好きな曲をカバーして真似ることからミックスを理解していくことをおすすめします。

音のキャラクター(役割)を理解する

ミックスの第一歩は各トラックの役割をしっかり理解することが重要です。RPGゲームで例えるなら全員が戦士のパーティでは回復はできないし、僧侶だけでも敵は倒せません。大切なのはバランスです。

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RPG

僕がミックスする時は頭の中でその音が上の図の何処にいるべき音なのかを考えます。キックは低くて短い音、ギターは少し高くて長い音みたいな感じです。それをパズルのように組み合わせて全ての音がバランス良く鳴っている状態を目指していきます。

ここからは実際に『メランコリーキッチン』で僕が行ったミックスを紹介していきます。

ボーカルのミックス

まずは一番重要なボーカルのミックスに使用しているプラグインを紹介していきたいと思います。

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WAVES Sibilance
1年程前に無料でゲットしたディエッサー。歯擦音といわれる「さしすせそ」などの耳障りな帯域を抑えるためのコンプレッサーでボーカルの処理では必須のプラグインだと思います。アナライザーがあるおかげでリダクションのかかり方が見やすく、音も良いのでかなりおすすめです。

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iZotope Nectar3
 自動でボーカル処理してくれる最強のチートプラグインです。僕のボーカル処理の80%はこのプラグインのおかげですね。AIアシスタントでmodernを選択してディエッサー、リバーブをオフにしてEQを微調整するだけで良い感じに仕上げてくれます。

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Plugin Alliance Vertigo VSC-2
これは最近お気に入りのアナログ系のコンプレッサー。軽くリダクションするだけで適度に倍音が足されるので音に艶と滑らかさを与えてくれます。ノブが少なく操作が分かりやすいのでセッティングに悩むことがないのが良いですね。僕はボーカルやドラムのバスコンプとして使用することが多いです。Nectarだけだと少し無機質な感じになるので音に深みを与えるイメージですね。

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Plugin Alliance Black Box Analog Design HG-2
原音に歪みをかけることで倍音を足し音に存在感を与えてくれるサチュレーターで僕が一番好きなのがこのプラグインです。以前はサチュレーターのチリチリする成分が耳障りで苦手だったのですが、HG-2は音をリッチにしてくれるしグッと前に出してくれるのでボーカルやベースなどの目立たせたいトラックに良く使用しています。もう少し前に出て欲しいけどフェーダーを上げるとバランスが崩れるような時に有効です。

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iZotope Neutron3Equalizer
これはNeutron3のEQのみのプラグインでオートメーションにこのプラグインのアウトプットゲインをアサインして使用しています。こうすることで最終のミックス時に「ボーカルがデカいな」てなった時はフェーダーを下げるだけでオートメーションの設定は保持したまま解決できるので便利です。あと各トラックに挿しているNeutronと連動することでマスキング(音のかぶり)している帯域を表示できるのでボーカルのスペースを空けるのも簡単に行えます。

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Melda Production MAuto Align
これは便利だけど効果が分かりにくいプラグインです。異なるオーディオ素材の位相を揃えることで音の干渉をなくしてクリアな音にしてくれます。今回はメインボーカルとハモリの位相を揃えるために使用しました。

RELAB DEVELOPMENT LX480 Essentials
昨年の年末にセールで2000円くらいだったので衝動買いしたリバーブなのですがメッチャ使いやすくて音も良いので初心者の方におすすめです。レキシコンていう有名なリバーブのエミュレートでプリセットも充実してるし動作も軽いです。音が良くて高機能だけどパラメーターが分かりにくいプラグインより、音はそれなりだけど使いやすいプラグインの方が僕は好きです。プレート、ルームのモードを使用しました。

                                           soundtoys EchoBoy
もうこれは最強のディレイだと思います。王道から飛び道具まで何でもできるし、アナログぽい音になるので格好良いです。パラメーターが多くて操作は分かりにくいですがプリセットの数が膨大なので初心者の方でも簡単に使えます。僕はプリセットしか使ってません…。

ギターのミックス

僕は元々ギタリストなのですがギターに関するプラグインは年々シンプルになっています。ハードのアンプシミュレーターも所有していますがミックス時に細かく音作りをしたいのでプラグインをメインに使用するようにしています。『シンプルだけど音が良い』を目指して頑張っていますので参考にしていただけると嬉しいです。


Native Instruments GUITAR RIG6
先日購入したKomplete13に入っていたギタープロセッサーですね。10年ぶりくらいにアップデートされたらしいです。最初はあまり使う気がなかったのですが試してみたら音は良いし画面も見やすくて使いやすいプラグインでした。アンプ、エフェクターも揃ってるしドラムやピアノなどギター以外の楽器のプリセットも用意されているので汎用性は高いです。Amplitube5より動作が軽いので同時に複数トラックに挿して使用したい人には向いていると思います。この曲ではORANGEのモデリングアンプを使っていますが、かなり良いクランチトーンが出ていると思います。

iZotope Neutron3
自動でトラックの音を整えてくれるチートプラグインパート2です。Nectarはボーカル専用ですがNeutronは全ての音源に使えるのでどちらを買うか悩んでる人にはNeutronをおすすめします。ただAIアシスタント機能をギターに使用する場合は低音がかなりブーストされてしまう傾向にあるので、僕は毎回EQで低域をカットしています。

WAVES CENTER
これは面倒な作業をすることなく簡単にMS処理ができる便利プラグインです。ギターのバストラックにCENTERを挿してミッドを下げてサイドを上げるだけでギターは大きく鳴っているのにボーカルも目立つようになってくれるます。使い過ぎると変な音になってしますので僕は±3dBくらいになるように調整しています。

かなり長くなっていまったので今回はここまでにしたいと思います。読んでいただいて本当にありがとうございます。

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