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DTM制作裏話『魔法の言葉と髑髏』

こんにちは、ロックが好きなボカロPの本田あいるです。今回は昨日投稿したばかりの新曲『魔法の言葉と髑髏』について書いてみたいと思います。

制作のきっかけ

ボカコレ2022春に参加した『Hello』の制作が煮詰まってる時にサビのフレーズを思いついて作り始めました。適当な歌詞で歌ってる段階から髑髏(しゃれこうべ)という言葉が気に入ってしまったので、その世界観を広げる感じで作業を進めました。

Aメロ作り直し事件

これは見出しのまんまでAメロの制作にとても苦戦しました。最初に作った時は転調も入れて複雑な感じだったのですが「これじゃない感」が強くてシンプルなコード進行に変更しました。
4打ちのリズムでAm C Dm7 E7を繰り返すだけなのでメロディの運び方を変化させて単調にならないように工夫しています。米津玄師さんの曲によくありますが同じリズムとコード進行でも乗せるメロディの符割を変えて曲に変化をつけるのは有効な手段です。

コード進行について

Aメロ Am C Dm7 E7
Bメロ FM7 G Em7 Am FM7 E7
サビ  Am C Dm7 Em7 E7 FM7 C6 Dm7 E7 
間奏  Am C Dm7 E7 ※後半は半音上に転調

Aメロと間奏はコードは同じですがリズムを変えて、サビと間奏はコードとリズムは同じですがメロディを変化させています。そしてサビに勢いをつける為にBメロのリズムをゆったりした感じにしています。個人的にはサビの中にあるEm7 E7がエモポイントですね。

使用したプラグイン

ソフトウェア音源
ドラム=SSD5
ベース=MODO BASS
ピアノ=Sample Tank4
ブラス=Sample Tank4
シンセ=MASSIVE X
大体いつも同じなんですがシンセだけNIのMASSIVE Xにしています。音も格好良いしプリセットも豊富で使いやすいシンセです。

今回はベースの処理にWAVESのJJP BASSを使いました。MODO BASSのジャズベのダイレクト音だけ書き出してJJP BASSのRock Bassていうプリセットを選んで終了です。

その他のバストラックはizotopeのNeutron 3で調整した後でボーカルと被る帯域をカットしています。

ギターで使用したプラグイン

最初は先日購入したNeural DSPのSOLDANO100を使用していたのですが、音が目立ちすぎる気がしたのでNIのGUITAR RIG6に変更しました。

左右で違うアンプを使用してステレオ感がでるようにしています。単純に音が良いプラグインよりもオケに馴染みやすいプラグインの方が良い場合もあるのが興味深いです。音楽て不思議だ。

ハモリパートの処理

この曲の主役は間奏にあるハモリパートだと思っています。しかしハモリの処理ってすごく難しいですよね。メインボーカルと同じ処理にしてしまうと目立ち過ぎて馴染まないです。そこで色んなサイトで調べた1番簡単な方法を試してみました。

  • コンプで思いっきり潰す

  • EQで低音と高音をカット

  • ダブリングエフェクトで音を広げる

  • リバーブで音を引っ込める

まずはコンプでぱっつんぱっつんに潰していきます。ポイントはアタック・リリースを速めに設定すること。抑揚なんていらねぇんだよって感じでリダクションが-7㏈程度になるようにしています。

次はEQでボワつく低音をカットします。結構がっつりカットしても大丈夫だと思います。音の存在感にかかわる高音は-2~3㏈程度のハイシェルフを入れてメインボーカルを邪魔しないようにしました。

これが一番重要なんですがWAVESDoblerというプラグインで音を広げています。プラグインの中でパンも振ってくれるので楽で良いですね。古いプラグインですがセールなどで3000円程度で買えるのでオススメです。機能は簡易的ですが無料で手に入るizotopeVocal Doblerも使いやすくて良いですよ。

最後はルームリバーブを少し深めにかけてハモリパートを奥に引っ込めたら
終了です。

MIXで気をつけたこと

今回はMIX作業をしている時に普段リスニング用に使っているイヤホンで音をチェックしていました。普段はYamahaのHPH MT8というモニター用ヘッドホンを使用しているのですが、YouTubeなどで自分の曲を聴いた時に「全然音が違うやん」てビックリすることがありました。フラットな特性のモニターヘッドホンと違いリスニング用のイヤホンは低音を強調されている機種が多く、そこを意識してMIXしないとモコモコした聴きづらい作品になってしまいます。
これは自戒の念を込めて書きますが『誰のために曲を作るのか』を大切にしないとダメなことに気づきました。ほどんどのリスナーはスマホのスピーカーやイヤホンで音楽を聴くのに作り手がそこを配慮しないのは聴いてくれた方に失礼なのかもしれません。意図があってそういうMIXにしているなら別なんですけどね。


歌詞について

この作品は自分の未来に希望や夢を持てない人が主人公です。人生を諦めて機械的に生きていることに少しずつ疲れてた主人公が、自分の生き方に夢を持てるように魔法をかけてくれと神様に懇願する物語です。誰もかけてくれない呪文を自分でかけようとする悲しい人ですね。


これで作品の解説を終わりたいと思います。かなり長くなりましたが最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。

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