見出し画像

忘れ物

水没都市に置いてきてしまった宝物の小物入れは、
今となっては小さな魚達のすみかとなっていた。

少しの戸惑いと嬉しさを胸に、
狭いけど住み心地はいいのかい。と僕は問い掛ける。

吐いた息は水中から覗く、光輝く空天井へ細かい泡となって弾けていった。

その泡を僕は追うように、地上へと引き上げたのだった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?