俺に才能はない

こんなはずじゃなかったって何回思えばいいんだろう。高校生の時妄想していた漫才師の俺は会場にいる全部のお客さんを爆笑させていたはずなのに。現実の俺はほとんど笑わせていない。俺には才能がないのか?相方が悪いのか?そんなことは思いたくない。人のせいにするのは弱い人間がすることだと分かっているけど、無意識に誰かのせいにしてしまう。そのほとんどはきっと俺が悪いのに。このままダラダラと続けていいのか、俺の脳みそで作れる漫才でたくさんの人間を笑わせることができるだろうか。分からない。分からないから続けるしかない。いつになったら脳みその限界がわかるんだろう。いつになったらやめてもいいと思えるだろう。俺は何で漫才師になろうと思ったんだろう。生きていてよかったと思える日が来るだろうか。フラワーカンパニーズの歌詞は俺のこと言っている。ずっと探している、生きていて良かったと思える夜を。今の俺はなす術なく蹲っているだけの木偶の坊だ。なんで俺が評価されないんだ、誰が悪いんだ、俺は悪くない、俺は面白いはずだ。いつまでそう思い続けれるだろうか。最悪なことを考える。「芸人なんて目指さなければ良かった」これが頭をよぎってしまった時はもう終わりなのかもしれない。自信はもう全てなくなった。半年漫才をやってみてやっとわかった。俺には才能がないのだ、俺は面白い人間ではないのだ。センスのある鋭い発言ができるわけでもない、華があるわけでもない、どこかで見たことのあるセリフの刷り直し。誰がそんなものを求めているというのだ。時間の問題だ。もう俺はボロボロだ。元気でアホで明るい俺はもう俺の中にはいないのだ。今までやってきた俺をなぞって真似ているだけ。早く全部を終わらせたい。俺は何年もこんなことに耐えれるほど強い人間じゃない。
本当はちょっと前から気づいてたんだろう。
俺は面白くない。才能がない。
みんなは面白いと言ってくれるが、それを信じて頑張りたくないのだ。
もし終わった時にその人らのせいにしてしまいそうだから。俺を面白いと思っているのは俺だけであってほしい。
でもまだやる。まだ脳みその限界は来ていないはずだ。俺は面白いんだ。才能があるんだ。
その少しの希望を持ってもう少しだけ自分を殺してみようと思う。

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