雇用保険法~目的と適用事業、被保険者

労働者災害補償保険法に続き、労働保険に関する2つ目の法律。失業者に対して、失業保険を給付するための決まりが雇用保険法。まずは、法律の目的から。

雇用保険法1条
雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

雇用保険法を施行していくために、政令や省令などが出されるが、政令や省令を出す際、重要な部分は労働政策審議会の意見を聴かないといけないとされている。

令和3年6月に公布された改正雇用保険法では、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、育児休業給付に関する改正が順次施行されている。

雇用保険の仕事いろいろ
・雇用安定事業(助成金など)
・能力開発事業(職業訓練施設の運営など)
・失業等給付(求職者給付、就職促進給付、雇用継続給付、教育訓練給付)
・育児休業給付

雇用保険の運営は政府が行う。ハローワークは正式には公共職業安定所。雇用安定事業と能力開発事業の一部の事業は、独立行政書士法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行わせている。船員保険法で失業保険の働きをするっ分が雇用保険法に統合されているため、地方運輸局等においても雇用保険の事務の一部を取り扱う。

適用事業の事業所を管轄するハローワークを、所轄公共職業安定所、仕事を探しに来る人のすむところを管轄するハローワークを、管轄公共職業安定所という。

雇用保険法における保険事故は、被保険者が離職して、失業すること。被保険者は、適用事業に雇用される労働者。離職は雇用主との雇用関係が終了することだが、離職には、自主的な退職のほか、解雇などがある。解雇の理由により、給付の制限を受けたり、保護が手厚くなることがある。被保険者が離職して、労働の意思および能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることを失業という。

雇用保険法の賃金とは、事業主から労働者に労働の対価として支払ったものをいう。実費を償うものや、恩恵的なものは賃金に含まれない。通貨に家具らず、食事、被服および住居の利益のほか、公共職業安定所長の定める範囲内にある現物給付も含まれる。賃金日額を算出する基礎となる賃金には、臨時に支払われる賃金と、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス)は含まれない。

雇用保険法は、日本国内にある事業については、例外を除きもれなく適用される。適用事業の事業主は、雇用保険の保険料を労働者と分担して納付する義務を負う。分担の負担率は労働保険徴収法による。

雇用保険法では、4種類の被保険者を定める。以下4種類の被保険者が離職して、給付金の受給資格を得るともらえる給付金の名称
1.一般被保険者:受給資格者:求職者給付
2.高年齢被保険者:高年齢受給資格者:高年齢求職者給付金
3.短期雇用特例被保険者:特例受給資格者:特例一時金
4.日雇労働被保険者:日雇受給資格者:日雇労働求職者給付金
※短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち、4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者でもなく、かつ、1週間の所定労働時間が20時間以上で厚生労働大臣の定める時間数(30時間)未満でない者のこと。
※日雇労働被保険者とは、日々雇用される者、あるいは、30日以内の期間を定めて雇用される者のこと。自ら被保険者の資格の取得手続きをする。日雇労働者被保険者手帳の交付を受け、この手帳が保険料の納付実績、給付を受ける重要な基礎となる。

適用事業に使用される労働者であっても、1週間の労働時間が短い人、同じ会社に31日以上雇われる見込みがない人は、雇用保険法が適用されない。平成22年度の改正で、以下の適用除外要件もできた。

季節的に雇用されるものであって、4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者か、1週間の所定労働時間が20時間以上で厚生労働大臣の定める時間数(30時間)未満である者の、いずれかに該当する者。

昼間に学校に通う学生のアルバイトは基本的に適用除外となるが、①卒業予定者で適用事業に雇用され、卒業後も引き続きその事業で雇用される予定の者②休学中の者③定時制の過程に在学する者④①~③に順ずるものと職業安定局長が定める者 これらの場合は、被保険者となることがある。

雇用保険法では、被保険者が資格を取得する日は当日、喪失する日は良く時宇。事業主が提出する被保険者資格取得届は、翌月の10日まで、被保険者資格喪失届は10日以内が提出期限。確認は、届け出、被保険者、職権の3パターンがある。被保険者や被保険者であった者は、いつでも厚生労働大臣に確認請求ができる。厚生労働大臣の確認の権限は、公共職業安定所長に委任されている。

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