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【詩】夕暮れの落ち葉屋さん

 
遠くの空が 夕焼けに染まる 帰り道
小さな路地に 落ち葉を並べた 女の子
まるで昔の私が そこに居るみたいで
無邪気な眼差しに 思わず声を掛けてみたの

落ち葉屋さん 夕暮れの落ち葉屋さん
赤いもみじを ひとつ 下さいな
ポケットの中の ビー玉をあげるね
どうかお願い これからも
そのままの笑顔を 忘れないでいてね

今日まで出会った いくつもの恋のピリオド
全てが必然だったと ようやく気が付いた
傷つける痛みを知った 初めてのさよならも
誓うには幼すぎた 永遠の約束も…
 

 
傾く影に ふと足を止めた 帰り道
見覚えのある ビー玉を並べた 女の子
もっと純粋に 誰かを好きになれた頃の
面影が浮かんで 慣れない胸を締め付けるの

ビードロ屋さん 夕暮れのビードロ屋さん
青いビー玉 ひとつ 下さいな
ポケットの中の もみじをあげるね
どうかお願い いつまでも
変わらない笑顔で 明日を見ていてね

記憶のパズルが ひとつずつ剥がれ落ちては
渇いた心の内側に また刻まれてゆく
消すに消せない過ちも 突然のさよならも
行き過ぎた優しさも あまりに悲しい嘘も…
 

  
落ち葉屋さん 夕暮れの落ち葉屋さん
あなたもいつか 誰かを愛して
涙を知るたび 大人になるでしょう
どうかお願い いつまでも
そのままの笑顔を 忘れないでいてね

たとえもう一度 時間を戻せたとしても
きっと私は同じ道を 選んでしまうだろう
夜が来るたび涙した いくつものさよならも
振り返れば眩しい 私だけの宝物
 
 

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